くらやみ、ひかり
人類未踏の地である深い洞窟に今日、初めて探索隊が足を踏み入れた。
外にある本部には探索隊からの無線連絡が絶えずに届いていたが、ある時、不意に無線から悲鳴が聞こえてきた。
「どうした!? 誰か怪我をしたのか!?」
本部の人間が尋ねると無線から隊長の声が返って来る。
「いや! 我々は怪我をしていない! だが、信じられん……こんな場所に人類が居るんだ!」
「人類だと!?」
そんなやり取りをしている内にも絶え間なく続く悲鳴。
「彼らは我々に驚いているらしい。ダメだ。言葉も通じない。少し交流を試みる」
隊長がそう言うと共に無線が途絶えた。
その後、探索隊は洞窟の中から幾人かの人間を引き連れて帰還した。
彼らは皆、普通の人間とほとんど同じ姿をしていたが、言葉は独自のものを使っており探索隊との意思の疎通は困難を極めていた。
おまけに皆がしきりに目を抑えて何事か訴えており、探索隊は彼らの目を調べてみたがそれらは例外なく失明をしていると分かった他は何も知ることが出来なかった。
洞窟の住民が突如失明した理由。
それは、闇に生きる彼らの目に前触れもなく強いライトの光が浴びせられたのが原因だったのだが、それが判明するのはもっとずっと先の話だった。