第五話:『街到着のデバフ』
デベリンの街、その活気の中心になるのは
冒険者達の交流兼仕事を得る場所…。
所謂『冒険者ギルド』がそこにあった。
「いや~、でっけえ建物」
「これだけの活気を生み出してますからね」
「狼も買いとってくれるよな、確か」
「ええ、冒険者向けにその手の売買を一本化してるそうですからね」
冒険者ギルドはその規模故に手厚いサポートが可能な組織であり
全体を見れば国にも匹敵しうる組織なのだ。
「お花摘みから殺人まで、というと無法感あるけど
実際多数の善人が保っているだけで本質的には秩序が薄い」
「少なくともその本質に困らされることは早々ないだろうけどね」
物々しい話も今は噂の範疇で留まっている
実際今の利益や利権を保つ方が良いだろうし、杞憂で済む範疇だ。
■
「…。」
中では様々な人種が溢れて喧騒を生み出してた
見るからにデカいヤツ、一見すると非戦闘員にしか見えないヤツ
まさに坩堝と言える状況だ。
「取り敢えず申請ついでにどうするか聞こうか」
「了解」
どうやらマナーで受け付けロビー前は開けてあるようだ
ズルズル引きずってきた狼も今回でお別れになる。
「どうも、初めてのお方ですかね?」
ギルドのロゴマーク付きの制服を着た職員さんが笑顔を向けました
「すいません、ライセンス登録に来たアルとメリナです
先に申請してもらってると思うのですが…」
職員さんはリストに目を通してこちらに再度笑顔を向けました。
「では試験の日取りを決めましょうか!」
そう言って職員さんは幾つかの紙を机に並べました。
「これらはライセンス登録において必要になる基準を満たした依頼です
ここから一つ達成して頂ければ発行可能となります」
「成程…収集とか討伐とか色々ありますね」
「基本的には最低限必要になる能力を判別するために行うものですので」
実際その中ではそこそこの強さを持つ魔物退治か、或いはある程度の希少性を持つアイテムを
求められている、中々骨が折れそうだ。
「基本的に申請者によって決めてありますのでこちらの依頼書は全て持って行っていただいて
問題ありません、期限は二週間となります
期待していますよ、類を見ない技能と聞いていますので」
職員さんはこれまででも一番の笑顔を見せてそう言いました。
「わ、わかりました…」
流石にそこまで期待されてるとは思わなかった二人は少々気圧されつつも
貰った依頼書を眺めて評価が悪くないことを感じていい気分だった。
「そういえば、この狼を卸したいんですけど…」
「おや、珍しい魔物ですね『旅狼』ですか
しかも状態が良い、良い値段になりますよ、コレ」
「おお、どれくらい…」
無言で試算を見せてきました。
「…………お願いします、ハイ」
期せずして思わぬ収入になったのであった。
「装備代は困らなさそうだな~」
「うん、目指せライセンスです」
二人は改めて冒険者に覚悟を固めたのだった…。
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