第一話:『始まりのデバフ』
ここは辺境の平和な村、アテナ村
今日、ここに一つの命が生まれました。
「…今日からお前の名前はアル、ベルデ・アルだ!」
数奇な運命を背負う彼の、二度目の人生が始まりました。
「アル、お前の『天命技能』が楽しみだなぁ!」
「気が早いですよ父さん…もう」
「うちの子なら絶対素晴らしいスキルだとも」
そんな二人の期待に応えたように、流れ星が降り注いでいきました…
そして少しの時を飛びます。
「この石に触れたらいいのか?」
少年は石造りの神殿のような場所で
神官のような服装の男性に聞いていました。
「そうですよアル、そしたら貴方の天命技能が見えるのです」
7才になる彼は、未来に向けた一歩の為に
その根幹を担う力を知りにきていたのです。
「メリナは何が出たんだ?」
「それはこの後聞きなさいな」
青い宝玉は、静かに触れられるのを待っていた。
「まぁ、その方が良いか」
そして遂に手が触れるその時。
「…『弱体識王』?」
13才、ベルデ・アルはその数奇な運命に踏み出したのだった…。
「名称が定められたようですね、では採血しその詳細をみます
注射は問題ないですか?」
「あっはい、僕は問題ないです」
痛みを伴う事の無いはずだったそのか細い針は
静かにアルの肌を突き、そして。
「…アレ?まだ血を吸っていないのn」
弾けて、辺り一面を赤く染め上げた。
「………………え?なに?
『大出血状態』って…ええ??」
「『弱体識者』…弱体や悪影響ある身体及び精神への効果を殆ど無効化するが
千兆倍の発動率を負うスキル…です」
「ええっと、それって何の関係が…?
この…大出血というか大爆発の事故…?の」
「貴方の肉体は注射による干渉を…
ある種の吸血行為と判断して、弱体として扱ったのです」
「そんなことある!!??
僕の体の中に詰まってるとは思えない量だったけど!!??」
「これが…弱体率千兆越え…」ガクッ
「職員さん…!?職員さーん!!!???」
そう、本当に数奇すぎる運命に…。
初小説となります、ご意見ご評価いただけると幸いです。