2 【 魔王復活 ② 】
「ダンジョン研修?」
ハンター試験を終え不合格となったイサムは、ハンター試験に見事合格した友人のアルと共にラーメンを食べに来ていた。
そんな中話題に出たのがハンター試験に成績上位3位までの新人ハンターを明日、魔物が生息する洞窟ダンジョンに見学という形で入るという話だった。
「あぁ、それで一応主席で合格した俺も明日ダンジョンに入る事になったんだよ。」
「ブフォ?! お、お前主席だったのか!!」
口に含んでいたラーメンを驚きのあまりにアルの顔面目掛けて飛ばしたイサムは箸を両目に突かれて悲鳴を上げながら転げまわる。
「お前、施設放送聞いてなかったのかよ。 一番最後に俺の名前が呼ばれてただろうが。」
「い、いや・・あれだよ。 ちょっとハンター試験に落ちた夢見てたせいで気が付かなったわ。」
「安心しろよ。 その夢は現実だ。」
イサムはその返答に肩を落として暗い雰囲気を溢れださせるが、アルはそんな事気にもしないで話を続ける。
「それで明日、そのダンジョン見学に行くんだけどよ。 お前も一緒に来ないか?」
「・・・え? 俺?」
イサムは笑いながら、まだ食べている最中のアルの背中を叩く。
「バッカだなぁ~アル! 俺は上位どころか落選者だぜ? お前と一緒にその見学に行ける訳ないじゃねぇか!」
自分で言っていて本当に悲しかったが、それはどうする事も出来ない事実だ。
しかしアルは上着のポケットからある1枚の紙を俺に見せた。
そこには赤い線が1本引かれてある。
「その赤い線が引かれてる内容の通り、見学には上位合格者の身内か知り合いの希望者であれば1人だけ同行が許されている。 つまり、お前が望めば俺と一緒にダンジョンに入れるってわけだ。」
ハンターとして認められた者のみ入る事が許されている魔物が住まう洞窟、ダンジョン。
現在はダンジョンに入ってすぐのフロアであれば誰でも倒せる魔物しか生息されていない為、ギルドが時折このようなイベントじみた事をするのだ。
「・・いいのかよ。 俺で。」
「お前が望めばな。 俺もお前と一緒にダンジョンを見てみたい。」
「アル・・・ッ!」
イサムとアルはお互いの手でハイタッチをした。
それは長年友人としてやってきた2人の合意するような意味を込めている。
「よっしゃー! それじゃあ今日は腹一杯に食うぞ! 俺達の門出を祝って!! アルのハンター試験合格を祝して!!」
その夜。
2人は店の経営を始めて最高記録のラーメンの御代わり記録を出したという。