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20.06.18

作者:




 船内は配管や設備が植物のように這っている。

 このジャングルの様な船内では、道を見失うこともあるし、同じ道をぐるぐると回ることだってある。

 僕たちが迷わずに生活するには、暖かく灯るランプや、道に詳しい親友がいなければ、生活し続けることは難しかった。

 ここには本物の森だってある。森には“禊の草原"と呼ばれる場所があり、そこでは杭が打たれている。

 誰が何のために打ってるのか、僕にはよくわからない。

 けどきっと、僕と同じように、誰かからそういう役割を与えられたんだと思う。

 例えそれが、僕たちとって迷惑なことであっても、そういうことなら仕方がない。


 杭が打たれるたびに、船内の設備類は損傷する。それを直すのが僕たち整備士の役割だ。

 僕たちといっても、僕と彼女の2人だけで、一度杭が打たれると整備するのには時間と労力がかかる。

 彼女が設計し、僕がネジを締める。

 彼女はネジを締めることはできないし、僕には設計はできない。

 僕には難しいことはよくわからないし、彼女も力仕事はできない。彼女は"蜘蛛"で僕は"お馬鹿さん"だから。


 今朝の杭打ちは酷かった。一打ちごとに、雷に打たれたような衝撃が、船内の隅々まで広がった。

 その衝撃は今までにないほど大きく、鋭いものだった。

 おかげで僕たちは、これから大忙しになること間違いなし。

 寝る間も惜しんで働かなくちゃいけない。


 「まずは何をしようかね?」僕は彼女へ尋ねた。


 「まずは船内の状況確認よ。二次被害の起きそうなところから対処してきましょ。」

 彼女はさらさらと、先を歩き始めた。


 僕は彼女に従い、彼女の規則正しい足並みに続いて、行きやすいところのみパトロールを行った。



 船内は想像以上にガタがきてたみたいで、ツタのように壁を這っていた配管類は、どれが何と繋がっていたのかも分からないほどに絡み合い、殆どがエキスパンション部が損傷していた。設備類は紫色の煙を出して故障していた。気のせいかもかもしれないけど、どこか不思議な香りが漂うように感じた。


 「思ってたよりも損傷が酷いわね。それに変な匂いもするわ。」


 「僕も思った。たしかここには主に排水管が敷設されてたから、破損した排水管から何かが漏れ出て、それの匂いかもしれない。」

 何が流れているのかは分からないけど。


 「そうかもしれないわね。」と彼女は言った。


 配管類を近くで確認すると、やはり破損した排水管から、溝色の水やゴミのようなものが流れていた。溝色の水は、まるでいろんな色を混ぜ合わせた結果、この色になったようで、緑がかったり赤みがかったりしていた。


 排水管から綺麗なものが出てきた。それを見た彼女がこの配管にはなにが通っているのかが気になり、なぜこんな綺麗なものが排水管から流されていたのか、そしてどこから流れてきたのか、疑問に思った。

 もしも自分たちが整備してきたものが、これら綺麗なものを排除するためのものであれば、不本意であった。

 それをきっかけに僕たちはこの綺麗な物が、どこからきているのかを探るため、このジャングルのような船内を巡ることを決心した。




 船内は僕たちが整備してきた、沢山の配管や弁、排水器、換気設備等で複雑になっていて、迷路のようだった。

 それらは家を這うツタや花の様に、船内に張り巡らされていた。


 船内の一角の大きな部屋へ入った。

 その中はとても広く、暗かった。よく意識して見れると、そこには様々なオブジェがあり、壁には装飾が施されていたり、絵画や写真が飾られていた。



 それを手に取ろうときても、何一つ実態として手に入れることは出来なかった。

 その部屋の一角に教会のような場所を見つけた。

この一角は特に設備の浸食が著しかった。また、整備士が仕事をしていない間、この船内は打ち込まれた杭の影響で崩壊寸前となっていた。

 この船内が崩壊するのも時間のうちだが、整備すればこの無垢な場所は、ツルや花の様な設備に侵食され、綺麗なものを吸いとられ続け、いつかは風化してしまう。




 彼はこの無垢な場所のために、世界の崩壊を受け入れることを決断した。

 その代わり、この教会にこれまで見つけてきた素敵なものを集めて、この一角を整備することで、崩壊から守ることにした。

 整備となれば彼は各々の場所から綺麗な物を取り出すことができた。

 しかし、それらを回収するには、正確に来た道、場所を思い出さなければならない。

 記憶を遡り、自分の心に響いた、波紋を追い求めた。回収した綺麗なものを教会に配置し、ネジを固くしめ、潤滑油を塗り整備した。


 整備が終わった途端、僕の意識は遠のいて、もう立っていられなかった。

 それでも僕はこの世界の今後のことを想って、瞼を閉じた。

 夢の中でも、この教会で、彼女とお祈りをした。

 1週間で書く内容じゃなかったですね。笑笑

 1週間のうち実際に取り組んでる時間は5時間くらいだと思おます。次は満足に書ききれるようなものにしたい。

 今回は構成を意識して作りましたので、ストーリー的にできましたが、伏線の回収とか設定の深掘りができなかった。それに対話も少なかった。

 次回は対話式に物語を進めて、好みのオチに落ち着けたいです。

 それでは。^^

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