降井田むさしの憂うつ
#start ファーストシーン
初めての時はいつもソワソワする。
見たり聞いたりしたことがないものは特に。
いきなりやることがとても苦手だ。
何の情報もないと、全ての動作は停止してしまう。
たぶんいつもは、蓄積された情報が、エネルギーに変換されているのだろう。
見たり聞いたりしていても、初体験は想像が出来ないので苦手だ。
個人的な練習をしてから、周りの瞳に晒したい。
初めてのことがこの先に予定としてあるとする。
その時は、予定が決まった時点で憂うつが始まる。
練習と不安の日々がずっと続いてゆく。
予想出来ないことが少しでもあると、駄目になる。
途中で変更されたら、間違いなく混乱する。
初めてでも、そつなくこなしたい「欲」というものが、たっぷりと出てしまう。
トップバッターなんて嫌だ。
ラストバッターも、プレッシャーの量は異常だから嫌だ。
だから、中間がちょうどいい。
全て真ん中で生きていきたいと願っている。
初めては、ソワソワがずっと付き纏おうとする。
だから、ずっと落ち着くように、心に指示を続けるしかないのだ。
#end ラストシーン
物語の最後は、どうしても面白く終えたくなる。
普通に終えると、達成感が得られず、物足りなさが残ってしまう。
ラストこそ、驚きを与えながら終えたい。
後味の悪いラストを選択するときも、たまにはある。
だが、悪い衝撃ではなく、面白味のある余韻を与えたいと常に思っている。
駄洒落でも、言葉のテクニックを使った上手い終わり方でもいい。
ただ清々しく、気持ちよく終わりたいのだ。
それは、短い作品ばかり書いているからなのか。
本能からくるものなのか。
正直、よく分からない。
それを回避することは、一生出来ないだろう。
小説を読んでいても、終わりがあっけないと「えっ?」てなる。
終わりが美しいと「おっ!」てなる。
ラストが物語の全てを決めるといっても、過言ではない。
何でもラストは気持ちがいい方がいい。
気持ちよく最後を迎えるのが、全てにおいて一番ではないだろうか。
#ps ピックアップ
初めての場面ではいつも『落ち着けよ』と心に指示している。
物語の最後になるといつも『オチ付けよ』と脳が指示してくる。