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聖獣王国物語~課金令嬢はしかし傍観者でいたい~  作者: 白梅 白雪
課金令嬢はしかし傍観者でいたい
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二人の正体3

 


「ナディアは、アサシンって一族のことは知ってたの?」


「知っている、というと語弊があるかもしれません。アサシン一族のことは聞いたことがありますが、実際にこの目で見たのは今日が初めてですね。多分、ほとんどの者がそうだと思います」


 ふむ。珍しさでいえば、さっきの聖獣みたいなものかな。どちらかと言えば珍獣みたいだけど。


「ふふふ、私達一族は秘密が多いんですの。まぁ、アサシンの秘密を探って生きている人間がいない、という方が正しいですわね」


 艶めいた声音で笑みを溢すイリス。その声は自信に溢れ、余裕に似た色気を感じた。


「私達は、誰にも捕らえることはできませんわ」


 アサシン──出会ったのはこんな二人だけど、侮ってはいけない一族なのだろう。むしろ、アサシンと出会ったことに恐怖を感じるべきなのだ。それなのになぜだろう。私の脈はいたって通常の速さだ。心臓もドクンとかしない。だって──。


「その状態で捕らえられないとか言われても……」


「てへ♥️」


 イリスはすごくカッコいいことを言っている。捕らえられないとか言っている。けど捕らえられてるからね、今、ナディアに。


「違いますよ、これはアレです。捕らえられているわけではないんです!つまり、そう!そういうプレイです!ナディアさんの知られざる性癖が今花開かんと……ってイタ!痛い!愛が痛いですナディアさん!あ、待ってそれ以上は新世界が見えそう」


 苦しそうなのに満たされた顔をしているイリスに、違う意味で恐怖を感じる。ナディアもそうなのか、縛り上げた紐を弛めることはなかった。


「マナリエル様、どうしましょう。女性に対してこれほどまでに嫌悪感を抱いたのは初めてかもしれません」


「大丈夫、ナディアは至極正常だよ」


 不安げなナディアに、できる限りの優しい笑みを向ける。この二人の心底がとても黒いものであることは分かるのに、どうにも警戒心を強めることができなかった。


「ま、いいわ。私うだうだ考えるのは嫌いなの。アサシンだろうが忍者だろうが、私の護衛なら適当にやっといてよ」


 あーでもないこーでもないって考えるのは面倒だ。何が正解か分からない時は、直感が大事なのよ。目の前の二人は多分嘘はつかない。護衛というなら、そうなんだろう。信じると決めたなら、護衛することになった経緯や理由なんていうものは、ぶっちゃけどうだっていい。


「いえいえ、姫様。今回はもうちょい説明させてください。事が事ですので」


「え、やだもう用済んだから帰る興味ないバイバイさよなら」


 矢継ぎ早に捲し立て立ち去ろうとすると、なぜかナディアが目の前に立ち塞がった。


「マナリエル様」


 その顔は怒りとは違う。けれど有無を言わさない圧力があった。


「ナ、ナディア?どうしたの?」


「もし、きちんと彼らのお話を聞けたなら、お夜食に特製ミニケーキ6種盛りをご用意いたします」


「レイビー、イリス、何をしているの。さぁ早くお話しなさい!」


「切り替え(はえ)え!そんなケーキ食いたいんすか!」


「ケーキはこの世の至宝なり」


「そんな真顔で言われても……」


 レイビーが呆れたような目で見てくる。まぁ、そうだろうそうだろう。二人は知らないんだ。()()()()()()というものを。今度教えてあげよう。

 がしかし!


「今日のやつ(ケーキ)はやらん」


「いや、いらねぇっす」


「その言葉、後に悔いても遅いぞ」


 訳が分からないと言いたげに首を傾げるレイビー。イリスもキョトンと目を丸くさせている。はぁ、楽しみだわ、ケーキちゅわん。

 それにしても、この二人は本当に眼福ね。黙っていればレイビーはとてもイケメンだし、イリスは美少女だ。二人とも暗殺者という割にアイドルのようなキラキラした顔立ちで……ん?というか、変態なのはイリスなだけで、レイビーはさっきからまともな発言しかしてないよね?もしかしてレイビーは変態じゃなくて、ただのイケメン?


「レイビー、あなたは普通にカッコいいんだね」


「え?今さらですか?」


 否定するでもなく、謙遜するでもなく、照れることもなく……これは完全に慣れてますわね。まぁね、レイビーほどの端正な顔立ちなら、言い寄る女の人も少なくないはず。さぞモテてきたことでしょう。そしてそれは、イリスも同じだろう。くそ、羨ましい。滅べばいいのに。


「え、姫様は何で俺のこと睨んでるんですか」


「別に」


 きっとレイビーは攻略対象なんだろうけど、今はそれを確認できない。他人にステータスを見せるのは危険らしい、ということは後から知った。そうだよね、自分のレベルやスキルをさらけ出したくないよね。というわけで、最近は薔薇の色を確認することができないのだ。もちろん、薔薇の有る無しで攻略対象か判断できるため、今はそれを確かめる術もない。レイビーが素直に見せてくれるとは思わないし。

 でも乙女ゲームの設定なら、ヒロインがそれを見れないってことはないはずだよね?薔薇の色は攻略する上で必須だ。そうなると、やっぱり私はヒロインではないのだろう。


 ……ところで、イリスは攻略対象じゃないよね?女だもんね?この濃厚なキャラはフラグが立ちすぎていて、長年ゲームに浸っていた私のアンテナが反応している。絶対モブじゃないでしょイリスは。

 友情エンド?いや、そんな爽やかな香りはしない。

 ……闇落ち?BADエンド?ちらりとイリスを見ると、目が合った。彼女はふんわりと微笑んだあと、ぺろりと唇を舐めた。うわー、エロかわい……じゃなくて怖っ!こっわ!イリスとは二人きりにならない方がいいのかもしれないと思い、そしてまたナディアも、きっと私と二人きりにはさせないと誓っただろう。

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