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聖獣王国物語~課金令嬢はしかし傍観者でいたい~  作者: 白梅 白雪
課金令嬢はしかし傍観者でいたい
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二人の正体1

 


 あの後、当然だけどクラミル先生が授業を続けることなどできるはずもなく、初めての授業は散々な内容で幕を閉じた。初回の授業はオリエンテーションの意味も含まれていたため、今回授業を受けた生徒には、後日書面にて説明されるらしい。


 ちなみに、あの場にいた生徒は念のため一通り目を通しておいた。なぜって?そんなの決まってるじゃない。ヒロインを見つけるためよ!だけど、それらしい人は見当たらなかった。

 そもそもここは私がしていたゲームじゃないから、ヒロインキャラがどんな人物なのか分からないのだ。探しようがないと言えばそれまでだけど、私は諦めるわけにはいかない。

 だって、もし私が悪役令嬢のキャラ設定なら、ヒロインと仲違いする(すなわち)エンディングで断罪イベントが発生する可能性大!つまり処刑?追放?打ち首!?


 いや、この世界が乙女ゲームの流れで進んでいるのならと仮定した話だから、まだ確定ではないけど……。万が一そうだとして、もしヒロインがいて私が悪役なら、相手は私と張り合うだけの美しさを持っているはず。人は外見が全てではないとはいえ、マナリエルの美貌は桁違いすぎる。この顔と争うなら、優しくて料理上手で謙虚な努力家だけでは足りなさすぎる。

 そう考えた上で、先ほどの教室内の生徒の中にヒロインはいないと断定した。みんなモブっぽいもん。


 そして現在、仁王立ちしている私の目の前には、正座をしている二人組。レイビーとイリスだ。もうこの光景デジャブなんだけど。何人こうやって見下ろしてきたかしら……やっぱり私、悪役らしさが滲み出てるよね?ヒロインはこんな何人も(ひざまず)かせないよね?はぁ……ため息しか出ない。


「さぁ姫様!思う存分(なぶ)ってくださいませ!」


「嬉々としてムチを渡すんじゃない!」


 目映いばかりの期待に満ちた顔でイリスが差し出したムチはすぐ取り上げ、近くの草むらへ放り投げた。よく分かった。一番厄介なのはレイビーじゃない、こっち(イリス)だ。


 教室を出たあとは、慌てて迎えに来たナディアを連れて四人で人目のつかない場所へ移動した。この時も「人目のつかない場所」を探す私に何を勘違いしたのか分からないけど──いや、知りたくもないけど、イリスは率先して丁度良い場所へ案内をしてくれた。

 さすがというべきか、やはりというべきか、人の気配を察する能力に長けているんだろう。私が探っても、周囲には人の気配は感じられない。「誰か来ることはありませんが、もし見られたとしてもちゃんと処理するんでご安心を♪」なんて恐ろしい言葉は聞かなかったことにしておこう。


「マナリエル様……この方達はどなたですか」


「え、ナディアも知らないの?」


 てっきりナディアなら事情を知っているのかと思ったけど、彼女も二人のことを知らないらしい。ナディアが知らないということは、お父様が雇った護衛というわけではなさそうだ。そうなると、本当に何者なんだ、この二人は。

 先ほどの発言からイリスの危うさを察知したようで、ナディアが私の前に立つ。


「あなた方がマナリエル様に近付く目的はなんですか」


 目を細め、警戒心を隠そうとしないナディアに対しても、二人は笑みを絶やさなかった。


「おぉ!ナディアさん!あなたの姫様への忠誠心は目を見張るものがあります!まさにメイドの鑑のような人だ!」


 レイビーは褒めているはずなのに、どうしても小馬鹿にしているように聞こえた。


「いい加減にしろよ」


「「!!」」


 静かに発した声だけど、二人を黙らせるには十分だったみたい。そりゃそうだ、こっちは本気でイラついてんだから。腕を組んで睨み付ければ、レイビーとイリスは自然と背筋を伸ばしていた。


「いつまでもヘラヘラとハッキリしない態度で……聞かれた質問には素早く正確に答える!」


「「はい!」」


 とても気持ちの良い返事が聞けて満足したので、とりあえず息を吐き出し、怒りを鎮めた。


「で?あんた達の目的は何なの?」


 まだ笑みを浮かべている二人だけど、それは先程までのヘラヘラした表情とは違っていた。


「俺達は、姫様の護衛です」


「護衛?」


 復唱すると、レイビーが頷いた。それはおかしい。


「お父様が護衛を寄越したっていうの?それなら必ずナディアに連絡があるはずよ」


「いえ、俺達は誰かから依頼を受けたわけではありません」


「というか俺達一族に依頼なんて、来たらその場で死んでますよ」


 軽口を叩いたのは、イリスだ。


「……まさか!」


 二人の言動から何かに気付いたのか、ナディアが驚いたように声を上げ、口元を手で押さえた。微かに指がカタカタと震えているように見えるのは、驚きからか、恐怖からか。


 アサシン


 ナディアの口からそんな言葉が漏れた。


 あさしん?


 アサシン……Assassin……



 ……暗殺者じゃねーか。


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