属性検査4
改めて5匹を見上げる。5匹?いや、5体?5頭?むしろ炎だよね、これ。単位って何が正解なんだろう。
5つの炎はそれぞれ赤、緑、ピンク、茶、青の色をしている。炎が象っている獣もバラバラだ。炎だから揺らめいていてハッキリとは分からないけど、多分赤は鳥だな。で、緑は馬。ピンクは……うん、ドラゴンぽいな。茶は犬みたいだけど…あれ頭3つない?ブレてんのかな?残像?最後に青は、人魚だろうか。私は今、この5つの炎に囲まれている。
こうやって分析している間、誰も口を開く者はいなかった。驚いているのか、冷静に事の成り行きを見守っているのか。私、どうしたらいいんだろう。通常の属性イベントだって知らないのに、どう動くのが正解なのか分かるわけがない。このまま立っていれば属性が分かるのかな?
突然で驚きはしたものの、今はこうして思考を巡らせる程度には頭は冷えている。こういうものも全てソウシが作り上げた世界だと思うと、一々右往左往するのも癪だ。
「選ばれし者よ……」
赤い炎の鳥が滑らかな声音を発した。選ばれし者って、これまたテンプレートなセリフだわ。あれだよ、冒険するゲームってだいたいそんな感じじゃない?「選ばれし者よ!」「勇者よ!」って。偏見かな?上手い返しが見つからず、とりあえず返事はせずに鳥を見つめることにした。
「そなたを全てが欲するだろう」
今度はドラゴンが喋った。顔に見合った低い声。
「来い。我らのもとへ」
また鳥が喋る。何々、卒業式みたいに一言ずつセリフ決めてあるの?ドキドキしたー!入学式ー!楽しかったー!修学旅行ー!みたいな。
「あのー、ちなみに私って何に選ばれたの?」
理解するには情報が足りなさすぎる。おずおずと挙手をして発言してみたものの、その問いの答えはないまま、獣は小さくなり、やがてただの炎が灯った聖杯へ変化した。炎の色はそのまま5色だが、何事もなかったかのように静かに揺らめいている。
「…………」
言い逃げ!!どういうこと?挙げた手を力なくおろし、魔方陣の中でただ呆然と立ち尽くす。答えを求めるように、三人のいる方へ顔を向けた。なぜかみんな私と同じ顔をしている。
「エ、エンダー学園長」
とりあえず一番魔法の知識が深いであろう学園長に問うことにした。まぁ、その学園長が一番大きい口開けてるけど。もはやマンドリルが威嚇しているようにしか見えなくて普通に怖い。
「…………」
予想はしていたけど、やはり応答はない。
「えっと……私の属性は?」
「…………」
「あ、心なしか赤い炎が勢いある?そしたら私赤い属性なんですかね?」
「いやはやいやはや!まずどこから説明すればこの状況を上手にまとめられるのか、そこから考えなければなりません!いいですか、マナリエルさん、まずは落ち着いてください。ええ、ええ、属性検査は初めて魔法に触れるようなものです。その場面であのようなことが起きるとは思いもよらなかったことでしょう。ええ、この私でさえ実に200年ぶりの出来事です。その時でさえ、現れたのは1匹のみでした。深呼吸してもいいんですよ、マナリエルさん。先程の現れた炎は──いえ、炎と簡単に呼んではいけないのかもしれません。あれは聖獣と呼ばれている伝説の獣です。入学前のあなたは分からないかもしれませんね。世界の王と聖獣については入学してすぐ学びます。世界史入門の15ページ…あ、まだお持ちでないですね、失礼しました。また学んでいきましょう。とにかく、属性を調べるにあたり、聖獣が出ることはありません。そしてマナリエルさんの属性ですが、この結果をそのまま受け止めてよいのでしたら、おそらくあなたは全属性と言えるでしょう。聖獣にあたり、これも本来ならあり得ないことです。けれど、はいはい。そうなんですよ。通常は属性の炎だけが残り、他の炎は消えます。そして魔法陣も属性の部分だけが光るんですね。それを踏まえると、マナリエルさん。あなたの場合は魔方陣は全て光り、炎は全て灯っている。とするならば、これは全ての属性に適しているとしか考えられません。いやはや、これはどうすればよいのでしょうか」
「……………」
「……………」
配分!会話の配分おかしい!こんなんでよく学園長やってるな。この猿、もうスンとした顔して黙ってるよ。ターンの渡し方が雑すぎる。
つまりあれだ。まとめると、私は全ての属性魔法を使いこなせるようになるかもしれないってこと?全属性とか、どれだけチートなのよ!まぁこれも課金のおかげなのでしょうね万歳!課金万歳!




