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聖獣王国物語~課金令嬢はしかし傍観者でいたい~  作者: 白梅 白雪
課金令嬢はしかし傍観者でいたい
49/111

属性検査2

 



 どーーーーーーん。



「…………」



 どどーーーーん。



「…………」



 ただいま私マナリエルは、マンドリルと対面している。マンドリルって分かる?あれだよ、顔が青くて赤い猿だよ、なぜこうなったのか。


 それはほんの数分前───。




 始まりの入り口だかentranceだか中二病のような名前の昇降口に入った私達。中は想像していたものと違い、何ていうか……1階しかなかった。あれだけ高い建物なのに。

 思わず口をあんぐり開けて天井を見上げる。不規則な位置に並べられた窓は大小様々で、そこから漏れる光は優しく室内を射している。教会みたいだと思った。行ったことないけど。教会といえばパイプオルガンだろう。がしかし、ここにはない。つまりここは、教会ではない。

 そう結論づけたところで視線を戻し、周囲を見渡す。床は大理石なのか、ヒールで歩いたらカツカツいい音が鳴りそうだ。いや、むしろ滑らないか心配だけど。

 祈るための長椅子が並べられていることもなく、代わりに何かが道を作るように置かれている。脚の長いワイングラスのような──いや、聖杯の方が正しいのかもしれない──金色に輝くそれがいくつも並べられ、ゆらゆらと杯の中で炎が揺れていた。


「キレイ……」


 まるでこちらにおいでと言われているようで、足は自然と聖杯で作られた道を進んでいく。進んだ先には、拍子抜けするほど普通のドア。普通なんだろうけど、学園に来てから巨大な門や広い敷地、高い天井なんて規格外のサイズを見てきたから、今だけはすごく小さく見えた。アリスになった気分だな。


 一通り見渡したところで、ふと気付く。ロイとナディアの声が聞こえない。先ほどから響くのは、歩く音だけだ。不思議に思い振り返ると、なんとも言えない顔でこちらを見ている二人がいた。上がりそうな口角を、そして垂れそうな目尻を堪えるような。多分、ニヤつかないようにしているんだろう。完全にニヤついてるけどな。


「な、何よその顔は」


 訝しげに問えば、唇をキュッと結んでいやいやと軽く手を振るロイ。肩震えてんぞ。


「ナディア」


 くるりとナディアの方を向けば、ぴくりと彼女の肩が揺れた。軽く咳払いをすれば、さらに大きく揺れる。いえ、と戸惑う声が聞こえた。


「いえ──マナリエル様がコロコロと表情を変えられながら歩き回る姿が小動物のようで愛らしく、ずっと眺めていたいなんて、思っておりません」


「うん、思ってんだね」


 嘘下手か。むしろそれで隠せると思っているのか、ナディアは。ロイが堪えきれなかった息を吹き出す。


「あんたたち、バカにしてるでしょ」


「いえ、そのようなことは決して──」


「はいはい、いいですよいいですよ。こうやって自分の家以外を散策するのなんて初めてなんだもん。楽しいんだもん。仕方ないじゃない」


 開き直ったように──内心は不貞腐れてるけど──目の前のドアに触れる。これ開けていいんだよね?だって次に行くルート、ここしかなさそうだし。ロイとナディアも止める素振りはしなかったので、勢いよくドアを開けることにした。





 ───そして今、ここです。




 どーーーーーーん。



「…………」



 どどーーーーん。



「…………」



 ドアを開けたら、マンドリル。異様な迫力のあるマンドリルが机に肘をつき、険しい顔でこちらを凝視している。

 え、これどうしたらいいの?猿だよね?なんか雰囲気的に偉そうだけど……偉いの?挨拶するべき?って、人間の言葉通じるの?やっぱり猿の言葉?


「ウ、ウキ?」


 とりあえず猿語で挨拶。猿語知らんけど。


「…………」


 華麗にスルーされました。


「あ、分かった!ウホウホ!ウホホ~」


「…………」


「これはゴリラっぽいか。マンドリルってどうやって鳴くんだろう。ウキャ?ウキャキャキャ!」


「人間の言語で結構ですよ」


「喋れるのかよ!」


 それなら最初からそう挨拶してよ!てか、ナディアとロイだって知ってたでしょうに!文句を言おうと振り返れば、もう口元やらお腹やら押さえることに必死な二人。

 ああ、そうですか、面白かったですか。


 あとで覚えてろよ。

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