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赤いずきんがお気に入りの少女の手紙

おばあさまへ


 おばあさま、おしえて。

 おばあさまのお耳は大きくなってやしないわよね? おばあさまのお目々はぎょろりと大きくなってやしないわよね? おばあさまのお手々もお口も大きくなってやしないわよね?

 おばあさまは、怖い狼になってやしないわよね?

 昨日、おばあさまが狼になる夢を見たの。ううん、おばあさまは狼に食べられていて、狼がおばあさまのベッドに寝ているの。あたしはそんなこと知らないから、おばあさまのふりをしている狼に話しかけたの。

 狼はあたしの声がよく聞こえるように大きなお耳をしてるって言ったの。あたしのことがよく見えるように大きなお目々をしてるって言ったの。あたしのことをぎゅっと抱きしめられるように大きなお手々をしてるって言ったの。でもね、お口が大きいのは、あたしを食べるためだって言ったの。あたし、怖くて目がさめて、悲しくて、ずっと泣いてたわ。

 おばあさまが送ってくれた、赤いずきんのついた服は、本当に大好きでお気に入り。でもそれを着て、おばあさまに会いに行くのが怖いの。赤ずきんちゃんのお話みたいに、狼に食べられちゃうんじゃないかって思って、怖いの。

 おばあさまは、おばあさまよね? もしかして、もうおばあさまは狼に食べられちゃって、狼がおばあさまのふりをしていやしないわよね?


 もしも狼さんがおばあさまのふりをして、あたしのお手紙を読んでいるんだったら、狼さん、よく聞いて。狼さん、赤ずきんちゃんというお話を知っている? 赤ずきんちゃんとおばあさんを食べた狼がどうなったか知っている? 赤ずきんちゃんとおばあさんを食べた狼は猟師にハサミでお腹を切られるの。チョキチョキチョキチョキって。きっと痛いわ。それだけじゃないわよ。赤ずきんちゃんとおばあさんを助けだしたら、かわりに石をたくさん詰めこむの。ご飯をよく噛まないで食べちゃうとお腹が痛くなるけど、それよりももっともっと痛いはずよ。でもね、本当に怖いのはこれからよ。のどが渇いたあなたは、水を飲もうとするけれど、お腹の石が重たくて、井戸の中におちて溺れて死んでしまうのよ。

 怖いでしょ? まだ死にたくないでしょ? だったら、おばあさまを今すぐ吐きだすことね。


 でもおばあさまは大丈夫よね? 狼に食べられてやしないわよね?


                              メイジーより

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