どう言う状況だこれ。
学校の校庭にイノシシが出現しました。
さすが田舎。
あるポカポカ陽気の昼下がり。珍しく親父の執務室に呼ばれてなんだと思っていたんだが、、、
「どのようなご用件でしょうか、父上。」
公私分けなきゃいけないってめんどくさいよな。
「うむ。実はな」
なぜか溜める父。
「お前の婚約者が決まった。」
「は?」
「婚約者が決まった。」
「は、はあああああぁぁあ?!」
どう言うことだ親父。
「実はな、どうやら俺は酔っ払っていた間にラフィとお互いの子供を婚約させると言う約束をしていたようでな。全く覚えてないがとりあえず契約して来た。」
「なんてことしてんだこのクソ親父!」
「あー、すまん。とりあえずもう決まった事だから。これから挨拶に行くぞ。」
「あ゛あああぁあ?!」
「着替えてこい。」
このクソ親父あとで絶対ぶっ飛ばしてやる!
「やれるもんならやってみろ。」
「心読むんじゃねえ!」
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なんでこんな事になった、、、。
目の前には婚約者となった女の子がいるのだが、、、泣いてる。そしてその下敷きになっている俺。どう言う状況だこれ。
俺がこの子の屋敷についた時、すでにこの子はどこかに隠れてしまっていた。相手の親父さんに「庭でも見て待っててくれ」と言われたので花を愛でてたんだが、、、
「ふえぇええぇぇん」
いやなんでそんなトコにいんのよ婚約者ちゃん。
こちらには気付いていないようで、えぐえぐと声を少し出しながらのっぽな木の枝の上にちょこんと座っていた。とりあえずあそこは危ないよなあ、でも声かけてびっくりして落ちちゃっても嫌だしなあ、、、。うーん、よし。声かけて落ちちゃったら受け止めよう。いや、いろいろ考えるのがめんどくさいわけじゃ無いからね?
「どうしたの?」
少女は体をビクッと震わせてこちらを向いた。
単刀直入に言おう。可愛い。透き通った茶髪にまつげの長い垂れ目がちな瞳。天使だ。天使がいる。
「あなただあれ?」
「あーー、俺はちょっと父について来ただけの使用人の子供さ。どうして泣いてるの?」
「おとうさまがね、私のこんやくしゃが今日くるって言われて、楽しみだったけどきらわれちゃったらどうしようって思って、こわくてだれにもにも見つからないトコににげたの。そしたらおりられなくなっちゃった。」
要するに俺のせいだわな。
「そっか。じゃあ俺が下ろしてあげるよ。」
「ほんとに!」
少女の顔がぱあっと明るくなった。
「うん。ちょっと待ってね。」
「うん!」
その時だった。思いっきり頷いた反動で少女が乗っていた枝が折れてしまったのだ。ぱきっ。軽い音を立てて枝とともに少女は真っ逆さまに落ちた。
「え」
「きゃあああああああ」
やばい!
とっさに体が反応して少女が落ちるであろう場所にスライディング。間一髪で少女の下に入ることができた。本当ならガシッと受け止められたらカッコ良かったのだろうが、、、
「うげっ」
見事に滑った。それはもう見事に。そして俺がひっくり返ったところに少女は無事着地した。
「ふぇぇぇぇぇえぇえぇぇえええぇぇぇぇええええぇええぇえぇえん!」
「いったたた、、」
当たり前だが少女は号泣。俺の背中は悲鳴を上げている。
「ーー大丈夫?」
「、、、うん。」
少し落ち着いたらしく返事をしてくれた。
「怪我ない?」
「うん」
「よかった」
「、、、おにいちゃんごめんね」
「君に怪我がないならこのぐらいへっちゃらさ。立てる?」
「、、、うん。」
「おーーーーーーーい」
ちょうどその時さっきの親父さんが来た。
「どうしたんだサクラ!」
「おにいちゃんがたすけてくれたの。」
「はっ、、大丈夫かい?!」
娘の一言でようやく俺に気がついたらしく泥だらけになった俺にギョッとしている。
「ああ、大丈夫です。それよりお嬢さんに怪我がないかよく見てあげてください。」
見た目はかなりやばいが大丈夫なのは本当だ。なんせ鍛えてますから。
とりあえず少女に怪我はなかったらしい。よかったよかった。
ちなみに俺は服を着替えました。
ちなみに服はルドさんが瞬間移動で取ってきました。便利ですね、瞬間移動。(=゜ω゜)ノ