太陽の輝きが、ほら、僕らを見つめている!
透子さんに心から感謝をしています!透子さん、いつも、本当に、本当にありがとうございます!(照)
ひだまり童話館、ピカピカな話に参加した作品です。読者の皆様、楽しんでくださいね!よろしくお願いいたします!
(*^^*)
「裕香ちゃ〜ん、あ〜そぼっ♪」
玄関の扉が開いた。
「あら☆竜くん。こんにちは!元気かい?」
「うん。元気だよ♪おばさんは元気?」
「私?元気、元気!ありがとう竜くん♪」
「うん。裕香ちゃんは?」
「裕香ね、今ね、お使いをお願いしたから、お買い物に行っているのよ。ごめんね。もう少ししたら帰ってくるから、家で待っていなさいよ」
「うん」
「竜くん、裕香はあと15分くらいで戻るからね。メロンパンがあるけど食べるかい?麦茶もあるよ」
「うん。食べる。頂きます。ありがとうございます」
「あら☆偉いねぇ!ちゃんとお礼が言えて立派だね!竜くん、偉いよ〜っ!」
「えへへへへ」
「竜くん、学校は楽しい?」
「楽しいよ。夏休みと冬休みが一番楽しいよ」
「あはははは。確かにね。いっぱい遊べるし、夜更かしもできるものね」
「うん」
「夏休みの宿題は終わったの?」
「終わったよ」
「あらま!?裕香に聞かせたい言葉だね。裕香はまだ算数と国語が残っているのよ」
「ふ〜ん。算数は難しいね。後で一緒に見てみるよ」
「優しいね。裕香に厳しく教えてね。あの娘は算数が苦手だから」
「おばさん、僕も算数が苦手だよ。僕が見れるのは国語だけだよ」
「あらま!?そうなのかい?それは困ったねぇ〜。あはははは」
「あはははは」
「もう、4年生だものねぇ。早いねぇ。ついこの間まで1年生だったのにね」
「おばさん、4年生になったら大変だったよ。前の仲良くなった友達と別れちゃうからさ。クラス替えで離れ離れになるから、辛かったよ」
「そうだったね。前の時のお友達とは今も仲良くしているの?」
「うん。グラウンドに行けば、みんな、サッカーをやっているからさ、前みたいによく遊ぶよ。放課後はよく皆で公園でも遊ぶよ」
「良かったねぇ〜。友達は大切にしないとねっ」
「お母さん、ただいまぁ〜!あっ!!竜くん」
「裕香ちゃん、こんにちは!遊びに来たよ」
「遊ぼ〜う〜!お母さん、洗剤とゴミ袋と牛乳と納豆だよ。はい、どうぞ。お釣りは250円」
「ありがとう!ご苦労様。はい!お小遣い!」
裕香はお釣りの250円をもらう。
「やったぁ!ラッキー!」
「裕香ちゃん、宿題を見てあげるよ」
「やったぁ!ラッキー!」
「算数は無理だけど国語は大丈夫だよ」
「えーっ!!算数も見てよ」
「良いけど、どうなっても知らないよ。僕も算数苦手だから」
「私の部屋に行こうよ」
「おばさん、ご馳走さまでした」
「後でケーキを持っていくよ」
「やったぁ!ラッキー!」と裕香は言った。
「やったぁ〜!ありがとう!おばさん」と竜は言った。
2人は2階の部屋に行く階段を上がっていく。
「裕香ちゃんがお祭りで飼った、金魚は元気?」
「大丈夫よ。元気、すんごく元気すぎ。 部屋にいるよ。あとで見てごらんよ」
「うん。金魚も長生きしたらバカでかくなるって、うちの父ちゃんが言っていたよ」
「へーっ、どれくらいの大きさになるの?」
「頑張れば15センチくらいになるかもね」
「すごいね」
部屋に着く。2人は金魚鉢に向かう。
「あーっ!!金魚が浮かんでるぅー!!お母さん、お母さん!金魚が、金魚が浮かんでるぅー!!」
裕香は形振り構わず慌てて階段を降りていった。
竜はポツン部屋に取り残されて浮かんでいる金魚を見つめた。竜は悲しくて一筋の涙をこぼした。涙を拭うと竜も急いで部屋から出ていった。裕香はお母さんと一緒に階段を駆け上がっていった。その間、裕香は、「金魚が!金魚が!」と言い続けていた。
「あーっ!!本当だ。こりゃもうダメだわ…」とお母さんは金魚鉢を覗き込んで言った。
「うぇん(涙)さっきまで元気だったのに…。あれっ!?お母さん、竜くんは何処に行ったの?」と裕香は言って、部屋の中を見回した後、部屋の扉を開けて辺りをキョロキョロと探した。
「トイレは?」とお母さんは言ったので、裕香は2階のトイレのドアをノックしたが返事はなかった。
「いないみたい…」と裕香は言った。
「取り合えず、お母さんが金魚を下に持っていくから」とお母さんが言うと裕香は「私も行くよ」と言い、2人は一階の茶の間のベランダへ向かった。窓を開けてサンダルを履き、スコップを手に持って庭先へ出る。2人は花壇の横の土を掘っていく。二匹の金魚を埋めるスペースが出来ると金魚鉢に入っている水ごと流した。金魚は滑らかに土の中へと還っていく。親子で手を合わせて目を閉じた。裕香は涙が出ていた。
「お祭りで買う金魚は長生きしないことが多いんだよ。だから今回は残念だけど仕方がないよ」とお母さんは裕香の頭を撫でながら慰めた。
「うん」と裕香はしょんぼりしていた。
「裕香ちゃん!おばさん!」と竜の声がベランダから聞こえてきた。2人は振り返ると竜はかぶと虫が入ったカゴを首にぶら下げていた。
「どうしたのよ!?何処に行っていたの!?」と裕香は言った。
「家に戻っていた。裕香ちゃん、裕香ちゃんに、このかぶと虫三匹をあげるよ」と竜は言って裕香にカゴを差し出した。
「えーっ!?かぶと虫は貴重だよ。竜は飼わなくていいの?」と裕香はカゴを掲げてかぶと虫を見つめた。
「良いよ。かぶと虫は、まだ、あと五匹いるから。裕香ちゃん、これで元気を出してよ」と竜は笑った。
「ありがとう!竜くん!」と裕香のお母さんは涙ぐんでいた。
「竜くん、どうもありがとう!凄く嬉しいです!かぶと虫は珍しいねぇ〜!」と裕香は、はしゃぎながら言ってカゴを抱きしめた。
「えへへへへ」と竜は照れ笑いをした。
「竜くん…、私…、かぶと虫の飼い方が、わからないの。初めてだから教えてくれる?」と裕香はカゴを自分の首にぶら下げて言った。竜は持っていたビニール袋を開いて、一冊の本を取り出した。「かぶと虫の飼い方について」の本だった。
「飼い方なら任せてよ。算数よりも百倍得意だよ!」と竜は輝くような笑顔を裕香に見せて言った。
「うん」と裕香は照れていた。
「よし!ケーキを食べようか!」と裕香のお母さんは言って台所に消えていった。竜と裕香は陽当たりの良いベランタに並んで腰を掛けた。2人はカゴを掲げてかぶと虫を見つめている。かぶと虫は太陽の輝きに反射して何度も綺麗に光っていた。
おしまい
ありがとうございました!相変わらず素敵な企画をする透子さんに感謝をしています。