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誰にも邪魔されないこの空間を俺は気に入っていた。
ぶっちゃけ俺は村の連中に嫌われている。
理由は至って簡単だ。
俺自身、よく言えばお金に煩くドケチで自分さえ良ければそれでいいタイプだからだ。
というかただ単にお金が大好きで面倒臭い事が嫌いなだけというごくごく普通の感覚を持ち合わせているだけなのだが中々どうして周りには理解されないらしい。
ちょこっと手に入り難い食材をあの手この手で安値で買い占めそれを倍以上の値段で村人に売りつけたり、
今でこそ両親がおらず一人で生活しているものの俺の父親は生前、村に唯一ある病院を経営していて薬学にも詳しかった為その知識がある程度ある俺はその知識を活用して作り出した薬をかなりの高額で売りつけたり
近所の自分より幼い子供の面倒を見させられた時、その子供に村の外に行って見たいと言われ外に連れ出し野生のオークに出くわした際、思い切ってその子供を差し出し俺だけ先にさっさと村に逃げ戻ったりした程度の事なのにどいつもこいつも目くじら立てて怒り怒鳴り挙句の果てに人間のくずとまで言ってくる。
そもそも食材は一旦了承を得て購入していたし買い占めるとは言ってなかったものの買い占める事で高値で売れると踏んで動いてた訳だし、薬の知識だって俺が真面目に勉強したから備わってる知識を周りに分け与えてやってる感じだろ?
正直あるきちんと貰わないと割りにあわないしオークなんて危険なものが出てくるなんて想定が外だったんだから自分の命可愛さに他人を差し出すなんて普通にある事だと思うんだが。
一応子供も助かったんだしいいじゃねーかと思う。
その程度のことで目くじらを立てる周りがどうかしているし責められるいわれも無い。と俺は断言したい。
そんなこんなで嫌われ者の俺を構うのはハルトくらいなもんだがハルトもどういうつもりで俺と仲良くしてるのかは知らない。
まぁ幼馴染だし見捨てられないんだろうなぁ……。
一仕事終えて額の汗を丁寧にハンカチで拭うハルトを横目でちろっと見つめながら貰ったスコーンを一口頬張った。
俺がボーっとしてる間にシートを敷いてお茶を出してサラダやスープといったモノを一通り出してとりわけしたらしい。
ほのかな甘さが口の中いっぱいに広がる。
うーん、やっぱりハルトの作るもんは何でも旨い。
「リューイ、こっち来てシートの上に座りなよ!スープとサラダもしっかり食べてね。デザートにリンツァートルテも焼いてきたから後から食べよう!」
さらさらとしたショートヘアを風に吹かせながらハルトは輝かんばかりの笑顔で俺を手招きをしてきた。