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第一章 ー魔女の気まぐれー

  呪われた大地の果てには、一人の魔女がいる。

  煉獄の炎を操る、古い魔法に守られる赤毛の少女。

  彼女の名を覚える者は誰一人もない、彼女の過去を知る者はもう存在しない。

  名無しの少女は今日も孤独のなか、自分の記憶を辿っている。


  そんな日々の中、少女は突然人の国に行きたくなった。

  別に人間に興味を持ち始めたわけじゃない、ただの気まぐれだ、自分の過去を見つけるかましれないから、ちょっと様子を見に行くだけのこと。

  でも、いつの間に道が塞がれている。

  「あんた、なにもの?どいてくれるかしら?」

  嵐の通路の真ん中、黒い帽子とケープを被る少女がいる、白いワンピースを着けているが、黒い印象は変わってない。

  顔の輪郭はよく見えない、でも、その幻想的な光を放つ両目はすごく目立てる、特徴的な青き瞳だ。

  「・・・下がれ、不死なる化け物。ここからは生き物の地」

  「はあ?・・・何なのよアンタ、初対面で失礼だね、あっちから迷い込めたものも一杯なのに、こっちからは通じないわけがないだろう」

  青い目の少女は答えずに、静かに目を瞑した。

  「まあ、畏れられるのはもう慣れたから、通してくれなくでもいい、勝手に通じるわ。」

  少女の傍から抜け出そうと、嵐を突然強くなる、少女の帽子と髪を吹き乱した。

  「・・・忘れないで」

  その声が、なんだか切なくて、悲しい感じをする。

  「何処までも、いつまでも変わらない、貴女の景色はここだけ・・・これ以上望むのは、許さない。」

  嵐が止めると、少女の姿も掻き消された。

  「・・・魔女はもとも、許すなんていらないわ」

  捨てセリフのようなものを言い出した赤毛の魔女は、なにも残されていない道から、ゆっくりと前へ進み始めた。


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