17 最後の関門?
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーーン!!!!!!!」
沙悟浄さんのくしゃみによってメデューサ男が召喚されてきた。
なぜか、悪役プロレスラー風に覆面を被り、マッチョな体にタイツを履いている。
しかし、メデューサ男は偽ナースチャの如意棒の連撃を喰らって、あっという間に吹き飛んでしまった。
偽物とはいえ、ナースチャ!強すぎです!!
しかし、偽ナースチャが他の相手に向かわんとした時、よろよろしながらもメデューサ男が立ちあがってきた。
「ふっふっふ!なかなかやるわね!でも、私は宝貝の力により、大きくアワーアップしているのよ!!たかが偽物ごときに簡単にやられたりは…。」
そこまで言ったメデューサ男を偽ナースチャが再度の連撃でぼこぼこにしてしまう。
……あのう、簡単にやられないはずじゃ…。
そんなことをしているうちに僕は……いつの間にか沙悟浄さんに引きずられ、戦場から離脱していた。
それだけでなく、気付くとまわりにはいつの間にか桜姫、元祖三蔵法師さんもおられ、戦場に残っているのはナースチャ、カイザスさんとメカと偽の三蔵一行だけになっている。
「ナースチャさんが自分とカイザスさん以外をうまく戦場から離脱させるようにもって行って下さったのよ。」
三蔵法師さんが感心したように戦いの様子を見守っておられる。
間もなく偽とメカ一行はナースチャ以外全て破壊されてしまい、気の毒なことにカイザスさんまでぶっ倒れてしまった。
カイザスさんは馬鹿ばっかりする割には肝心なところではみんなを必死で守ろうとしてくれるのだよね。
まあ、『それだからこそモンスターバスター一〇星の一人なんだ』とナースチャが感心したように言っていた。
「さーてと、残るは二体だけ。それもかなりボロボロになっているな。
…とはいえ、俺一人だから楽勝とはいかないが、それでも勝利間違いなしだな!!」
メカと偽物を見ながらナースチャが如意棒を構え直す。
ナースチャはほとんど無傷なのがすごい。
ナースチャがさらに一歩踏み出そうとした時、偽・メカはそれぞれ強烈な真っ赤な閃光を放った。
一瞬ナースチャを含む全員がだじろいだ後、光が薄れた後には一体の人影が残っていた。
…だが、その姿は…。
「はーーー?!なんだこれは??!!」
身構えるそいつを目にしてさすがのナースチャも少したじろいた。
六本の腕にそれぞれ如意棒、剣、槍、盾などを持ち、足は二本だが、頭が二つある…それも右の顔には筋が入り、左の顔には額に偽と書いてある…ナースチャの頭だ。
名前: 合体ナースチャ
機械大妖怪(元偽&メカナースチャ)
レベル:1270
称号 偽ヒロイン強化版
特徴: 悲しい戦闘マシーン
特記事項 腕と頭の数が多い分強い…に違いありません。
ある意味メデューサ男以上に気色悪い敵かもしれません。
素材が美女なナースチャなだけに、仕上がりの気持ち悪さが却って目立つような…。
そして、敵のあまりの見かけに一瞬たじろいだナースチャに合体ナースチャが襲い掛かってきた。
ナースチャもなんとか合体ナースチャの攻撃を捌いてはいるが、六本腕からの攻勢は凄まじく、ほぼ防戦一方になっている。
二人?の動きがあまりにも早いので、他のメンバーではうかつに支援や介入ができないのだ。
我々はしばし、かたずを飲んで見守っていたが、桜姫があることに気付く。
「三蔵法師様!偽とメカのナースチャさんもにも頭の輪っかの『緊箍児』がはまってます!
『緊箍児呪』を唱えてもらえますか!そして、私が呪文を唱えたらすぐに『緊箍児呪』を唱えるのをやめてください!」
「わかったわ!すぐ唱えるね!」
三蔵法師様が『緊箍児呪』を唱えだすと、ナースチャも合体ナースチャも痛みのあまり、一瞬動きが止まってしまった。
しかし、その一瞬で、桜姫が志向性のある『緊箍児呪』を合体ナースチャだけに聞かせることに成功した。
「ありがとう!!みんな!!雷光連撃!!」
合体ナースチャに出来た隙を見逃さずに、ナースチャが自身の気を込めて雷を纏わせた如意棒を敵に次々と撃ち込んだ。
機械にとって致命的な雷撃の籠ったダメージを受け続け、ついに合体ナースチャは吹き飛んだ。
「……やれやれ、自分と似たような相手を倒すのは気分のいいもんじゃないな…。」
肩で息をしながらナースチャが僕たちを振り返る。
「「ナースチャさんごめんなさい!」」
三蔵法師さんと桜姫がナースチャに謝る。
いくら強敵を倒すためとはいえ、強烈に頭を締め付ける呪文を唱えてしまったのだ。
「いえいえ、いいよ。二人とも。あの作戦で敵に重大な隙を作ることができたからね。
しかし、そんなところまで忠実に作ってあるというのはスゴイよね。」
「あの、思ったんだけど。たくさんナースチャを作っていたら、われわれに簡単に勝てたんじゃ?」
僕の発言にしばし、みんなの動きが止まる。
(((((相手がアホでよかった…。)))))
全員大事なことに氣づき安どのため息をついた。
「ところで…これ、持って帰っていいかな?」
気絶から回復し、戦場から戻ってきたカイザスさんが持っていたのは…額に偽と書いた僕のそっくりさんじゃないですか?!!
「「「だめです!!」」」
僕と桜姫、ナースチャの声が被る。
「この時代にこんな物があったらとんでもないことになるから、破壊するよ!」
ナースチャがあっという間に全ての偽とメカシリーズの残骸を跡形もなく吹き飛ばしてしまった。
~~☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆~~
二日後、僕たちは目的地と思しき天竺のお寺の前にやってきた。
それなりに長かった旅もこれで終わるのかと思うと少し感慨深い。
とはいえ、もう一波乱あるだろうと、ナースチャ、桜姫、三蔵法師さんたちと話をしていたので、油断せずに周りを見渡す。
すると、大きな門の前に三人の人影が立っているのに気付く。
「悟空!八戒!それから桃花観音様!!どうしてここに?!」
三蔵法師さんが驚いて叫ぶ。
うん、どうやってあのハイペースで動いた僕たちに追いついたんでしょうね?
「それが…お釈迦様に連れてきていただいて、ここで待つように言われたの。」
桃花観音様が戸惑いながら返事をくれる。
「我々の旅の成就を見届けてもらう役割なのか…それとも…。」
ナースチャが首を捻る。
「あああああ!!ちょっとだけ先を越されたのね?!でも、追いついたわ!!」
僕たちの後ろからイザベル観音様の声が聞こえてくる。
振り返ると、マッスル三蔵さん、カンフー少女八戒、そして池内女史とイザベル観音様の四人が姿を現した。
「ナースチャ様!!ご無事だったのですね!!」
池内女史がナースチャに走りながら抱き付いてくる。
「ありがとう。それから沙奈っちが無事でよかったよ♪」
背中をさすりながらナースチャが優しく伝える。
ナースチャ…それ、フラグがどんどん立っているように見えるのですが…。
「他の三人はやられてしまったのですか?
三人しかいないことに気付いた三蔵さんが少し厳しい顔をしている。
「そうある。師匠以外の男どもはヘタレだったある。特にシーボルトのおっさんは酷すぎたある。 敵を見た途端、われわれを裏切ったある!!」
「そうなのよね…。さらにひどいことに今度は偽シーボルトが向こうを裏切り返した時には全員開いた口がふさがらなかったわ。」
池内女史が心底呆れた表情をしている。
そんなところまで再現しなくていいからね?!!
「これで揃ったようね!」
中性的な女性の声があたりに響き渡った。
いつの間にか白くて表情が一切読めない仮面を被った女性が門の前に立っていた。
この女性は…人間じゃない…と僕の感覚がどこか囁いていた。
でも…どことなくメデューサ男の着ていたトーガに似た衣装を着ているその女性に会ったことがあるような気がするんだけど…。
…と思ったらナースチャの顔色が真っ青になっているような気が…。
「では、これより最終試験を行います!元祖三蔵法師一行。桃花三蔵法師一行。イザベル三蔵法師一行の三チームに分かれて、それぞれこちらの用意する四人と対戦してもらい、その結果でいろいろなことを判断し、お釈迦様に結果を発表してもらいます。ちなみに人数の都合で、イザベルさんはそのままチームに加わって下さい。」
「待ってくださいまし!それでは二チームある、桃花さんが断然有利になってしまうではないですか!!」
「あら、そうでもありませんよ。元祖チームは実質リタイアだけど、勝負というより、今からのことを踏まえて一応参加していただく…ということだから。それと、われわれに勝てさえすれば結果は勝利…となるのではないですか?」
「あーら、それもそうですわね♪それでは、まかせてくださいまし!」
イザベルさんはその女性の話に納得し、いつもの調子に戻った。
「…ねえ、ナースチャ。何かヤバいことでもあるの?」
顔色の悪いナースチャに僕が囁きかけると、ナースチャは口を開こうとした…。
その時、門を開けて、三人の仮面の男女がこちらに姿を現した。
その姿を見た時、ナースチャの顔色がさらに蒼くなった。




