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20 大決戦

「まずは召喚術を使いましょう」

三奈木さんが素早く魔方陣を足元の地面に描いていく。


「一体何を召喚されるんですか?」

「やつの弱点である、『ピーマン』を召喚してみます!」

「いやいや、ピーマンは『野菜』ですから!」

「…や、野菜?!」

僕の言葉に三奈木さんが固まる。


「いや、ピーマンを召喚するのはいいアイディアかもしれない!あれを見るんだ!」

カイザスさんが指さす方向を見ると…わんまげをほぼ食べつくしたベヒモスが今度は商家の蔵を壊し、中に入っていたお米をそのまま食べている!!

いや、よく見ると、『蔵ごと』食べているし!!


「つまり、奴は異常なくらいに食い意地が張っているようだ。

大嫌いな大量のピーマンを召喚すれば、奴に対するけん制になるはずだ!」

「わかりました!早速召喚してみます。」

三奈木さんが魔方陣に向かって何やら呪文を唱え始めた。


「よし、私はその間に『例のモノ』を起動させてくる!これでやつに隙を作っておいて、ナースチャに止めを刺してもらおう!」

家々将軍は言うなり、大江戸上城に駆け戻っていった。



三奈木さんの描いた魔方陣からはどんどんピーマンがあふれだしている。遠からず庭がいっぱいになりそうな勢いた。

「ふっふっふ、実はな巧人。私はピーマンが『大嫌い』なのだ!!

このピーマンの『苦味』をあのベヒモスの奴にも味わわせてくれる!!

この私も味わった苦しみを思い知れ!!フハハハハハハハハ!!!」


…カイザスさん…そこ、高笑いするところではないです…。


カイザスさんは緑色の大きな袋を取り出すと、なぜかサンタクロースの扮装を素早く着込んだ。

「グリーンサンタのおじさんが、『悪い子』にピーマンのプレゼントだよ♪

泣ぐごはいねえがあ♪悪いごはいねえがあ♪」

…それは、ナマハゲですよね?!



カイザスさんは袋にピーマンを詰め込むと、ベヒモスに向かって走っていった。

そして、ピーマンを右手いっぱいにつかむとベヒモスに向かって投げつけた。

「喰らってくたばれ!!ピーマンつぶて!!」


投げつけられたピーマンをベヒモスはその巨体から信じられないくらいの敏捷さで上手に躱すと、さらに蔵そのものや中の米を食べ続けた。

…別の意味ですご過ぎるんですが?!

そして、カイザスさんがピーマンを投げ、ベヒモスがそれを器用に躱すという変なやり取りはしばらく続いた。


「三奈木さん!あれ、おもしろそうだ!俺にもやらせて!!」

戻ってきたナースチャが三奈木さんに詰め寄る。

なんか完全に趣旨が変わってるんですけど??!!


ナースチャは白い大袋に大量のピーマンを詰めると、勇躍ベヒモスに向かって駆け出していった。


ナースチャはカイザスさん以上に速くベヒモスの足元までたどり着くと、さらに商家の屋根の上まで飛びあがり、ベヒモスの口に向かってピーマンを投げつけた。

ベヒモスは素早くそれを躱すが、なんと、躱した先にナースチャはピーマンのつぶてを放り投げていた!!


「グガアアアアアア!!」

ナースチャの投げたピーマンを咀嚼してしまったベヒモスが絶叫を上げる。

「見たか!!この時代のピーマンは今のピーマンより『苦味が強い』んだ!!」

……ナースチャが快哉を上げる。

「おのれ!!やはり私の一番の難敵はアナスタシアか!!だがな、いくら貴様とて、私の食事の全てを邪魔することはできない!!」

……もうこの悪魔『食べることしか頭にない』よね?!

確かに大江戸中の食べ物…いや、日本中の食べ物を食べつくされたらえらいことだけど、明らかにさっきの緊張感がどこかへ消えてしまったよね?!


「はっ!いくらでもこのピーマンで邪魔してやるさ!!」

ナースチャはにやりと笑って叫ぶと、ちらと僕の方を見る。

なるほど、時間稼ぎだとわかって挑発されてます。

さすがナースチャ!!


「くそ!私も絶対にベヒモスの口の中にピーマンを放り込んでやる!!

そして、この『地獄の苦しみ』を味わわせてやるんだ!!」

……カイザスさんは完全に本来の目的を忘れておられるようです…。

相手を引きつけてくれて結果オーライなので、まあ、いいんですが…。



「む、父上の準備が終わって、例のモノがどうやら動き出したようです!」

桜姫が振り返って叫ぶので、僕も併せて振り返ると…大江戸城がせり上がってきてるんですが?!

大江戸城は『腕らしきもの』を生やし、さらに、底が『足らしきもの』に変形し、なんだか『顔っぽいモノ』まで付いて、動き始めた。


「見て!あれが大江戸の街を守る最終兵器『大江戸城ロボ』よ!!

身長188尺(約57メートル)、体重147万貫(約5500トン)の巨大からくり兵器だわ!!」

大江戸城ロボはガッシャンガッシャン大きな音を響かせてベヒモスに向かって動き出している。


鎌倉の大仏が『からくり細工で動く』と聞いてましたが……まさか大江戸城までそうなっているとは…。


大江戸城はゆっくりベヒモスに近づいて行くと、右拳をベヒモスに向かって振り上げた。

身長57メートルの大江戸城ロボはベヒモスの2倍くらいの巨体なので、その威力はすごいものになりそうだ。

しかし、ベヒモスは大江戸城ロボのパンチをあっさりうけとめると、右腕をそのまま食べ始めてしまった!!


「お父様!!」

桜姫が悲鳴を上げる。

『怪力』『無敵の皮膚』『動き出したら誰にも止められない』

ベヒモスはそんな形容がたくさんついていた『魔王と呼ばれる大悪魔』だ!

このままでは大江戸城ごと、家々将軍までたべられてしまう!!!


「あらよっと♪」

そんな心配をしていると、ナースチャがベヒモスの右目に持っていた刀を突き刺していた。

大江戸城ロボの巨体に張りついてチャンスをうかがっていたようだ。

さすがナースチャ!!


「では、止めと行きますか!雷光剣!!」

ナースチャが気合いを込めると刀が今までで最高と思われるくらい鮮烈に輝きを放った。

そのまま左目に刀を突き刺すと、ナースチャは大江戸城ロボの屋根の上に撥ね戻った。


「グガーーーーー!!!!」

ベヒモスが断末魔の悲鳴を上げている。


「いいか!これで終わりと思うなよ!!いつか第2第3の天草四郎が…」

「天草四郎は何人もいませんから!!」

僕のツッコミを受けて愕然とした表情になった、ベヒモスは爆発四散した。



「巧人、やった!!やっつけたよ!!」

ナースチャが城から飛び降り、僕の元に駆け寄ろうとしたその時、僕の右手にはまっていた腕輪が急に輝きだした。

その光は三つに分かれて飛んでいくと、近くにいた池内女史を包み込み、その姿を消してしまった。


「これはどういうことだ!?」

『おめでとうございます!巧人さんは無事に任務を完了されたので、同級生の方たちとともに元の世界に戻してあげますね。』

この世界に召喚される途中で僕に腕輪を託してくれたあの女性の声が僕の頭の中に響いてきた。


『それでは、あなたがちょうど召喚された場所と時間に戻しますね。』

「待ってくれ!僕はまだ…。」

言葉の途中で僕の全身が金色の光に包まれ、僕はそのまま意識を失った。


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