17 怪人総攻撃
敵の総攻撃が判明した後、アテナさんの神託で、大江戸城に敵が進撃してくることが想定された。
戦闘員たちは御庭番集、旗本衆、そして、第二勇者隊が城の守りを固めながら相手をし、メインの怪人を僕たち三人が対応することに決まった。
神託によると伴天連総攻撃まであと二日後という朝食タイムの時間なのですが…。
「巧人、お代わり!!」
カイザスさんが空いたお茶碗を僕に向かって差し出す。
「カイザス!お代わりくらい自分でつぎなさい!」
アナスタシアさんがカイザスさんを注意する。
「みなさん、温泉卵が出来ましたよ♪」
桜姫が一人一人に出し入り温泉卵を配っていく。
「このお漬物本当においしいです♪」
池内女史がごはんにお漬物を乗せて食べている。
……人数が増えているんですが?!!
しかももう一つ問題があって……。
桜姫 一五歳 人間 女
特記事項 現在『恋愛中』 対象:アナスタシア 愛の深さ:LV4
現在『恋愛中』 対象:巧人 愛の深さ:LV2
池内 沙奈絵 17歳 人間 女
特記事項 現在『恋愛中』 対象:アナスタシア 愛の深さ:LV6
アナスタシアさん、どんだけモテモテなんですか!!!
ほとんど家族に近い感覚になった桜姫はまだしも、池内女史は明らかにアナスタシアさん目当てで食事に来ているよね?!!
「巧人、どうしたの?箸が止まっているけど。悩み事?」
おっとっと、考え込んでしまっていたらしい。気を付けないと。
「じゃあ、元気が出るように…はーい、あーんして♪」
アナスタシアさんが卵焼きをつかんで僕の前に差し出す。
…気持ちはすごくうれしいんですが、微妙な視線が三つ僕に向かってくるし!
カイザスさん、桜姫の視線はまだしも、池内女史の視線には明らかに『危険な色』が混じっているのですが?!
「そ、そうだ!アナスタシアさまもよかったら、これをお召し上がりください!」
池内女史が持参したらしい、牡蠣の佃煮を取り出した。
行動からして、『あーん』で食べてもらいたいようだ…。
「池内さん、『アナスタシアさま』と呼ばれると肩が凝るからさ。もっと気楽に『ナースチャ』と呼んでくれるかな?」
アナスタシアさんがにっこりと池内女史に微笑みかける。
その素敵な笑顔に池内女史と桜姫が思わず見とれている…僕もですが…。
はっ!今絶対に池内女史の好感度が上がったよね?!!
池内 沙奈絵 17歳 人間 女
特記事項 現在『恋愛中』 対象:アナスタシア 愛の深さ:LV7
はうーー!『レベルアップの歴史的な瞬間』が!!
「じゃ、じゃあ…ナースチャ…様♪」
「なあに、沙奈絵さん♪」
はっ!池内女史がみるみる至福の表情に変わっていく!!
「ナ…ナースチャさん♪」
「なあに。桜ちゃん♪」
桜姫もものすごくうれしそうだ!!
「やあ、ナースチャ♪」
カイザスさんが歯をキラッと光らせながら囁くような甘い声で言う。
「……なんだい、カイザス!」
「言い方と顔の表情が二人と違う!!差別だ!!」
「言い年をしたおっさんが、何言ってんの!!かわいい二人の御嬢さんと対応が違うのは当たり前だから!!もちろん、巧人から言われたら……もっと違うけど……♡」
はっ!明らかに『おねだりする視線』でアナスタシアさんが僕を見てるし!!
「………ナ……ナースチャ……さん…。」
「えええええええ!!『さんづけ』なの?!呼び捨てか、『ちゃん』付けか、『マイハニー』くらいで呼んでくれなきゃ♪」
照れながら、アナスタシアさんが僕を見ている。
「このリア充が!!!」
「カイザスさん!いきなりヘッドロックはやめてください!!」
「…他の二人の心の欲求に私が応えただけだ!!」
……確かに桜姫と池内女史の僕を見る視線はかなり冷たいです。
「いやー、本当にごはんおいしいでーす♪」
……あの、どうしてシーボルト博士までいるのでしょうか……。
まさかこの人まで『アナスタシアさんラブ』とかないですよね…。
フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト 45歳 人間 男
特記事項 『興味深々(実験対象として)』 対象:カイザス 興味の深さ:LV15
……この危険人物は『ゴミ箱に捨てて』かまわないですよね?!
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いよいよ、神託の予告の日になった。
満月の夜、大江戸城は異常な緊張に包まれている。
要望を受けて僕が具現化させた刀を、アナスタシアさんが早くも腰に下げている。
ちなみに旗本衆は『満月の夜によく出没する獣人系の敵には銀の武器が効果が高い』というシーボルト博士の助言を受けて、火縄銃用の銀の弾丸を準備して待機中だ。
だんだん夜も更けていく中、やたらと犬の鳴き声が聞こえてくる。
犬たちも大江戸に起こる事件に気が立っているのだろうか?
「巧人、みんな、気を付けて!!この吠え声はただの犬じゃない!!」
アナスタシアさんの注意を受け、みんなが武器をしっかり構えだす。
カイザスさんも『銀のメリケンサック』を装備し、桜姫も『月光』を構え、シーボルト博士すら水晶球を用意して待機している。
そして、おびただしい数の『犬の吠え声』が城に近づいてきたかと思うと、その軍勢の全容が明らかになった。
あれは『獣人』?!……いやいや、なんか『ゆるきゃら系』だよね??!!
二足歩行するゆる系の犬の着ぐるみ?の頭はなぜかちょんまげだ!!
『日光江戸村のにゃ〇まげ』のパクリですか?!!
名前:わんまげ ゆるきゃら系獣人
レベル:33
スキル:剣技 格闘
称号 ゆる系魔獣
弱点:ゆる系とは言え、一応獣人なので、銀の武器も『それなり』に有効
おびただしい数の刀を構えた『わんまげ』がわんわん吠えながら大江戸城の城壁を登ろうとしている!
旗本衆や御庭番集たちが火縄銃でガンガン銀の弾を打ち出し、何とか城壁を超えるのを食い止めている。
第二勇者隊も魔法を使って頑張っているようだ。
「よし、怪人が来るまで俺らも少し……。」
アナスタシアさんが飛び出そうとした時、ワオーーン!!というひときわ大きな吠え声とともに大きな人影が姿を現した。
その人影は満月の光を浴びると、巨大な二足歩行の巨大なオオカミに姿を変えた。
身長が五メートル近くあり、両手から伸びた鋭い爪が1メートル近くあるその怪物は僕らを睨みつけると叫んだ。
「大江戸城も対魔獣隊も今夜で最期だ!! 俺は伴天連怪人四天王筆頭!!
狼男男だ!!」
「え、怪人さん、なんかおかしなことを言っているよ。仮面ライダーでも怪人の時は名前が『狼男』だったはず?!」
僕の疑問にシーボルト博士が応える。
「おー!伴天連の怪人はー、モデルになったモンスターの名前の後に『男』がつきまーす!あそこにいるのは『狼男』の怪人ですからー『狼男男』でーーす!!」
「「「「………。」」」」
今までで最高に危険なオーラを放ち、最高に変な名前の怪人と僕らは相対した。




