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16 嵐の前の…

 お城での定時報告が終わった後、秘密の茶屋に向かう途中、『二ツ橋勇者隊』がこちらに歩いてくるのが見えた。

 うわー、あの連中…あれ、三人ともものすごく落ち込んでいるように見えるのだけど…。


 「どうかなさったのですか?」

 桜姫が心配して声を掛ける。一応ライバルとは言え、『伴天連を相手』に共闘している仲間ではある。さすがは桜姫。


 「ええ、あなたたちとの試合にも全然勝てず、ヴァンパイア男に全員魅了されてしまって、全く役に立てなかったので、二ツ橋公から『クビ』を言い渡されたのです。」

 池内女史がしょげ返りながらも何とか言葉を出す。

 他の二人はさらに落ち込んでいるようだ。


 「水守、貴様らのせいだ!何度も姑息な術で我々を煙に巻いてくれよって!」

 「何を言ってるんですか!真っ向勝負に負ける方が問題なんです!!」

 皇が逆恨みで叫ぶのに対して、桜姫が皇を睨みつける。


 「いやー、クビになってよかったじゃん。」

 アナスタシアさんの言葉に全員が凍りつく。

 アナスタシアさん、自業自得とは言えいくらなんでもその言葉は…。


 「だって、メデューサ男とヴァンパイア男の攻撃が『相手を無力化した後放置』するタイプだったからよかったものの、普通なら『全滅』しているわけでしょ。

 今、生きていて、しかも、君らが絶対勝てない強敵との戦いから解放されたわけだから、命が無事で済むわけじゃない。」

 アナスタシアさんの池内女史たちを見る目はとても優しかった。

 ごめんなさい!!危うく誤解するところでした。


 「桜姫、二ツ橋公がせっかく彼らを手放してくれたんだから、幕府の方で『公式な役目』についてもらったらどう?

 四天王クラスの相手はともかく、最初に出た『しゃちにゃん』クラスの相手なら十分すぎるくらい活躍してくれそうだよ。」

 「アナスタシアさん、さすがです!!

 さて、池内さんたち。よかったら幕府内であなたたちに活躍してもらう場所はいろいろあると思います。

 よかったら、二ツ橋公ではなく、幕府の方で公式にあなたたちに仕えてもらいましょう。」


 「ありがとうございます!!ぜひお願いします!!」

 池内女史が頭を下げた。女性の方が立ち直りが早いというのは本当のようだ。

 そして、池内女史はアナスタシアさんの手を握ると目をキラキラさせた。


 「これもアナスタシアさまのおかげです!!

 今から『アナスタシアさまのため』にがんばります!!

 これからもよろしくおねがいします!!」

 …えーと…、なにか違うスイッチが入ってしまった気が…。


 池内女史を見ていると、自然に彼女を鑑定してしまう。


池内 沙奈絵 17歳 人間 女

善良度:☆ Ⅹ  4.5 (通常は最低☆~最高は☆☆☆☆☆)

特記事項  現在『恋愛中』 対象:アナスタシア 愛の深さ:LV4


 この前から池内女史の様子がおかしいと思ったら、そういうことだったの?!



 彼ら三人と桜姫は今後の打ち合わせのために城内に戻り、僕たちはお茶屋に先に行っていることにした。

 なお、彼ら三人は二ツ橋公の術師に元の世界に返してもらうか、カイザスさんの師匠が迎えに来てくれる際に僕と一緒に返してもらうかを状況次第で決めることにした。



 「おーー!日本のお茶菓子おいしーでーす♪」

 お茶屋に行ってしばらく待つと桜姫がドクターシーボルトを連れて戻ってこられた。こちらに初めてのシーボルト博士は和菓子とお茶を楽しんでおられる。


 考えてみればドクターも魔術などの詳しいだろうから、池内女史たち三人の召喚に関する話をいろいろ聞いてみた。


 「おー!二ツ橋公に彼らを元の世界に返すことはできませーん!」

 シーボルト博士が断言する。

 「二ツ橋公は冷酷なところがありますから、彼らのことなど考えていなかったのかもしれませんね!でも、どうしておわかりになるのですか?」

 桜姫が問い返すと…。


 「なぜなーら、二ツ橋公に頼まれて彼らを呼び出-したのは他ならぬ私だからでーす。

 私は召喚する方法は知っていても、帰す方法は知りませーん。」

 「……二ツ橋公はそのことを…?」

 呆然とされながら桜姫が何とか言葉を出される。


 「もちろん、知りませーん。彼は目先のことしか興味あーりませんから。

 本当に困ったものでーす!」

 「本当の困りもんはあんたの方だ!!」

 アナスタシアさんがシーボルト博士にヘッドロックをかける。


 「おー!やめてくださーい!!!私の灰色の頭脳がおかしくなってしまいまーす!!

 でも、ご安心くださーい。彼らを元の世界に戻す方法がありまーす!」

 「へー、それはどんな方法かな?」

 アナスタシアさんがシーボルト博士を開放してジト目で見ている。


 「あなたたちが戻られるとき彼らも連れて帰られればいいのでーす。こーれでバッチリでーす♪」

 「なにが『バッチリ』だ!それ、最初から俺らが言ってるやん!!」

 ねえ、この人殴っていい?思い切り殴っていいよね??!!


 「落ち着け、アナスタシア!」

 カイザスさんが冷静な口調で言う。

 「価値観や感性がおかしい『不思議ちゃん』にいくら理を説いても、なかなか受け入れられるものではない。

 広く優しい心で包み込むように余裕で相手をしてあげるしかないのだよ。」

 「……確かにその通りだ。ごめん、『日ごろの体験』からもっと学習しておくべきだった。」

 アナスタシアさんの言葉に僕と桜姫が『深く共感』してうなずく。


 「そうか、わかってくれてうれしいよ♪」

 カイザスさんが歯をキラッと光らせて笑う。

 カイザスさん、あなたで『十分学習』しましたから、おっしゃる通りにしたいと思います。



 「ところで、シーボルト博士。先日『文字盤で情報収集』をやったわけですが、今日は文字盤はお持ちではないですか?」

 桜姫が気づいて言う。


 「おー、残念でーす。今日はおやつのことしか考えてませんでーした。」

 …そのための専門家じゃなかったんですか?!


 「ねーねー巧人。巧人が俺らの守護神を『鑑定』したら、直接情報を教えてくれるとかないのかな?」

 「…確かに、先日はアナスタシアさんの守護神のアテナさんの話を『コックリさん』で文章にしてもらったんですよね。よし、やってみますね。」


 「よし、ちょうどいいから、ついでに『巧人への愛の深さ』も一緒に鑑定してしまうのだ!!」

 「カイザス!余計なことは言わなくていいから!!」

 今度はアナスタシアさんがカイザスさんにヘッドロックを掛ける。

 二人とも仲いいなあ。


 今度はなんとか、『別件をスルー』して、アテナさんにたどり着くことができた。


 『 【梅干しの酸っぱさを意識しないで下さい】と聞くと必ず意識させられるよね。

 カイザスというか、ニャントロホテップの使っているテクニックはそれだから。

 そういう時は他のことを意識すれば大丈夫』

 というアナスタシアさん(アテネさん)の助言が役に立ったようだ。



名前: パレス・アテナ 女神(ギリシャ神話で有名) 

特徴 アナスタシアの守護神 戦神 知恵の女神


 よしよし、出てきてくれたぞ。


 『はーい、巧人君。お元気?いつもアナスタシアちゃんがお世話になっているわ。』

 いえいえ、こちらこそお世話になっています。


 『もうね!ナースチャ(アナスタシアさんの愛称)たら、かわいいのよ♪

 日に日に巧人君への愛情が増えているみたいよ♪今日の愛はなんとLV13!よかったねー、巧人君♪』

 カイザスさんの罠を回避した意味がなくなってます!!


 『そうそう、今回の巧人君とのチャンスを逃すと、次のチャンスは10年後だから!

 巧人君、しっかりと『確保』しておいてあげてね♪』

 ねえ、アテネさん、いったい何を言っているの??!!

 話がどんどん脱線していっているんですが!!


 「…10年…巧人に逃げられたら、次は10年後……。」

 ああ、アナスタシアさんが真っ青になられてる!!


 『よかったら【ナースチャ】て呼んであげて♪』

 アテネさん、さりげなく会話に入り込まないでください!


 『カイザスのことも【カイくん】と呼んであげて♪』

 関係ないニャントロホテップさんまで割り込まれてきているんですが!!


 「アナスタシア、よかったね♪万が一の場合も『10年後にはチャンスがある』んだね。永久に来ないかと思っていた。」

 「カイザス!!余計なお世話だ!!!」

 …アナスタシアさんがヘッドロックを……。


 「皆さん脱線は止めて本筋に戻りましょう!!」

 僕が叫ぶと、お茶室がやっと静かになった。


 『 わかったわ。伴天連に関する重大情報をお伝えするわ。

 だから、ナースチャのこと、よろしくね♪』

 結局その話に戻るんですか…。


 「さて、伴天連だけど…1週間後に『総攻撃』に出てくるようね。

 皆さん、心して準備を進めてください。」


 アテナさんの言葉に全員に緊張が走った。


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