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15 夜の帝王

サーベルを抜いて構える、イケメン吸血鬼怪人が僕らを睨みつけている。


名前: バンパイア男

伴天連怪人 

レベル:320

スキル: 剣術(LV100) 魅了の視線(LV100) 吸血(LV80)口説く(LV110)

称号 怪人五天王

特徴: 美女と美少女が大好き。

特記事項 魅了の視線を受けた相手や血を吸った相手をコントロールできる。

※血を吸われた相手は吸血鬼にはならないが、数倍の怪力になり、『解毒』されるまで、コントロールされたままになる。


鑑定した結果、敵はかなりの強敵だとわかった。

わかったのだが……どうして毎回突っ込みどころが満載なんですか!!


『怪人五天王』て何?勝手に一人増やしてるよね?!


『美女と美少女が大好き。』とか、『口説く(LV110)』とか、

カイザスさんの同類だよね?!


僕が特記事項をカイザスさんに説明するとほぼ同時にアナスタシアさんが叫ぶ。

「巧人!ハリセンをお願い!!」


僕が出したハリセンを巨大化させると、アナスタシアさんは切りかかってきたヴァンパイアと男を、一閃した。

ヴァンパイア男は近くの蔵の壁にめり込んだが、そこから何とか抜け出してきた。

あちこちから血をだらだら流しながらもヴァンパイア男は笑った。


「はっはっは、『不死身のヴァンパイア』にその程度の攻撃が効くと思ったか?!」

……むちゃくちゃ、痛そうだし、ものすごく効いているように見えるんですが…。


「なるほど…さすがは不死身の吸血鬼!だったらこれはどうだ!!」

アナスタシアさんは叫ぶと、あっという間に間合いを詰めてヴァンパイア男の眼前に迫っていた。


「ホーリーウォーター・ガーリック・クロス・アタック!!!」

聖水、ニンニク・十字架の名前を付けただけのハリセンの一撃は再び、ヴァンパイア男を蔵の壁にめり込ませた。


さっきより明らかにふらふらになりながらもなんとかヴァンパイア男は壁から抜け出して立ち上がった。

「…『不死身のヴァンパイア』に……げふげふ……その程度の……攻撃が効くと………思ったか?!ごほごほ…。」

明らかに『死にかけ』ですよね?!

どんだけやせ我慢しているんですか??!!


「よし!技の名前を変えたおかげで、『さっきよりは』効いているぞ!!」

アナスタシアさんが嬉しそうに言う。

…えっと…最初から思い切り効いているんですが…。


「アナスタシアさん、その技の名前は?」

「ああ、友人から助言をもらったんだ。技に『効きそうな名前』を付けると明らかに効果がアップするって!何でも『プラシーボ効果』というやつらしい。」

アナスタシアさん、それ、『騙されて』ますよね?!


「その友人も『技のネーミングを工夫』することで、技の威力がアップした体感をたくさんしていると言っていたからね。私も真似をしたんだ♪」

どんな友達なんですか?!会ってみたいような、みたくないような…。



「なかなか、やってくれるな…。だが、このままでは終わらん!」

ヴァンパイア男は近くに来ていたカイザスさんを睨むと目をぎらっと光らせた。

しまった!魅了攻撃か?!


しばし、立ちすくんでいたカイザスさんだが、ふっと笑って言った。

「残念だな!心の中に『愛する巧人』がいてくれる限り、そんなもの私には通用しない!!」

そのセリフめっちゃ嬉しくないんですが……鑑定の結果、本当にその通りでした…。

しかも、『 現在『恋愛中』 対象:巧人 愛の深さ:LV10 』前回が愛の深さがLV7だったので、大きくアップしてますよね!?


「はっはっはっは!見たか、アナスタシア!!私の愛は前回より大きくアップしたぞ!」

いやいや、どうして話がそっちに向かうんですか??!!

しかもアナスタシアさんに矛先を向けてどうするんです!!


「なんだと!!巧人!俺の方も鑑定して!!!」

いやいや、アナスタシアさんもそんな場合では!!

と言いつつ、注意がアナスタシアさんに向いたせいで、結果的に鑑定してしまう。



名前:アナスタチア(ナースチャ) パザロヴァ 一九歳 人間 女

一六五センチ 五五キロ 八四 五九 八三

レベル:1267

精霊騎士

スキル:剣技(LV403) ロシア語(LV4) 日本語(LV3) 英語(LV2)

 気を込める(LV242)料理(LV2) 家事(LV1)オーラ視(LV51)

 魔法:武器具現化補助(LV203) 防具具現化補助(LV200) 回復(LV21)

称号 異世界勇者 不死の騎士(双子揃って)モンスターバスター一〇星 

対魔獣隊・隊員

善良度:☆☆☆☆☆☆☆ (通常は最低☆~最高は☆☆☆☆☆)

特記事項  現在『恋愛中』 対象:巧人 愛の深さ:LV12



えーと……料理が料理(LV2)になって…『 愛の深さ:LV12 』……さらに増えてくれてます…ということは……。


「はっはっは!『差が詰まってきた』な、アナスタシア!!間もなく抜いて見せるぜ!」

「くっ!!負けるものか!!!」

……あの、お二人とも…そんなことをしている場合ではないのでは?!

それにそもそも『数字を競い合うものではない』気がするのですが……。


「お前たち!人を無視するんじゃない!!」

いつの間にか蚊帳の外に追いやられていたヴァンパイア男が近づくと、アナスタシアさんが怪人を睨みつけた。


「人の恋路を邪魔する奴は『ハリセンはたかれて』死んじまえ!!」

アナスタシアさんの意志力でさらに巨大化したハリセンでヴァンパイア男は空の彼方に吹っ飛ばされていった。



「さあ、改めて勝負だ!アナスタシア!!」

「ふ、望むところだ!!」

完全に脱線してアナスタシアさんとカイザスさんがにらみ合っている。

その行動に何の意味があるんですか?!!


「待ってください!恋愛は一方通行じゃないですよね!この場合は肝心なのは巧人さんのお気持ちですよね!」

桜姫が二人の間に割って入ってくれる。


「そうか、ごめん、桜姫の言うとおりだ。で、巧人、どうなってるの?」

ニコニコしながら期待するように僕の方を見る、アナスタシアさん。

それ…明らかに『僕の状態を鑑定』しろという要望だよね?!


特記事項  現在『恋愛中』 対象:アナスタシア 愛の深さ:LV10


我ながら公表するのは恥ずかしいです…。アナスタシアさんがニコニコしながら寄り添ってくれること自体は…めっちゃ嬉しいですが…。

あと、カイザスさん、『巧人と並んだ♪』と嬉しそうに独り言を言うのはやめてもらいたいです。


三奈木さんはやれやれ…といった感じで肩を竦めておられる。

…あれ、桜姫がなぜか寂しそうな表情をされているんですが…。


「あの、桜姫?」

僕が声を掛けると桜姫はきょとんとされていたが…。


「さあ、巧人!桜姫の『恋愛の悩み』の解決のために鑑定するのだ!!」

カイザスさんが爆弾を投下されたよ?!!


そして、カイザスさんの思惑通り?ついつい鑑定してしまった結果…。



名前:桜姫 一五歳 人間 女

称号 将軍の娘 隠密集棟梁(おんみつ姫)対魔獣隊司令 

善良度:☆☆☆☆☆☆ (通常は最低☆~最高は☆☆☆☆☆)

特記事項  現在『恋愛中』 対象:巧人 愛の深さ:LV2



えええええええええええええええ!!!!

僕が完全に硬直し、それを見た桜姫が半泣きになり…事態を察した残りの三人は…真っ青になった。




浅草の某お茶屋に移動して、極秘会談になった。

「みなさま。この件はご内密にお願いします。」

三奈木さんが僕らに頭を下げる。


「あの…アナスタシアさん、ごめんなさい」

桜姫がアナスタシアさんに一生懸命謝っている。


「いえいえ。全然謝られる必要なんてないですよ。好きなものは好きなんですから…。」

アナスタシアさんはすごく優しい目で桜姫を見ている。


「その通り。好きになってしまうのは仕方ないですよ。人間ですから。」

カイザスさんもらしくもない優しいことを言っておられる。


「アナスタシアさん、カイザスさん、ありがとう。」

桜姫の顔がパッと明るくなる。

それを見て、僕もやっと重い気分が楽になってくる。


「カイザス、いいこと言うじゃないか。」

アナスタシアさんがニコニコしながらカイザスに笑いかける。


「なに、最近私も似たような体験をしてね。

最近家々将軍のことが気になってしょうがなくてね…。

将軍も『まんざらではない』ようなご感触なのだよ…。」

……ほんわかしてきていた部屋の空気が一気に凍りついた。


「……もしかして、一緒に夜の舞踏場に行っていたり、『前々回一緒に虫取り姿』になっていたのにはそういう伏線があったわけ?」

アナスタシアさんの言葉にカイザスさんがうなずく。


「…みなさま。この件はなにとぞご内密にお願いします。」

三奈木さんが必死に僕らに頭を下げ、僕らも振り子人形のようにうなずいた。


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