ミスタートラベリングだよ☆
目が覚めるとそこは……
電信柱の上でした。
そう。電信柱。
しかも真っ白な空間にただ電信柱だけがあるんだよ。
しかも俺の分の電信柱以外にも、目の前にもう一本あって、さらに目の前の電信柱にはてるてる坊主が……
「ごめん。さすがにわけわからん。」
「だろうね☆
まぁ、僕神様だよ☆」
うわぁベタだなぁ…
「て事は俺は死んだパターンなの?」
「うん☆
て言いたいけど違うんだよねー☆
暇つぶしに水たまりに扮した魔法陣を作って人間引っ掛かれば楽しいな☆と思って罠を仕掛けてたら引っ掛かったんだ☆」
「え、何それ神様って人間おもちゃにしてんの?
ふざけんなよ。」
俺の発言により、いきなり神様(自称)の空気感が変わる。
「神様にふざけんなよって言うお前がふざけてんだろ?
佐藤金愚。
平凡な苗字に金愚という珍しい名前。
それなのにいじめられっこの悲しい人間よ。
一つだけ警告しておく。
お前の命は今俺が握っている。
それだけは忘れるなよ?」
(な、なんなの?こいつ。
まじで性格がわかんねぇ。)
「へっ、命なんていらねぇんだよ。
欲しけりゃくれてやるぜ?」
内心ガクガクブルブルだが強がってみる。
「怖がってるくせに強がっちゃってー☆
ま、ひとまず言っとくとね。
君、今からまたさっきの言葉の通じない世界に戻るんだ☆
一応向こうの言葉も通じるようには変更しておいたから安心してね?
あーあれは傑作だったなー☆
言葉通じてないのにまさかあんなことゆうなんてね☆
金愚君は多分適当に言ったんだろうけど相当おもしろいことになってるよ?」
あーーいやだ。
知りたくない。
もどりたくない。
嫌な予感しかしない。
なんでこんな事に…
「ねぇ、他の世界に変える事は出来ないの?」
「言うと思ったよ☆
勿論出来るよ?
しないけど☆」
「頼む!
それかせめて何言ったか教えてくれ!」
「それはお楽しみってことで☆
まぁ、行ってらっしゃい☆」
俺の立っていた電信柱がみるみる短くなっていき、地面に近づいていく。
と思いきや地面が無いことに気づいた。
「え?どうなんの?」
どんどん神様が離れていく。
くそぅ、どのみち転送されるならせめてこれだけは聞いておきたい!
俺は、すでに姿がほとんど見えていない神様に向かって叫んだ。
「なんで電信柱の上やったん!?」
俺の問いかけに返事はなかった。
そして意識が遠のいていく。
(本当に電信柱の意味が分からなかったなぁ…)