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フレイムレンジ・イクセプション  作者: 九条智樹
第2部 クロス・ライト

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第3章 濃霧 -4-

「――さて、仕切り直しといこうか」


 七瀬と榊が壁の向こうに取り残され、落合はそう宣言した。

 その言葉に東城と柊は構えながらも、まだ動き出す気配がないからか小さく会話を始める。


「……柊。経験則でいいから訊きたいんだけど、日高がヒナの足止めできるのって、何分が限界だ?」


「その質問をしてる時点で、アンタだって日高じゃ保たないとは分かっているわけね。ま、だいたい十五分ってトコかな。でも、どうせ七瀬が先に榊を倒して追うだろうし、その分を見積もれば三十分はいけると思うんだけど。――アイツが素のSっぷりを出しさえしなければ」


「……出すだろうなぁ。半分舐められてるようなものだから、絶対怒ってるし。となると、俺たちがヒナを探す時間も含めたらかなりキツイんじゃねぇか」


「でしょうね。でも、だからってさっさと倒せるほど安い相手じゃないわよ」


 目の前にいる二人は、共に九千の能力者の頂点であるアルカナだ。

 重力操作能力者のアルカナ、万物ノ刑死者の落合雄大。

 地形操作能力者のアルカナ、大地ノ恋人の三田芽依。

 どれほどの強さかは分からないが、どちらも容易く捻られるような相手ではないことだけは確かだ。


「……相手の能力とか知ってるか?」


「説明してる時間はないわね。それくらいには強いって思っといて」


 柊の言葉と同時、落合が飛び出した。

 それも、人としての速度ではない。常人の二倍、いや四倍近いのではないかという速度で、猛然と東城に突進していく。


「舐めんな」


 東城は爆発を生み出して、それを正面から吹き飛ばそうとする。

 だが落合の言葉の直後、見えない何かが吹き荒れた。衝撃波が拡散し、ギリギリ落合が通れる道が作られる。

 東城の目の前に来た落合はそこで一旦停止し、刹那、放たれた拳は東城の鳩尾を抉った。

 軽々と吹き飛ばされ、数メートルも転がった。

 だが、それだけで終わらせるほど優しい相手ではない。


「芽依!」


「分かってる!」


 言葉と同時、芽依が地面を叩くように手をついた。その直後、まだ倒れている東城を囲むように――否、押し潰すように隆起したアスファルトが襲いかかる。


「大輝、斬りなさい!」


 柊の声が聞こえる。まだ状況が飲み込めない東城はただそれに従って、プラズマのカッターでアスファルトを粉々に切り刻む。

 だがそれは気休めにしかならず、既に新たなアスファルトは隆起し始めている。しかし鳩尾を殴られた東城はまだ起き上がるだけの余裕はなかった。

 東城が押し潰される前に、東城が作った僅かな隙で柊は東城を抱きかかえて退避した。


「助かった、柊……。ありがとな」


「助かったことは私が助けたんだから分かってるわよ。それに、お礼なんかいらないわ」


 素っ気なく柊は言って、そのまま空中へと飛翔する。アスファルトによる圧殺から逃れる為だろう。


「飛ばさせると思うか?」


 落合が東城たちに手をかざす。瞬間、がくんと増した重量を感じて落下し始める。


「つ……っ! これが重力操作ね……っ」


 飛び続けることが困難だと思ったらしく、柊は仕方なく着地を試みる。だが、その瞬間にアスファルトが姿を変えて巨大な剣山のように東城たちを待ち構えた。


「くそ!」


 東城が爆発でその杭をまとめて薙ぎ倒し、どうにか安全に着地する。しかしそれら全てが紙一重の回避であったことは間違いない。


「コンビネーションが絶妙すぎて隙がねぇな……ッ」


「……ちょっと、無理やりねじ込んでみようか」


 柊はそう言うと同時、何の予備動作もなく電撃の槍を放つ。だがそれは、やはり隆起したアスファルトが盾となって受け止めてられてしまう。


「やっぱり駄目ね。これは相性が悪いかも……」


 柊は珍しく弱気な発言をしていたが、それも仕方ないだろう。重力操作能力者が相手では、こちらの基本戦術である加速がそもそも役に立たない。代わりの大技も、三田の地形操作によって作られた壁で尽く防御されてしまう。

 このままではこちらの攻撃が一切通らないまま、向こうの攻撃でじわりじわりと集中力を削られ、ダメージを重ねられてしまう。


「七瀬がいれば防御力は多少でも期待できたんだけどな……」


「無い物ねだりしないでくれる?」


 とは言え、劣勢もいいところだ。本心ではまるで諦めていないが、泣き言の一つや二つ吐いておかないとやってられない。


「――貴様たちに勝ち目がないことは、もう分かっただろう? 道を開けろ。これ以上はただの時間の浪費だ」


「ふざけんな。宝仙一人に全部を押し付けてそれで終わらせられるような偽善者に、負けるわけねぇだろうが」


 劣勢でも、その東城の眼光はまるで揺らごうとはしなかった。ただ変わらず、かの最強の名に相応しく吠える。


「……そんな甘い考えで、よく生き延びられたな」


 笑い飛ばすような落合の口調が、耳に障った。それにかぶせるように三田も口を開く。


「私たちの世界はそんなに甘くないんだよ。狩るか狩られるか、ただ強者が弱者を喰らう、そんな世界。そこを、私たちは生き抜いてきたんだよ。一年もの間、顔も知らないような大勢の“誰か”を守るために」


 何についてのことを言っているのか、東城には分からない。だが、その言葉には確かな重みがあった。


「……随分と悠長に語るんだな」


「争わずに済む術が人にはあるからな。すぐに何でも戦おうとは思っちゃいない」


 落合にたしなめられて、東城も渋々だが構えを解く。どうせ元々から酷く劣勢だ。ここで無駄に気を張る方が馬鹿らしい。


「……俺たちはその不特定多数を守ろうとする度に選択を強いられてきたんだ。同時多発的に起こる戦闘のどれか一つしか止められない、なんてことは腐るほどあったからな」


 落合は歌うように語る。それにはまるで幼い子供を諭すかのような雰囲気があった。ただ東城の戦う理由は間違っている、とでも言いたげに。


「誰かを守るために誰かを捨てる。そんなことの繰り返しで、それでも私たちは、確かに九千人の能力者を守り抜いてきたんだ。それをあなたに偽善だなんて言われる筋合いはないよ」


「……アンタたち、もしかしてあの暗黒期の……」


 柊はそれ以上言葉を続けなかった。訊かずとも、もう確信したのだろう。


「何だよ、暗黒期って」


「そういう時代があったのよ。今から二年くらい前ね、ある能力者がやりだした、凄惨な時代よ。そいつを筆頭に、酷い思考を持った連中が大量に湧きだした」


 そうやって説明する柊の顔が曇る。

 十日前に能力者の説明をしていたときでも、これほど暗い顔はしていない。つまり、その暗黒期という存在は柊にとっても少なからず暗く重いものなのだろう。


「目的は、ストレスの発散。題目は『能力者としての優劣を決めること』だったかしらね」


「そう。まぁ実際のあの男はただ人を切り刻むことに快楽を覚えているようだったがな。そして何より、あの男は強すぎた。能力も、その負のカリスマ性もだ」


 そう語る落合が、拳を握り締める。


「優劣を決める? 研究所でそんなこと――」


「研究所じゃないよ。たった月に一度しかない自由の日に、外で戦うの」


「外……?」


 能力者が外に出られるのは月に一度のみだが、確かに出来ないことではない。むしろ研究員の目がないからこそ、好き放題できる。どれほど酷い怪我を負わせようと研究所は瞬間移動で連れ戻すし、戻れば肉体操作能力者が治療をするだろう、何より月に一度しか自由はないと言っても、全体でみれば毎日三百人の能力者が外に出ている。戦う相手に事欠くことはあるまい。


 それ以前に、一般人にばれる可能性もあるが……、


「その為の、クラッキングか」


「そう。一般人にばれることは研究が最も忌避することだ。そして俺たちの命は、その研究所に握られていた。そんなことをして殺されない為に、あの男が提唱した方法がクラッキングだ」


 そう言って落合は目を閉じて当時を鮮明に思い描いたのか、もう一度開いた時の彼の瞳は、光を失い真っ黒だった。


「地獄だった。文字通り、血で血を洗う日々が続いていた」


「あの男のカリスマ性に魅かれて気が大きくなった連中もいた。結果、能力者は暴れる者と粛正する者、そして無関係に巻き込まれる者の三つに分かれた。だから、私たちはそういう負に属した連中から弱い能力者を守る為に、必死に戦ってきたんだよ」


 三田の瞳は、どうしてか、僅かに濡れているように見えた。

 そして、こう付け加えた。


「陽輝と一緒に、ね」


 その言葉の意味を、東城は知らない。その言葉に秘められていた感情すら、彼には理解できなかった。


「陽輝……? そう言えば、日高もそんなことを――」


「まさか、陽輝ってあの双光ノ覇王(ザ・カタストロフィ)の?」


 柊が驚愕する。その彼の名前だけで、柊は全てを悟ってしまったようだった。


「そう。先代の光輝ノ覇者にして灼熱ノ天子。九千の能力者でただ一人、二つの能力を開花させた男だよ」


 落合の言葉にも、どこか憂いが感じられた。

 だがそれよりもまず、東城には気になることがあった。


「ちょっと待て。能力は二つ以上持つことは出来ないんじゃ――」


「それは、日常生活に支障のない範囲での話だ」


「元々ヒトの脳は一生分以上のデータを蓄えられるように作られているからね。その余剰分を占拠するのが一つの能力なら、寿命さえ縮めていいのなら二つの能力を持つことは不可能じゃないよね」


 変わらず悲しみに満ちた顔で、二人は説明をくれた。


「でも、日高の話じゃもう陽輝ってのは……」


「うん。――死んだよ」


 三田の声は、確かに震えて上ずってすらいたと思う。


「二重能力っていうのは、単純に二つの能力を手に入れるんじゃない。その二つの力を繋げるデータが生じてくるんだよ。つまり、能力を使えば使うほど二つの能力の結合は強まって、代わりに、脳の容量を圧迫するってこと」


 そこまで言われて、ようやく東城の中で繋がっていく。


「ま、さか……っ」


「そうだ。陽輝はそれを知りながら、暗黒期を収める為に能力を使い続けて、やがて命を落とした」


「霹靂ノ女帝でも知っているくらいだし、二年経った今でも燼滅ノ王に並ぶほどの伝説的な英雄だよ、陽輝は」


 何も、言えなくなる。


 誰かの為に自分を犠牲にする。なるほど、自分の生き様も死に様も、自分で決めたということだ。さぞ立派な人生だっただろう。

 だが、その結果がこの三人のアルカナを生み出したのか。目的のために少数を切り捨てることを是としてしまうような、こんなどうしようもない状況を。


「俺たちは、陽輝の為に戦い続ける」


「陽輝が護ったこの能力者の世界を誰かが壊そうと言うのなら、私たちは、それをどんな手段を持ってしてもその相手を排除するよ」


 つまりは、そういうことだった。

 彼女たちにとってこの能力者の世界は、誰よりも大切なものと引き換えにして得たもの。だから、これを失うということは彼の死の意味すら消してしまうということになる。


「……じゃあこれが、仕方ねぇことだって言うのかよ」


 納得など出来ない。彼らの想いを知ってなお、それでも東城はこれが間違いだと断定できる。


「ここまでの被害を出したヒナを殺す為に、宝仙ごと殺すっていうのか」


「そうだ」


 その返答に派僅かな間すらなかった。それが、東城には一番不快だった。


「それが陽輝の護りたかった世界なのかよ!」


「そうだ!」


 落合の怒号は、開けたこの空間でもよく響いていた。

 そこまで肯定できてしまうこの二人が、東城にはもう理解の外にあった。


「ふざけんじゃねぇ! 二重人格だって言うなら医者でも何でも連れて治してやれよ! まだ、ヒナがどうしようもない存在だって決まったわけじゃねぇだろうが!」


「どうしようも、ないのね……」


 だが、どうしてか柊は何かに納得してしまった。


「おい、ひいら――」


「アンタは知らないみたいだから教えてあげるけど」


 そして柊は言う。



「双光ノ覇王の本名はね、宝仙陽輝なのよ」



 思考に一瞬だが空白が生まれた。

 言葉が、出なかった。


「だから、宝仙は二重人格に……?」


 宝仙陽菜の兄である陽輝。

 彼の死は、宝仙陽菜の心を壊してしまった。とめどなく溢れる負の感情を、別の人格として押しとどめない限り、自我を保つことが出来ないくらいに。


 だから、ヒナは止められない。

 宝仙の心の傷が陽輝を失ったことなら、陽輝が絶対に戻って来ない今、埋めることなど不可能。彼の代わりに心を埋めるものなど、あるはずがないのだから。


「そうだ。だからもう、誰にもヒナを止めることは出来ない」


 名前で呼び合うくらいだ。宝仙陽菜とも、落合たちは親しかったはずだ。

 必死になって、ヒナを止める手を探ったはずだ。だから、二年もの間、ヒナはずっとなりを潜めていられたのだろう。


 でももう限界が来て。


 もう落合たちじゃどうしようもなくなって。


 だから、仕方なく宝仙陽菜を殺すしかなくなった。


 ――それでも。


「……認められるわけ、ねぇだろうが」


 誰が諦めようと、それが東城自身の諦める理由にはならない。

 まだ彼は、何もしていないのだ。それなのに、諦められるはずがない。


「……交渉決裂だな」


 落合は小さく呟いた。そして、途端に増加させた重力で東城たちを押しつぶそうとした。


「――が……っ」


 あまりの唐突な変化に東城は地面へ叩きつけられ、空気が肺から追い出される。

 その様子を見て、落合はくるりと背を向けた。


「芽依、行くぞ」


「……いいの?」


「わざわざ意識を奪うまで戦ってやる時間はない――」


「手加減してんじゃ、ねぇよ」


 だんっ、と東城はアスファルトを蹴りつけて、立ち上がる。

 身体が重い。血液が末端に降りてから昇ってくるまでに時間がかかるせいか、貧血にも似た目眩がある。体中の関節など、全身の荷重に耐えかねて悲鳴を上げている。

 それでも、彼は立った。


「……貴様は、なぜ立ち上がる」


 答えなど考えるまでもない、だから、迷わずに東城は言った。


「宝仙陽菜を、助ける為だ」


「……っ。出来るわけがない。そんな方法を、俺たちはずっと探し続けてきたんだ」


「俺は諦めねぇよ」


「何故、貴様はそこまでする!」


 落合が更に重力を増加させる。とうとう脚が耐えきれなくなって、東城は地面に片膝をついてしまう。


「お前にそこまで陽菜との接点はないはずだ。それで、どうして立ち上がる!」


 落合の叫びに、思わず東城は笑みが漏れた。

 彼もきっと、まだ宝仙を諦めたくないと思っていると感じられたから。


「――ちっぽけな理由だ。言ったって、どうせ笑うだろうよ」


 みしみしと骨が悲鳴を上げる。筋肉が引き千切れそうな痛みがあった。それでも東城は重力に逆らおうとする。


「お前も噂では知ってるはずだ。俺は、もう記憶を失ってる。能力者全員を助け出そうとしたあの頃の東城大輝(おれ)は、もういない」

 隣で柊が何か言おうとしているのが分かった。それでも柊は何も言わないでいてくれた。


「凄かったよ、昔の俺は。この街を作り上げる構想を持ってたんだろ? 俺なんかじゃ、思いつきもしねぇよ。九千人も完全に助け出そうなんて、そんな夢みたいなこと思えねぇよ」


 今の自分とかつての自分は違う。

 そう割り切ろうとしていて、それでも割り切れないことを東城は感じていた。


 だからこの十日間、東城は柊たちに自ら会いに行くことを恐れていたのだ。

 この街に来れば、七瀬と話せば、柊の笑顔を見てしまえば。

 今の自分とかつての自分とのギャップを、感じずにはいられないから。


「だからって、今のままでいたくはねぇ。昔の方が凄いんなら、俺はそれを超える。現実から逃げる気なんかねぇよ!」


 立ち上がる。

 何度も倒れ伏し、それでもなお、東城は立つ。


「だから俺は、見捨てねぇぞ。宝仙も、この街の住人の誰ひとり! 俺は、もうこれ以上何かを諦めたくなんかねぇんだよ!」


 かつて東城は、たった一つのことを諦めてしまった。


 東城が東城として在ろうとする限り、柊が傷付いてしまう。

 東城には彼女を慰めることも、彼女をこれ以上泣かせないことも出来ない。

 東城が立ち上がろうとすればするほどその姿はかつての彼と重なり、戦えば戦うほど彼のその姿はかつての強さを失っていることを見せつけてしまう。


 それでも東城は、戦うことを選んだ。

 絶対に柊を傷つけたくなかった。だがそれでも、東城はそのことを諦めたのだ。

 ただ一つの望みを捨てて、その代わりに、他の全てを手に入れる為に。


「――よく吠えるわね。聞いてるこっちが恥ずかしい」


 柊のため息交じりの言葉が聞こえた。

 ゆっくりと彼女も立ち上がる。重力の圧に逆らって、東城の横に立つ。

 屈託のない笑み、とはとても言えない。だがそれでも彼女の瞳に滾る電光は、確かな強さをたたえていた。


「……似ているな。顔もよく似ているが、そうやって立ち上がる姿はもう陽輝を見ているみたいだ」


 落合は一人納得したような、それでいてどこか寂しげに呟いていた。


「だがそれでも、俺はヒナを殺す。貴様が立ち塞がるというのなら、全力をもって相手になるだけだ」


 おそらく、どれほど言葉を尽くそうと落合は譲らないだろう。いまこの場での東城の言葉で揺らぐ程度の覚悟しかないのなら、亡くした親友の妹をこの手で殺めるなどしようとも思わない。


 だから残された手段は、ただ一つ。


「柊」


「何よ」


 訊いておきながら、既に続く言葉を分かっているからか柊は微笑んでいた。


「宝仙を助けたい。だから、勝つぞ」


「私は負ける気なんてはじめっからなかったわよ」


 柊はバチバチと全身から放電し始める。それはさっきまでと違って随分と派手に迸っていた。


「とにかく厄介なコンビネーションから崩そう。三田芽依は任せていいか? 落合は俺一人でやり合うから」


「了解」


 そう答えると同時、二人は左右に分かれて跳んだ。

 それにつられるように動こうとする三田を、落合が慌てて制止する。


「待て。これは分散させようという作戦だ――」


「待たねぇよ、バカが」


 三田へ注意を向けた一瞬に、得意の加速で落合の目の前にまで迫る。

 驚く間も与えず、東城の拳が落合の腹に刺さる。だが、重力操作で軽くなっているのか、インパクトが弱い。簡単に吹き飛ばされてしまうせいで、ダメージが伝わらない。

 しかしだからこそ、引き離すには打ってつけだ。



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