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フレイムレンジ・イクセプション  作者: 九条智樹
第5部 レイヴン・フェザー
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第5章 狂気の雪 -3-


「――はっ……はっ……」


 開始数分、東城は片膝をついた状態で荒く白い息を吐いていた。

 東城が繰り出す攻撃はことごとく避けられ、たったこの数分の間で、もう間合いを詰めることさえ出来なくなっていた。

 挙句に、この冷気だ。


「周囲の温度はわたしのコントロール下になるからね。大輝くんを殺す気はないから、今のところはマイナス十度くらいにしてあるし、だいたい真冬の北海道くらいかしら。――まぁ、半袖の夏服で過ごしてたら、凍傷になっても文句は言えない気温ね」


「――こっちは発火能力者だぜ? 凍傷になるなんて、恥さらしもいいところじゃねぇか」


 東城は笑い飛ばして、全身から紅蓮の業火を滾らせた。

 全てを呑みこむような、どこまでも深く赤い炎だった。


「そうね。炎を操ってその温度を伝播させれば、確かに大輝くんの周囲は常温に保たれる。でも能力による影響を打ち消さずに受け止めることは、お勧めしないわね。たとえば爆発は消して温度は残す、みたいに能力を部分的に打ち消すっていう芸当はレベルSでも出来ない。自分の操る炎の熱量を常にコントロールして自分が火傷を負わないようにすることは、大輝くんの演算領域を圧迫するわよ」


 それは東城にも分かっている。

 同レベルの能力者同士の戦闘において、演算領域を少しでも占領されるような事態になることは、即座に死に繋がるような危険な状態だ。

 それでも。


「勝ってみせる」


 東城は立ち上がり、宣言する。


「ここで俺が負けたら、真雪姉は美桜を殺しちまう」


「そんな結果にはならないように、全力は注ぐつもりよ?」


 あくまで彼女は、自身が正義であるかのように言う。

 だからこそ、東城は彼女と戦わねばならない。


「無理なんだよ、真雪姉」


 白銀の世界を喰らうように真紅の炎を迸らせて、東城は悲痛さに顔を歪める。


「だって、誰かを傷つけるかもしれないって、最初から分かってんだぞ。そんな方法で誰かを護るなんて出来るわけがないんだ」


 東城は神や仏など信仰していないし、ましてやまじないや迷信など科学で塗り固められた超能力者である東城が、信じられるはずもない。

 だが。

 たとえそこに明確な理屈がないとしても、こんな方法が成功して誰かが護られるなんて、あり得るわけがないと思った。


「出来るわよ。だってわたしは、大輝くんを護りたいもの。――今まで大輝くんがその想い一つで、何だってしてきたように」


「……あぁ、やっぱりそうなんだな」


 東城は小さく、何かを諦めるように呟いた。


「違うんだよ、真雪姉。あんたが持ってるのは、誰かを護りたいっていう願いや覚悟じゃない」


 燃えるような眼光で、東城は彼女を睨みつける。


「今まで俺がしてきたみたいに、何かが起きる前に事を納めたい。そんな妄想に取りつかれているだけなんだ」


 つまり。

 西條真雪は、本質を間違えてしまっている。

 彼女は最も大切な真実を見逃し、無視し、ただ過程と結果だけを得ようとしている。

 そんな人間が、誰かを護れるはずがない。

 ましてや、美桜の命を奪わずに無事に終わらせられるなんてあり得ない。こんな緻密な計画を、こんな危うい覚悟で完遂できるわけがないのだ。


「――人は、選ばなきゃいけない。それから目を逸らしちゃダメなんだって、俺は教えられたことがある」


 それは、かつて東城が七瀬に教えられたことだった。

 東城大輝は記憶を失った。そして、柊美里が想いを寄せているのは、記憶を失う前の自分なのだ。

 だからこそ東城は彼女の傍にいてはいけない。彼女の傍で彼女の知る東城大輝と同じ顔で笑うことは、彼女にとって何よりも耐え難い苦痛のはずだ。それこそ、傷口をナイフで抉るような、余りにも惨い痛みだろう。


 だから、東城は選ばねばならなかった。

 彼女を傷つけない為に、今の自分は姿を潜めて、彼女が誰かと戦うことさえ無視するか。

 たとえ彼女を傷つけようと、それでも彼女の傍に立って、彼女を護り続けるか。


 そして東城は、選んだのだ。

 誰よりも大切な者を泣かせてしまうことになったとしても、彼女を護り抜こうと。


「でもそれは、簡単に選んでいいものじゃないんだ」


 今でも東城は後悔している。

 こうして柊の傍にいることを、自分は楽しいと思えている。だが、彼女にとっては必ずしもそうではない。

 時折見せていた彼女の寂しげな表情。

 それを思い返す度、東城の胸は激しく軋む。


「だから、そうやって真雪姉があっさり何かを切り捨てた時点で、それはもう俺とは決定的に違うんだ」


「……言ってくれるわね」


 西條は歯を食いしばり、僅かな憎悪を東城に見せていた。

 否定や拒絶。それを感じ取った西條の怒りだろう。


「――俺は、誓ったんだ」


 自分の力ではどうしようもない。だがそれでも、柊を泣かせずに彼女を護るという、そんな些細な願いすら叶わないというのなら。

 その代わりに、自分の欲した全てを手に入れる。

 そうすることで自分が切り捨てた彼女の涙を、世界との天秤にかけても釣り合うような、重く尊いものにしてみせようと。


「俺は誰だって護るし、誰だって救ってみせる。――でもそれは、柊以外の誰一人として犠牲にする気はないって意味なんだ」


 だから、東城と西條は異なっている。


「こうして他の誰かを犠牲にするかもしれないことを簡単に許容してしまった時点で、真雪姉の目指しているものは俺とは違う」


 東城が誰よりも大切な一人を犠牲にしてでも、世界の全てを選んだのなら。

 西條が選んだのは、世界の全てを敵に回してでも、ただ一人を護るという道だ。


「……たとえ、そうだとしても」


 真正面から自分は間違っていると言われて、それでも西條は崩れることはなかった。


「このままなら、いずれ大輝くんが殺される。それは変わらない事実よ。――だったら、美桜ちゃんと大輝くんを天秤にかけるなら、わたしは迷わず大輝くんを選ぶ」


 曇りのない言葉だった。


「結局、その選択が後になるか先になるかの違いでしかないのよ。そして、後になったら美桜ちゃんに救いはない。でも今ならまだ美桜ちゃんが生き残る可能性があるわ」


「違うんだよ、真雪姉。もしそれが成功したとしても、次に美桜が目覚めるときは誰も残っていない、一人ぼっちの世界でしかないんだ」


「それでもいいじゃない。生きていれば――」


「いいわけねぇだろ。そうやって何かを終わらせてしまったら、取り返しのつかないことになる。そんな結末の未来なんて、可哀そうだろ」


「……なら、わたしに指をくわえて見ていろと? いずれ真実を知るであろう美桜ちゃんが、大輝くんに憎悪を向け、世界を憎み、君を殺すその瞬間まで、わたしは誰も殺さずに誰かを護れる道があると、信じていろと?」


 それは無理だろう。

 そうやって取り返しのつかないことになる前にどうにかする道を探して、彼女はここに辿り着いてしまった。


 きっとそう思うことだけは、間違ってはいない。

 でもそんな妄執は、いずれ彼女も周りも壊してしまう。それを東城は分かっている。

 自由に取り憑かれた七瀬が、自分を犠牲にしてでも東城を殺そうとしていたように、一番大切な何かを見失ってしまうのだ。


「――無理かもしれない。でも、そうするしかないんだ。そんな茨の道を、俺は進むと決めたから」


「……残念ね。大輝くんならわたしと一緒に来てくれると思ったんだけど。――なら大輝くんがわたしを止めるように、わたしも大輝くんを止めるよ。わたしの全力で」


 それは明確な拒絶。

 どちらの思想や覚悟も決して交わらないと知ったから、力でねじ伏せるしかないのだ。

 真っ白な冷気が吹き荒れる。

 同時、東城と西條は同時に駆け出した。


(真雪姉は手加減してて勝てる相手じゃねぇ。たとえ腕を吹き飛ばすことになるとしても、全力で行くしかない)


 神戸拓海(かんべたくみ)が地下都市に戻ってきていることを考えれば、命さえ奪わなければ助かる可能性は非常に高い。

 だからそのことに一切の躊躇を棄てて東城は前を見据え、紅の炎を全身に纏う。これで体温保持と防御を同時に行うことが出来る。


(周囲の雪で俺の方は空間の支配権を奪われたも同然だ。――だから、まずはそれを取り戻す!)


 指をパチリと鳴らすと同時、西條を囲むように五つ、真紅の爆発を起こす。


「凄いわね。でもいきなり遠慮なさすぎじゃないかしら」


 だが透明な氷壁に阻まれ、衝撃波はおろか爆炎の火の粉さえ西條の元には届かない。


「能力者はどんなレベルであれ、遠隔操作は得意じゃない。それは空間認識能力がそもそも瞬間移動能力者(テレポーター)の領域に当たるからよ。それなのにこうして遠隔で爆発を起こせるなんて、余程実戦を積んで距離感を掴むのに慣れてないと無理よ?」


「それを易々と防いでおいてよく言うぜ……」


 空間の支配権は未だ西條の手の中だ。炎を纏うことで最低限自分の周囲の安全は確保しているが、少しでも気を抜いた瞬間、西條とゲーム方式で戦ったときのように、唐突に氷の剣を突き付けられる可能性がある。


「――短期決着だ」


 過去三度、西條と戦った経験から東城はそう結論付ける。長引けば長引くほどこの周囲の冷気は体に負荷をかけるし、それを緩和する為に能力を行使している東城の演算領域も、次第に圧迫されていく。

 東城はもう一度指を鳴らす。


「その手はもう――」


 西條の言葉を、爆音が遮った。

 眼底を突き刺すような真っ白い閃光。分厚い氷の壁すら揺るがす圧倒的な爆音。

 それが西條の眼前に起こったのだ。

 いわゆるスタングレネード。閃光と爆音で相手の感覚を麻痺させ、無力化するのが目的の武装を、何の物質にも頼らずに再現したのだ。


「っ!」


 西條が目を押さえて呻く。

 同時、東城の周囲の雪が刃と化して襲いかかる。自身の肉体的感覚が閉ざされた瞬間に、迎撃に出たのだろう。まして周囲の雪は全て西條の能力によって生成されている。この雪が補助知覚となって働く以上、東城の位置はおぼろげでも掴まれてしまう。

 だから東城は纏っていた炎を爆発させ、雪や氷の刃が吹き飛ばした。

 これで完全に西條は東城を捕捉・攻撃する術を失ったことになる。


(稼げる時間はほんの数秒。これでケリを付ける)


 東城は爆発による加速で一足に間合いを詰める。

 一直線では西條が勘で攻撃して当たる可能性もある。そうならないように、僅かに斜めから西條へ攻撃を繰り出そうとした。

 だが。


「――なんて、ね」


 西條は全く間違えることなく、東城が迫る方向に氷の刃を振るった。

 とっさにブレーキをかけて止まった東城の胸をその刃は掠め、服どころか下の皮膚一枚まで薄く裂いていた。

 バックステップで間合いを取り直した東城は、胸の血を指先で拭いながら問いかける。


「なんで、スタンが効かなかった」


「言われなければ分からないのかしら?」


 目を覆ったまま、しかし西條は笑っていた。


「種はさっさと明かしてもいいかな。それほど隠さなければいけないものでもないし」


 そういって、西條は地面を指差した。

 そこは公園の砂地のはずだった。


「――白い?」


 だが、今はその大地は真っ白い何かに覆われていた。


「そう。これは氷よ」


 つまり、初めから西條はこの周囲一帯の地面を凍らせていたのだろう。それを踏むことによって、東城は自らの位置を西條に逐一伝えていたも同然だ。


「……全然、滑らなかったんだけどな」


「当然でしょ。氷が滑るのは摩擦で表面が溶けてしまうからよ? わたしの能力でそもそも溶かさなければ滑ることもしない。踏み締めた感覚なんて、そう分かりはしないわよ」


 そう答える間に、西條は目を開いていた。


 流石にまだ完全に視界を取り戻されたとは思わないが、それでもその眼の焦点はしっかりと東城に合っていた。


(これで振り出しに戻ったか……)


 正確には、振り出しよりも一点だけ東城が不利になっている。

 東城の奇襲という作戦は完全に失敗したし、スタングレネード方式の奇襲以上に有効な手段が、東城には思いつかない。だが対して西條の方は、今の間で東城のスタン攻撃を防ぐ手段も検討を付けているはずだ。


 一手、しかし貴重なその手を東城は失ったことになる。

 こうして一手ずつ先を行かれる展開が長引けば、東城の持つ手は全て尽き果て、今までと変わらず東城は敗北してしまう。


「このまま一手ずつ大輝くんの手を潰して、明確に勝利を突き付けてもいいんだけど」


 西條はまるでそれが出来るかのように言う。


「あんまり長引かせると、美桜ちゃんが異変を察知しちゃうかもしれないし、ここら辺が潮時よね」


「何を言って――」


「大輝くんは十分に戦ったわ。だから、ここで負けても誰も文句は言わないはずよ」


 そんな言葉と同時、ゴロゴロと何かが唸るような音を聞いた。

 まるで百獣の王が牙を向くときのような、ある種の絶対的恐怖を内包した、その音を。


「天気まで悪くなってきやがったのかよ……」


 東城は先程まで強くはないとは言え照っていた日の光が、この僅かな間に消え失せていることに気付いた。

 ただの天気の急変。そう片づけようとした東城だった。

 ――だが、違う。


「問題です」


 いつかのあの賭け勝負にも似せて、西條は軽やかに言う。


「氷雪操作能力は、気候を掌握する為に生み出された能力です。――では、そもそも気候を決定づける重要なファクターの一つには、何があるでしょう?」


 背筋が凍るような、冷たい笑みだった。

 そして、東城はそれが殺気から来るようなものではないことを知っている。

 勝利の愉悦。

 圧倒的優位に立つ者のみが放つことを許される、憐れみさえ混じった空気だ。


「――雲か」


 東城は西條が言わんとしていることを理解していた。

 天気の急変などではない。こうして今にも暴れ出しそうな唸りを上げている雲は、西條が生み出したものなのだ。


「正解。わたしの能力は液体操作と温度操作を併せ持った氷雪操作能力。雲は水蒸気や氷の結晶の集合体。――つまり、わたしの能力そのものよ」


 同時。

 公園のシンボルであった噴水が閃光と爆音を撒き散らし、弾け飛んだ。


「な――ッ!?」


 紛れもない。

 幾度となくそれを目の当たりにしている東城が、今さらその自然現象を見誤るはずがない。


「落雷、だと……っ!?」


「そう。今さら雷の原理を説明する必要はあるかしら? 結合分解エネルギーの氷と水の差とか、氷や霰、水滴が混在したら必然的に氷が正、水が負に帯電するとか。――まぁつまり、発電能力者(エレキノ)でなくとも、電気を精製するのは不可能じゃないってことだけど」


 確かに、ただそれだけなら何も恐れる必要はない。

 だが能力には相性というものがある。

 それはレベル差すら一瞬で覆せてしまうようなものだ。例えば七瀬が柊に勝ったように、西條が柊や東城相手に無傷で勝ったように。


 そして、発火能力者の最大の欠点がこれだ。

 実態のない攻撃――たとえば、発電能力者の落雷――に対して、発火能力者はいかなる防御手段も持っていない。

 これは物体しか操れないはずの西條の攻撃が、完全に、そして簡単に東城の防御を抜けられるということだ。


「そもそも、大輝くんがわたしに勝てるわけがない。前にも言ったでしょう? 同じ演算能力を持っていても、物質を生み出す私とそうでない大輝くんでは、物理的な戦闘において必要な演算量そのものが違う。わたしの温度操作の影響を無視することは出来ない以上、大輝くんの炎もプラズマも熱量を奪われて消え去るしかない」


 だからこれは、ここで終わるというただそれだけの話。

 東城大輝と西條真雪は、互いに同一で真逆だからこそ、東城の力は決して届かない。


 ――それこそ、奇蹟でも起きない限り。

 東城の能力そのものが西條の能力を凌駕するような、そんな奇蹟が。


「それでも、俺は諦めない。それにまだ手はあるはずだ」


 西條は確かに雷すら生み出せる。――能力の枠を超えて、だ。だからこそ、西條の生み出した雷雲には一つの重大な欠点が残されている。

 すなわち、雷の操作である。

 生成は出来たとしても操作は出来ない。そうなれば、こんなだだっ広い公園では、東城に直撃させることはほぼ不可能だ。


「――とか、考えてないわよね?」


 そんな東城の思考でも読んだかのように、西條は笑っていた。


「実際、真雪姉には雷の操作なんて――」


「避雷針」


 それは、勝利宣言にも似ていた。


「この場合は誘雷針かしら。まぁ、氷の柱を立ててそこに雷を落とさせるだけ。――ただし、側撃雷によって大輝くんは無事では済まないけれど」


 側撃雷とは、一度落雷を受けた物体から再放電して再び落ちる雷のこと。

 つまり東城のすぐ傍に誘雷針を精製されれば、東城はなす術もなく放電を浴びるしかない。


「クソ!」


 自分がどれほど危険な状態に置かれているかをようやく理解した東城が、西條から離れるように走り回った。

 西條に動きを捕捉されてそこに誘雷針を生み出されれば、その時点で詰みだ。


「――無駄よ」


 だが西條の笑みは決して消えない。

 言葉の直後、東城の眼前に氷の柱が現れていたのだ。


「――ッ!?」


 そのままでは激突してしまうのが分かりきっている東城は、即座に火炎を逆噴射してブレーキをかけてそれを回避した。


「わたし自身に高速移動を可能にする手段はないけれど、それを得意とする能力者との戦いは積んできたわ。経験値の乏しい今の大輝くんの軌道を読むのなんて簡単だし、ましてわたしの能力は全能力中最高クラスの生産力を持つ」


 そう言って手を天にかざした西條。そして、それと同時に長さ数十メートル以上の氷の柱が十本近く天から降り大地へと突き刺さった。

 ――東城の八方を囲むようにして。

 逃げ場を奪われた。

 そう東城が理解した時点で、もうその戦いは終わっていたのだ。

 計八本の氷の柱がうねり互いに絡み合うようにして、東城を中に捕えたまま一本の円錐状の檻となる。


「チェックメイトよ」


 真っ黒な雲が大気を震わせるような、不穏な音を撒き散らした直後。

 純白の閃光が、東城の世界を覆い尽くした。

 ありとあらゆる全てのものを、ただ尽く破壊する為に。



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