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店の人「このパンツいらねーなあ」

少しずつですけど更新を再開します。

ある日の事であった。

まあなんていうか、俺たちはいつも通りくだらない事を話していた。

埃が被ってきたなとか、本棚の所にある本の話題とか、通りかける女の話題とか、この世界の言葉の話とか、そんなくだらないことだがそれでも楽しいと思える話をしていた。

しかしそんな永遠とも言える様な時間も、なにかふとした拍子に終わることとなった。

ホント、あきれるぐらいあっけなくな。



「…ッ」

一応相棒からこの世界の言葉を習ってはいるが、残念ながら英語が赤点な俺はもちろんまともに習得することができず、目の前の店主とその従業員?が何を言っているのか分からなかった。

「やべ…おい相棒」

その時相棒がなにやら恐ろしげに言った、どうした?なにがあった?

「要らない品物をすてるつもりだ、どうせ売れない物なんかより売れそうな物を置いた方が利益になりそうだしな」

え?それって…

「ああ、そうだ」

…死亡フラグキタ――――いやいや落ちつけ落ち着け、とりあえず捨てられるって具体的に何されるんだ?

「そりゃ…燃やされるんじゃね?」

やっぱり死亡フラグだった。どうしよう、パンツになってまで燃やされたくない。

「大丈夫だ、まだチャンスはあるぜ相棒、おそらく今の俺たちの値段をさらに格安にしてむりやり売り飛ばすんだと思うぜ?要らない商品をあつめてそれ専用のコーナーを作るとかそう言うもんだろう、一応俺たちは金をかけて仕入れたんだ、只で捨てるのは勿体ないだろう」

でも…もしそこで売れないかったら?

「…運が良ければ倉庫入り、運が悪ければ…」

燃やされる…

ガシッ

あっ掴まれた。

くそ!人をクレーンゲームの様に持ちやがって、ふざけんな!人じゃなくてパンツだけど。

下せ下せ!下せ!って落とすな!

バンっ

いて…もうちょっと丁寧に扱えよ、それにしてもなんだ此処、箱の中か?

「そうらしいぜ相棒、どうやら俺たちは売れ残り組として色々と集められるらしい」

同じように箱に投げ入れられた相棒が言う。

ちっ、やっぱりそうかよ、俺たちは売れ残りかよ、って、っちょ…色々俺たちと同じ売れ残り組が箱に向かって投げ入れされてるのか、物が上から降ってくる、やめてぶつかる、げふっ、箱の中に入れるのならちゃんと整理しながら入れろ!投げ入れるな!

くそ…人権侵害だ!アメリカが怒るぞ!人をこんな扱いしやがって!

「いやお前パンツじゃん」

それを言うなよ。






そんなこんなで俺たちはあっという間に店の入り口に、ご丁寧に、格安商品として展示されることとなったのであった、とほほほ、せっかくファンタジーの世界に来たのに、格安商品として売られるとか…なにそれ悲しすぎ。

「ふっ俺はもうなれたがな」

そう言えばお前、前にも別の店で売られてたんだっけ?

「そうだ、さまざまな国の店を渡り歩いてきた…そしてまた別の店に行く事になるんだろうなきっと…」

なんだその黄昏の旅人みたいなセリフは…まったくもってかっこよくないぞ…しかし…


もしかして、俺達お別れになっちまうのか?

「そりゃそうだろう相棒、まさかパンツとボロ剣両方とも買うだなんて、そんな特殊な奴存在するか?」

お前は悲しくないのかよ、また孤独になるんだぜ。

「そりゃ相棒、おらだって悲しいさ、でもそんな事なれっこだわ、また相棒みたいな生具とあうことを祈りながら、何処か遠くの店の端で埃でも被ってるさ」

て言うかなんでお前は売れる事前提なんだよ

「一応俺みたいなボロ剣はな、需要はあるんだよ」

いや…ないと思うが

俺はそう思ったのだが、そんな事を話していると、突然相棒の元に、店の人の手が迫った。

ガシッ

「おっと…およびの様だ」

へ?っちょマジで?

「短い間だったけど楽しかったぜ相棒、出来ればずっと一緒に居たかった」

っちょ…まておい!



マジでいちまったよおい…売られちゃったよ…

呆気なさすぎだろう、くそ…


その後数時間たったが、相棒はもちろん戻ってはこず、俺も売れる気配がしなかったのであった。








「売れ残りましたね…」

店の人と思われる男が、売れ残った商品をみながらそう言う。

「うむ…勿体ないが捨てるか、こんなもの要らんし、で?売れ残った商品は?」

店長らしき人物が店の人に向かって、唸りながらそう言う。

「はい、光の石ランクG5つと、刃こぼれを起した剣が2本、ピンクのパンツが一着です」

「うむ…まあ前回よりかは売れたな…いつも通り売れたものは捨てとけ」

「はい、では売れ残ったものは貧民街に捨てておきます」

店の人はその事を店長に確認するかのように言った後、新たに届いた商品の概要を述べたのであった。






…やべ…人通りが少なくなってきたぞ、頼む、燃やさないでくれ、パンツになってまで燃やされるとかマジ勘弁だから、頼む誰か買ってくれ、誰か俺を買ってくれ、この際爺でもいい、たのむ俺を買ってくれ…ん?店の人?なんのようだ?って、あれは俺たちを運んできた木箱…やばいフラグだ、おい店の人、俺はまだ戦える、そうだまだ俺は戦えるんだ、たのむチャンスをくれ、ワンモアチャンス、もうちょっとあと一日で良いからさ


ガシッ


なんなら一時間だけでもいい、たのむ、燃やされたくない!せめて倉庫へ!助けてくれ!!


そんな俺の叫びは、まるで二大大国に分割された小国の叫びの如く、空気の中へ溶けて行くだけであった。





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