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似たもの同士の勇者と王と勇者



諸々の説明を受けてから客室に通されると待っているようにとの指示を受ける



「マジか・・・僕にそんな力があんのかねぇ」



説明によると召喚対象には召喚されるときに《世界》に触れるため


特殊能力と高い身体能力が身に備わるという


人型であった場合は身体能力の上昇と制約


魔物型である場合は制約のみだという


勇者召喚は例外であるため身体能力の上昇の恩恵は受けながらも制約という足枷は免除されるらしい


それに、勇者とくれば魔王を想像するだろうが敵は邪神だというから驚きだ。


よりにもよって神が相手かよとか切実に思うが実感はわかない。


まぁ、精霊やら女神やらが人間に加勢しているらしいがどれほどのものかも想像がつかない。


そんなことを部屋でボーっと考えていると。


コンコンと控えめなノックの音が部屋に響いた。


僕の返事を待たずに「失礼します」とメイドが部屋のドアを開ける。


メイドだけかと思ったが、メイドの開いたドアから年齢14歳といったところだろう


豪華なドレスに身を包んだ少女が現れる


髪型はショートで綺麗な金髪だ。



「はじめまして、勇者様。私はセイナーム王国第四王女

 メルティス・アルクト・セイナームと申します。」



自己紹介をする少女の仕草には気品が漂う。


自分とは違いすぎて気後れをするだろう普通ならば、まぁ、僕にはどうでもいいことだけれども。



「・・・ども、辰巳です。」


「タツミ様ですか。変わったお名前ですね。」



何がおかしいのか微かに笑う王女



「では『これ』に着替えてください。その後にお披露目です。」


「着替えるのはいいですけど、お披露目って何ですか?」


「それはもちろん、勇者様のお披露目です♪」



ニッコリと笑いながら爆弾を投下する姫様


勇者として行動する気のない僕にどうすればいいというのか?



「お披露目ではえっと・・・勇者の心得みたいなものを宣言してから聖剣の授与になります。」


「聖剣ね・・・。ちなみに聖剣とは何本もあるものですか?」


「基本的に聖剣は世界に数本しかないといわれています。

我が国が所有しているのは3本です。

蒼天の聖剣と深緑の聖剣、あと蒼地の聖剣です。

蒼天の聖剣は片手剣で深緑の聖剣は短剣、蒼地の聖剣は大剣です。」


「へぇ、聖剣って武器としていろんなモノがあるんですね。」


「はい。えっと、そろそろ時間なので着替えてくださいね?」



部屋から出ようとするメルティス王女に聞いておきたいことがある。


浩司の事でアイツはどういう宣誓をするかだ。



「ちょっと待ってください。

アイツの・・・浩司の宣誓の内容について教えてください。」


「それは・・・本当は教えてはいけないのですが、特別ですよ?」



そういって笑った顔は悪戯好きの歳相応の少女だと思った。



「皆の光でありたい、正々堂々と戦う正義の味方になりたいっておっしゃっていましたよ。

ふふっ、それではまた後でお会いしましょう。」



一礼して出て行くメルティスはどこか楽しそうだった。



ちなみに着替えた衣装はいかにも勇者を意識したもので細かな装飾が施されているが

勇者のイメージと違うとすれば黒を基調としている事ぐらいだ



「まぁ、勇者というより黒騎士ですね」



着替えが終わり、部屋に来たメルティス王女の第一声がこれだった。

これじゃあ魔界の貴公子とか悪いイメージしか相手に与えないような気がするのだが。









赤い絨毯の廊下をしばらく歩き、途中で白を基調とした服を身に纏い巫女に案内される浩司を発見


腐れ縁の親友との再会を果たすが言葉は交わされないまま黙々と歩く


たどり着いたのは恐らく謁見の間


絨毯の先には王座と思われる椅子に偉そうに足を組んで座っている壮年の男が一人


絨毯の両脇には大臣や貴族と思われる人間が多数


勇者という称号の授与式とでも聞かされているのだろうか



「お主等が今回の儀式で召喚された勇者か・・・。」



偉そうに座っている男が呟く


なんとも傲慢そうな物言いが僕の癇に障る



「ええ、お父様。 勇者コウジ・カミジョウと勇者フミツキ・タツミです。」

「うむ。 では、これより継承の儀を執り行う。両者前へ出よ。」



メルティスがお父様と呼ぶ。

つまりこの国の現国王だろう。

王に促され前に出る浩司

だが僕はその場を動かなかった

怪訝な顔をする周りの人間をしりめに王は気にした様子もない



「では、汝は勇者として何を成す?」


「・・・・・」



僕は何も応えない

すると浩司が気取った態度で応える



「光をもって悪を浄化します。そして総ての人々に平和をもたらすと約束しましょう。」



恭しく一礼して一歩下がる浩司

王の視線が僕へと移る



「して、汝は何をなすのだ」



高圧的な態度が癇に障る

マジでこいつ殺してやろうかというほどムカつく

救ってもらう身分のクセに生意気すぎる

こんなヤツは滅びてしまえばいい

それに浩司のやつが綺麗事並べるなら僕は僕でやらせてもらおう。


そんな想いを込めたっぷりと悪意を含んだ言葉を選ぶ



「闇をもって邪を滅し、不要な悪を殺しましょう。」



一瞬の静寂の後にザワザワとうろたえる貴族達


それはそうだろう。


今までの勇者召喚でこのような邪悪極まりないことを言ったのは文月が初めてなのだ。



「なんてことだ」

「まるで魔族じゃないか!」

「乱暴な・・・。」



ざわつく一般ピーポー達

マジでうざい

何が悪いというのだ

悪こそが華、悪こそが正義

ものの本質を見失わなければ悪は正義に、闇は光にもなるというのに!!


宰相と思われる男が声高々に進言する



「王よ! 勇者は一人で十分です。この、邪悪な者は勇者にあらず!!」


「だが、二人とも召喚の儀で現れたのだから資質は十分にあるはずだ。」


「しかし、このような考えでは勇者とは・・・」



宰相は唇を噛みしめ、自分を見もしない王を回りに気づかれないように睨む。


王は嘲るように笑う



「じゃあ、やめますよ勇者なんてモノは。」


一言放たれた言葉が謁見の間に静寂をもたらす。



「勇者なんてもの召喚された人間であれば誰でもいいのでしょう?

正義や民衆のためだけの勇者を求めるなら僕はそんなのやりたくありません。

それに僕は・・・そう、私は悪を否定しない。それが勇者じゃないと言うのなら何です? 悪魔ですか? それも良いですね。 だって強そうじゃないですか?」



そういって口の端を吊り上げながらも笑いをかみ殺す。



王の両端にいる宰相や将軍などはこの状況でもうろたえたりしていない所を見るとなかなかの人物のようだ。


もしくは、腹に一物抱えているのだろうか?


王妃の目には憎しみ、又は反抗の様なものが潜んでいそうだ。



「面白いぞ小僧。 自らを悪魔と称すか!! それなら闇の勇者とでも名乗るがいい。ラディッツ将軍よ光の勇者に聖剣を、闇の勇者に魔剣を授けよ。」



茶髪のラディッツ将軍と呼ばれた青年が驚き王に進言をする。



「よろしいのですか?

お言葉ですが、この者達の実力を測ってからでも遅くはないと思いますが。」


「よいのだ。」


「出すぎたことだということは重々承知ですが、一つお聞かせ願います。」


「なんだ。申してみよ。」


「聖剣はともかく魔剣を授ける理由をお聞かせください。」



王は口の端を吊り上げ悪人顔で笑いながら言った。



「面白そうではないか!! お前もそう思うだろ、闇の勇者?」


「はんっ!! 聖剣や魔剣なんて所詮道具です。使い方次第ですよ。」



静寂の中僕の小さな笑い声と王の愉快そうな笑いが空間を支配していた。






納得のしていない若き将軍に腹に一物抱えた宰相、そして何かを企む王妃。


この国は大変だな。

巻き込まれないように注意しなければいけないなと思う今日この頃でした。











だめだ。

小説を書くのは難しい。


・・・才能が欲しい。


そう、努力する才能が・・・。

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