最初の街の近くに現れた世界最強のドラゴンに戦いを挑んだら壮大な物語に巻き込まれていった件
「おい、街の近くにヤバいドラゴンが出たらしいぞ!」
「マジかよ、国が終わるんじゃねぇか……?」
怯える群衆をかき分け、一人の男がニヤリと笑って前に出た。
「……ふっ、どいてろ。俺が行ってやるよ」
「よせ! 無茶だ!」
「無茶? はっ、笑わせるな。俺は『異世界転生者』だぞ? ステータス完スト、チートスキル持ちの最強設定なんだわ。ドラゴンなんて、俺にとってはただの経験値稼ぎに過ぎないね」
颯爽と現場へ向かう男。期待と不安で見守る人々。
そして男は、問題の「現場」に到着した。
「ここかぁ……? さて、どんな伝説級の化け物が――」
男の目の前で、スヤスヤと眠っていたのは。
皮のブーツと同じくらいのサイズの、ちんまりとしたトカゲのようなドラゴンだった。
「……っは、……っはははははは!!」
静かな森に、男の爆笑が響き渡る。
「あっはっはっはっはっは! これが『ヤバいドラゴン』かよ! 腹痛ぇ……! こんなの、デコピン一発で――」
その瞬間。
ドラゴンのまぶたが、ゆっくりと持ち上がった。
カッ……!!!!
目覚めの一撃。
放たれたブレスは、山一つを消し飛ばすほどの超高密度エネルギー。
「最強設定」を自称していた男の体は、笑い声ごと、分子レベルで粉々に吹き飛ばされた。
皮肉なことに、男の願いは叶った。
彼は「最強のドラゴンの、最初の犠牲者」として、永遠に歴史にその名を刻むことになったのだから。




