《学生編②》小さな命の為に
大学に入って暫く経った頃、あたしは新しく出来た友人の誘いで、大学内にあるボランティア部に入部をする事となった。
初めは、あまり乗る気がなかったあたしだったが、そのボランティア部は、野良猫問題への取り組みや保護、里親探し、迷子犬や猫などの情報発信、敷いては、殺処分問題の解決の研究など、小さな命を小さな事からでも救う活動をしていたのだった。
部員数は、50人程度で、強制参加ではなく、あくまで自発的に取り組む事をモットーとしていた。
あたしは、元々、犬猫が好きだった為、すぐにその活動に積極的に参加する様になっていた。
そして入部してまもなくのある日の保護犬猫の譲渡会に参加した時の事だった。
あたしはその日は、猛烈な衝撃を受けていたのだった。
開門前に、譲渡会に入ったあたしの目に初めに飛び込んで来たのは、その犬猫達の数だった。
昔、飼っていたチワワの『もも』は、当然、ペットショップで買った訳であって、世の中に、こんなにも多くの犬猫が困っていた事に、動揺を隠せなかったのだった。
「し、知らなかった、、、こんなにも飼い主さんが居なくて、未来に不安を抱えて怯えている沢山の命達がいるなんて!!!
この子達は一体、何処からやって来たの?
もし、このまま、新しい飼い主さんが現れなかったら、、、この子達はどうなってしまうの? こんなにもけなげな命なのに、、、」
あたしは、そう思うと、胸が締め付けられそうで、苦しくなった。
(どうか、沢山の人達が来場してくれて、この子達に新しい家族が見つかりますように、、、)
そう心で祈りながら、譲渡会は開門したのだった。
開門と同時に、思ったより沢山の人達が、会場内へと入って来た。
来場してきた人達は、笑顔で犬猫達を眺めていたわ。
次々と新しい家族が決まって行った犬猫達。
「ふぅー 良かったぁ~」と、安心するのも束の間、昼前頃からは、その人影も少なくなって行き、譲渡会には悲しそうな顔をした犬猫達が、まだまだ沢山残っていた!
あたしは、その子達を見ながら、、、
「この子達、今日、新しい家族が見つからなかったら、、、?!?」
そう思うと、再び、胸が締め付けられそうだった。
そんな中、譲渡会の外で懸命に、行きがう人々に、声がけをしている一人の青年がいたのだった。
「あ、あれは颯太さん!!!」
その姿を見たあたしは思わず叫んでしまった。
そう、その青年は、大学初日のあの日に、あたしのクリアファイルを拾ってくれた颯太さんだったの。
彼もこのボランティア部で活動していたなんて!
その時、あたしは彼が話していた実家にいる愛犬の話を思い出したのだった。
「そう言えば、彼も犬が好きって言ってた!」
そう思った瞬間!
あたしは無意識に譲渡会の外へと飛び出し、彼と一緒に、行き交う人々に声がけをしたのだった。
「颯太さん!あたしも手伝う!」
「えっ、君は確か、あの時の、、、『加奈ちゃん!??』」
「うん!そう~ あたしはあの時の牧村 加奈!そのチラシ、あたしにも貸して!
あたしも一つでも多くの命を救いたいの!」
そうしてあたしは、自分を奮い立たせて、その日は、彼と無我夢中で、譲渡会への呼び掛けを行っていた自分がいた。
この子達に新しい家族が決まってくれる為に!!!
その甲斐あってか、その日の譲渡会は、大盛況で、次々と新しい家族が決まって行ったのだった。
譲渡会終了後、あたしと颯太さんは、会場スタッフの皆さんから、「君たちの誠意には、脱帽ものだよ~♪おかげで、沢山の新しい家族が決まったよ~♪ 本当にありがとう!」
と、感謝され続けたのだった。




