表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/13

第十話 配置完了

UAUの働きにより、

モノリスの設置は各地で進められていった。


惑星への直接的な介入は最小限に抑えられ、

ただ、観測と記録のための条件だけが

静かに整えられていく。

島嶼へ向かったUAUは、散開後、

海面すれすれの高度を維持したまま進行していた。


速度は落とされていない。


UAUが過ぎ去った後、

海面は一瞬、取り残されたまま静止し、

それから思い出したかのように、

あるべき場所へと落ちていった。


押し戻された海は、その場で崩れ、

うねりとなって四方へ走る。


流れは交錯し、重なり、

海面は大きく乱れた。


その荒れた海面を背後に、

UAUはすでに進路を島嶼部へと移していた。


高度がわずかに変わる。

海面は視界から外れ、

前方には岩と乾いた地表だけが広がる。


島はまだ若い。

起伏は浅く、土は定まらず、

樹木と呼べるものは存在していなかった。


UAUは減速することなく、

島の上空を通過しながら走査を行う。


地形。

地下構造。

潮汐の影響。

将来的な侵食と地形変化。


評価は並列に進み、

選定は一瞬で終わる。


UAUは島の一角で速度を落とし、

地表と環境の境界に沿うように姿勢を調整した。


次の瞬間、

形状が再構成される。


展開ではない。

主張もない。


地表と切り離されることなく、

そこに最初から在ったかのように、

モノリスが設置された。


作業は短時間で終わる。


UAUが再び高度を取る頃には、

先ほどまで大きく乱れていた海も、

すでに元の静けさを取り戻していた。


淡水湖を目的地としたUAUは、

散開後も高度を落とさず、

最短距離で進行していた。


速度は一定。


湖上に到達した瞬間、

それまでの移動が最初から存在しなかったかのように、

UAUはその場で停止する。


減速はない。

余韻も残らない。


空間が切り取られたかのように、

周囲には何の変化も起きなかった。


通過してきた空も、

乱れを残さず、ただ静かだった。


位置を確定したUAUは、

そのまま真下へと移動を開始する。


湖面に触れても、

水は揺れない。


音はなく、

波も立たない。


UAUは抵抗を受けることなく、

淡水湖の内部へと沈下していく。


水面は最後まで形を崩さず、

何もなかったかのように留まり続けていた。


湖底に到達したUAUは、

速やかにモノリスを設置し、

そのまま次の目的地へと進んでいった。


深海域へ向かったUAUは、

散開後、目的地へと進路を定め、

斜めの軌道のまま海面へと突入した。


減速は行われない。


着水の直前、

UAUの形状が変化する。


水中環境に適した構成へと再編されるが、

制御は最小限に留められていた。

自機に影響が及ばない範囲のみが対象となる。


次の瞬間、

UAUの着水によって海面が弾けた。


巨大な水柱が空へと立ち上がり、

大量の海水が周囲へと弾き飛ばされる。


それはしぶきとなり、

遅れて雨のように降り注いだ。


衝撃は水中へと伝播するが、

その影響は海底には達しない。

地形や堆積に変化は残されなかった。


UAUはそのまま、

深海へと進入する。


光は急速に失われ、

やがて、

光に依存した観測が機能しなくなる領域へと至る。


水圧が増す中でも、

UAUの進行は乱れない。


深度が増すにつれ、

周囲の環境は次第に静まり返っていった。


やがて、

海流が安定し、

地形変化が長期的に固定されている層に到達する。


UAUはそこで進行を抑え、

周囲の状態を精査した。


地形。

堆積。

流動。

長期的安定性。


評価は現場で行われ、

設置位置が選定される。


UAUは深海底部に留まり、

環境調節モノリスを設置した。


作業は確実に進められ、

余剰な変化は残されない。


必要な調整を終え、

UAUはそのまま深度を増し、

次のモノリスの設置地点へと進んでいった。


それから、

しばらくの時間が経過する。


各地で与えられた行動を終えたUAUは、

順次、同一の空域へと向かっていた。


呼びかけはない。

指示も、合図も存在しない。


それでも、

進路は自然と収束していく。


やがて、

上空に複数の機影が集まり始める。


そこに集まっていたのは、

局所任務を担っていた個体だけではなかった。


惑星全体を俯瞰するため、

高高度から表層の変化を追っていた個体。


そして、

大気下層を周回し、

組成や局所的な変動を直接観測していた個体。


それぞれが、

異なる役割を終え、

同じ空域へと合流していく。


先に到達した個体は停止せず、

空間を使い、

円を描くように飛行を続けていた。


大半は規則正しく、

一定の半径と速度を保つ。


一方で、

一部のUAUは、

縦横無尽な軌道を選んでいた。


高度を変え、

角度を変え、

交差するように進む。


しかし、

その軌道が触れ合うことはない。


空を切ったUAUの軌道は、

そのまま地表に反映され、

幾何学的な痕跡として刻まれていく。


それはすぐに消えるものではなく、

長い時間をかけて、

侵食と風化の中に取り込まれていく種類のものだった。


さらに新たなUAUが加わり、

円環は徐々に密度を増していった。


やがて、

すべてが揃う。


次の瞬間、

すべてのUAUが静止する。


それは減速ではなかった。


時間そのものが止まったかのような空間。


静寂の中、

UAUは音もなく、

離脱に適した形状へと移行していた。


合図もなく、

すべてのUAUが同時に加速する。


進路は上空。


雲層を抜け、

大気を離れ、

惑星の重力圏を脱していく。


空は再び静まり返り、

そこに残されたのは、

配置された構造物と、

地表に刻まれた規則的な痕跡、

そして環境に加えられた

ごく僅かな変化だけだった。


それらは、

すぐに結果を生むことはない。


だが確かに、

未来の条件として、

静かに置かれている。


UAUの姿は、

すでに光点となり、

恒星の眩光に紛れて消えつつあった。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ