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オカルトちゃんねるショート  作者: lpp
2025年

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38/48

生き写し

170:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:01 ID:yyutNHjaK

 自分の話ではなく自分の友人の話で恐縮ですが、ひとつ。


 自分の友人はとある研究職をしております。

 とにかく絶望的に女っ気がない男で、

 友人一同なんとはなく気をもんでおりました。

 大の男に世話を焼くなどおかしな話ですが、

 研究一筋でやってきただけあって純粋な奴なんです。

 いちど、女性に騙されて200万の詐欺に遭いかけたこともあり、

 幸い我々が諭してお金を盗られるまでには至りませんでしたが、

 友人には何かあれば相談しろと皆で諭していました。

 友人はといえば、詐欺未遂事件以来ますます女性とは縁遠くなり、

 研究研究で色気のない日々を送っておりました。

 親御さんなども心配してお見合いなどをセッティングするのですが、

 いかんせん本人が会話が下手くそで、

 研究分野のことなら立て板に水で話し始めるのですが

 流行りの映画や音楽などはてんで分からず、

 女性を楽しませることができないのです。

 そんなわけでいつも断られておりました。


 そんな友人ですが、決して悪い人間ではありません。

 実直が過ぎるといいますか、

 研究熱心がために他のことが疎かになるだけで、

 まったく裏表のない真人間なのです。

 そういう彼の良いところを見てくれる女性が現れることを

 みんな願っておりました。

 結婚にこだわるのは古い人間だと思われるでしょうが、

 友人本人は結婚することには前向きなのです。

 自分としても、嫌な言い方ではありますが

 やはり優秀な遺伝子が後世に残るのは大賛成なわけです。

 遺伝子の多様性という観点からも、

 様々な組み合わせの遺伝子が残ったほうが

 種の繁栄・存続に有利ですから。 



171:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:03 ID:rIOeu245f

 ≫170さんも研究職?



172:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:05 ID:rKla+ruIV

 なんでそんな人がオカスレにカキコしてるんだw



173:170:20XX/11/01 22:07 ID:yyutNHjaK

 つい長々と語ってしまいました。

 とにかく、長らく気をもんでいた我々でしたが、

 友人はなんと自分で素敵な女性を見つけてきたのです。

 と言いますか、女性の方から友人に声をかけたのだそうです。

 友人が研究の合間に通っていた喫茶店で働く女性でした。

 なのでもう3、4年はお互いに見知っていた関係です。

 そんなに長い間、と我々は驚きましたが、

 関係が深まったのはつい最近のことのようで。

 女性がうっかり友人のズボンにコーヒーをかけてしまったのが

 きっかけなのだそうです。

 友人は「白衣を着たら分からないよ」と、

 本当に何でもないことのように彼女に言い、

 クリーニング代も受け取らずに店を出たのだそうです。


 友人にしてみれば本当にどうでも良いことだったのですが、

 前日お客から理不尽な怒鳴り声を浴びせられた女性は、

 男性のスタッフには何も言わないのに女性には怒鳴りつける、

 何度もそういうお客の相手をしてきており、

 この友人の振る舞いがとても心に残ったと言われておりました。

 研究以外にさして関心ごとのない友人が

 その時はとてもおおらかに見え、

 女性をどなりつけて要求を通そうとする男性たちと

 一線を画した存在に思えたのだそうです。


 そうして友人がまた喫茶店に行くと、

 そのたびにその女性が少しずつ働きかけ、

 挨拶以外の言葉を交わすようになり、

 徐々に二人で出かけたりと良い関係を築いていきました。

 そしてこのたび婚約をする運びとなったのです。



174:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:09 ID:PowIJGbqq

 イイハナシダナー



175:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:11 ID:+rUiqgHBs

 この話がどうオカルトになるんだ……



176:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:14 ID:SDrtGFthV

 今のところ、ありがちな馴れ初め話やな

 末永くお幸せにやで



177:170:20XX/11/01 22:15 ID:yyutNHjaK

 ところで、婚約するにあたって、婚約者の女性は

 友人にひとつの告白をしました。

 実は婚約者には、17歳のときに産んだ子どもがいると言うのです。

 彼女の両親はあまり良い親ではなく、

 とても彼女ひとりでは育てられずに、施設に預けたのだとか。

 ただなかなか良い仕事が見つからず、

 数年後にやっと勇気を出して面会に行ったときに

 子どもに「私を捨てたくせに」という言葉を投げつけられ、

 それ以降一度も会っていないということでした。


 婚約者としては大変勇気のいる告白だったと思います。

 友人はもちろんそんなことは気にしませんでした。

 良く話してくれた、その子どもはどうしているのか、

 婚約者から聞き出すと、まだ施設にいるとのこと。

 かれこれ13歳になる女の子なのだそうです。

 養子にすることも考えましたが、思春期の子どもです。

 子どもが平穏に育っているなら

 変に波風を立てる必要はありません。

 ただ、進学など必要なときは支援できるように、

 施設と話し合うこともし始めたそうです。


 ちなみに友人が最初に施設に足を運んだとき、

 遠くから見るだけに留めたその子どもですが、

 女の子は友人でも一目で彼女の子どもだと分かりました。

 婚約者に瓜二つと言っても良いくらい似ていたのだそうです。

 まさに生き写しだったと友人は申しておりました。



178:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:16 ID:4Rqt+s9lC

 ほうほう

 婚約者さんも色々あったみたいね



179:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:18 ID:AoqwKwkq+

 いきなり思春期の一児の父はハードル高いよな…

 母親にも不信感があるとなると、

 そっと見守るのが確かに一番良いのかな…



180:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:18 ID:+rUiqgHBs

 生き写しはなかなかスゴイな

 子ども的には母親がそこまで似てるなら

 捨てられた辛さ大きいかも



181:170:20XX/11/01 22:20 ID:yyutNHjaK

 母親には徹底的に無視をするという態度を崩しませんでしたが、

 何度か施設にうちに、なんと婚約者の子どもは

 友人のほうに懐きました。

 友人は子どもを相手にするスキルなど皆無でしたが、

 友人の仕事を説明した際に専門的な研究の話をしたことで

 逆に子どもは興味を持ったようです。

 むしろ子ども扱いをしないで難しい話をしたことが

 良かったのかも知れません。


 そしてその流れで、子どもは自分もやってみたいと

 友人にせがむようになりました。

 もしかしたら未来の研究者になるかも知れません。

 友人は子どもの好奇心を満たす協力をしようと考えたのです。

 もちろん婚約者にも許可をもらい、

 そして二人分のDNAを彼の仕事場に持ち帰ったのです。


 もうお判りでしょうが、

 彼は遺伝子分野の研究員です。

 友人は婚約者と子どもの親子DNA鑑定を行いました。

 そうなると色々と調べたくなるのが研究者です。

 その中で、ふたりのDNAにおかしな点を発見しました。



182:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:22 ID:TRwtHAjf3

 ついにオカルトになるのか!?



183:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:23 ID:PowIJGbqq

 どうやってオカルトになるんや!?

 怪異のDNAとか? 宇宙人の未知のDNAとか!?



184:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:24 ID:AoqwKwkq+

 オカルトって科学的に解明されないことがぶっこまれる場所だから

 科学で証明できないナニカだろうと予想wktk



185:170:20XX/11/01 22:27 ID:yyutNHjaK

 結論から申し上げますと、

 婚約者の彼女と子どもの遺伝的特徴がほぼ一致していたのです。

 親子関係なのだから当たり前だと思われますか?

 一卵性の多胎児であれば別ですが、

 親子でも、DNAが一致することはありません。

 子どもは父親と母親のDNAが受け継がれるからです。

 一卵性双生児でも、DNAの構成は同じでも

 配列や折りたたまれ方が異なります。

 親子や双子でもそうなのですから、

 誰かが誰かのDNAに一致することなど考えられません。

 が、通常ではありえないほど

 婚約者とその子どもの遺伝子は似通っていたのです。


 友人はこの結果を受け、ひとつの疑問を持ち

 もう一つ追加で検査をしました。

 ミトコンドリアDNAの確認です。

 ミトコンドリアDNAは精子には存在しないので、

 100%母親の卵子から子どもに受け継がれることになります。

 結果、婚約者とその子どものミトコンドリアDNAは

 一致しませんでした。


 友人は最後に、ふたりのテロメアを確認しました。

 テロメアとは、寿命に関係していると言われている

 染色体の末端にある構造です。

 細胞分裂のたびに短くなり、ある程度で細胞分裂が不可能になる

 細胞死を迎えます。

 結果、ふたりのテロメアは彼女らの年齢に見合わないほど

 短かったのだそうです。



186:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:29 ID:rIOeu245f

 DNAが同じなのにミトコンドリアDNAが違う???

 良く分からない



187:170:20XX/11/01 22:31 ID:yyutNHjaK

 これらの結果を受け、考えられることと言えば

 婚約者とその子どもは、子どもではなくクローンだということです。

 それであれば、DNAが一致していること、

 ミトコンドリアDNAが一致しないこと、

 テロメアが短いことの説明がつくのです。


 現状、ただの細胞から生物をつくることはできません。

 ひとつの細胞から内臓、皮膚、血管、脳など

 様々な器官に分裂させていくことができないのです。

 ですから、クローンをつくるには必ず卵子が必要になります。

 除核した卵子(レシピエント卵子)に

 精子の代わりにドナー体細胞の核を埋め込むのです。

 そしてレシピエント卵細胞を母体に戻すか、

 もしくは代理母の子宮に着床すると妊娠になります。

 ですからミトコンドリアDNAは、DNAと違って

 必ず卵子提供者のものになるのです。

 一時期話題になった体細胞クローンというものですね。

 説明を大変簡単にして話しておりますので、

 分かりにくかったら申し訳ありません。



188:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:33 ID:rIwrNa+Ad

 クローン!

 羊のドリーだな

 世界で初めて成功した哺乳類の体細胞クローン



189:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:33 ID:rIOeu245f

 人間でやるのっていいの…?

 なんのため…?



190:名無しの怖がりさん:20XX/11/01 22:35 ID:54tUw+2aj

 良いわけないだろ

 卵子提供者も代理母もかならず女性でその負担とか

 金持ちが臓器移植のために自分のクローンをつくったりみたいな

 倫理的問題も人権の問題もあるし、

 だいいち人間は増えまくってるのに

 何のために人間のクローンなんかつくるんだ



191:170:20XX/11/01 22:38 ID:yyutNHjaK

 問題はそれなんです。

 実際、人間のクローンは技術的には可能です。

 もうどこかでつくられているという噂もあります。

 しかし、もしもクローンだとしたら、

 誰が、何のために?

 数十年も前からヒトクローンの生産が行われていて、

 何代にもわたり同じDNAのクローンをつくったのはなぜか?

 その子を産んだと言う婚約者の女性はどこまで知っているのか?

 そして、このふたりだけなのでしょうか?


 他人のDNAが完全に一致することは数兆分の1と言われています。

 ただ、検査の精度の問題があるので

 検査結果だけを見れば一致する可能性がゼロではありません。

 テロメアも様々な要因で短いことはあり得ます。

 ミトコンドリアDNAは、考えられるパターンとしては

 不妊治療に際しての卵子提供でしょうか。


 友人は特に気にしてはおりません。

 天文学的な数字ではありますが、科学は万能ではありませんので

 これらの結果になることはあり得ると言うのです。

 ただ、クローンは生殖の問題や寿命の問題、病気の発現など

 まだまだ未知の分野なのです。

 我々は、友人と彼の婚約者、

 そしてその子どもの幸せを祈ることしかできません。


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― 新着の感想 ―
DNAの話でリングを浮かべ、ミトコンドリアの話でパラサイトイヴを思い浮かべた… まだまだ違う場所に、彼女に似た誰かがいる可能性が?
解答編あるのかな? オカルト力でDNAをいじれる物なのか。 確率面でリアルな怖い話なら。実体験で。 スーパーで買った卵10個パックで、うち8個が黄身2つでした。
リアル怖い話やな
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