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オカルトちゃんねるショート  作者: lpp


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30/34

739:名無しの怖がりさん:20XX/10/04 22:01 ID:J5rwJJIwP

 心霊写真というか、なんかすごい写真を撮ってしまった話。


 俺は独りでトレッキングやハイキングをするのが趣味。

 学生のころは割と本格的な登山もやっていたが、

 社会人になって家庭を持つとそうもいかない。

 時間もお金も制限がかかる。

 子どもを一人前に育てるまでは親としての責任がある。

 そこで、一日や半日で行って帰れて、

 命の危険なんかも少ない趣味にスライドしたってわけ。

 普通に山道を縦走することもあれば、

 ちょっとした丘を歩いたり、

 景色の良い場所や近場の散歩コースを歩くだけとか、

 ただそれだけのときも。

 年に数回くらいの頻度で出かけてる。


 まあだから、その日もブラブラと歩いてた。

 ネットで良さげなハイキングコースを見つけたんだ。

 森の中を歩くから、暑い中の森林浴ができるってわけ。

 俺は独り、リュックを背負って気持ちよく歩いてた。


 するとどうだ、気付いたらなんだか周りが薄暗い。

 さっきまでカンカン照りの蒸し暑い真夏日だったはずが、

 空気も心なしかひんやりしているように感じる。

 俺は道に迷ってたんだ。

 森の奥へ奥へ入ってしまったらしい。

 でもおかしい。

 ここまで一本道だったはず。

 俺は慌ててスマホで確認しようとしたが、

 どうやっても圏外だった。

 最後にスマホでルートを確認したときも

 分かりやすい目印の小屋まで一本道だったから

 間違えるはずがなかったんだが、

 それでも間違えてしまったのなら、

 たぶん地図にない古い道かけもの道にでも入ってしまったんだろう。

 俺はそう納得するしかなく、

 とにかく来た道を引き返した。

 スマホの電波さえ入ればGPSで何とかなると考えた。



740:名無しの怖がりさん:20XX/10/04 22:02 ID:eOiqexxcz

 森で迷うとかこわ

 しかもスマホの電波が圏外とか耐えられない



741:名無しの怖がりさん:20XX/10/04 22:04 ID:+aleNBvei

 ネットに書かれるくらいの穴場なのに

 知らないうちに迷っちゃうような道があるのヤバいね

 注意書きとか分かりやすい目印欲しい



742:名無しの怖がりさん:20XX/10/04 22:05 ID:alp+a2sfv

 だいたい散歩コースがあるようなところは

 踏み固められてるし草も刈られて

 歩きやすいように整備してくれてるもんだがなぁ

 そんなとこで迷うかね?

 少なくとも獣道にうっかり入るなんてことはないだろう



743:739:20XX/10/04 22:07 ID:J5rwJJIwP

 こういうときは引き返す一択だ。

 遭難は、せっかくここまで来たんだからと

 引き返さずさらに進んでしまうことで起こることが多い。

 道が分からないまでも、

 このときの俺は、そこまでおおごとだとは感じていなかった。

 薄暗くて気味の悪い森だったが、

 まだ日も暮れていないし、水と食料も、

 念のためにいつも必ず持っている一人用のテントも

 背中のリュックの中に入っている。

 真夏な上に高山でもないので防寒具も手持ちで問題ない。

 俺はチョコバーをかじりながら歩いた。


 30分、1時間、2時間。

 俺はようやく自分がかなりまずいことになっていると気付いた。

 スマホの電波はまだない。

 そして、いくら歩いても森を抜けられない。

 そんなはずはないんだ。

 この森は大人の足で2時間も歩いて抜けられないような

 だだっ広い森じゃない。

 俺は一晩野宿する覚悟を決め、

 もしも、万が一のときのためにスマホで動画を撮った。

 妻と子に贈る遺言だ。


 過剰反応と思うかも知れないが、

 俺は親父をこういう事故で亡くしてる。

 登山に行き、行方不明になってそれっきりなんだ。

 だからどうしてもそういう可能性が頭をよぎるんだな。

 じゃあ山登りなんかやめろよって思われるかも知れないが、

 心のどこかで親父を捜してるんだと思う。

 行方不明のまま葬式もしてないから、

 どうも自分で踏ん切りをつけられず、

 どこかで生きているかも知れない、とか未だに思ってる。

 あるわけないってこともちゃんと分かってはいるんだが。

 妻もなんとなく理解してるから、俺の趣味を止めないんだろう。

 でもそんなことをしているから、

 自分の妻子に、かつての自分と同じ気持ちを味わわせることに

 なりかけていた。



744:名無しの怖がりさん:20XX/10/04 22:09 ID:3a4sIUREW

 森でひとりきりで遭難とかこええええ



745:名無しの怖がりさん:20XX/10/04 22:11 ID:ssKLksiVBc+

 これを書いているということは、

 ≫739は無事に戻ってきたんだな

 まだその森にいるとか言うなよドキドキするわ



746:739:20XX/10/04 22:15 ID:J5rwJJIwP

 そうしてかれこれ4時間ものあいだ、俺は歩き続けた。

 もう空も薄暗くなっていて、すぐに夜が来るだろう。

 俺は最後の望み、電池の節約のためにしまっていたスマホを出した。

 なんとそこには、電波のマークが!

 俺は喜び勇んで地図アプリから位置情報を得て、

 無事に森から抜けることができた。

 あっけないもんだった。

 家に帰って、再び生きて妻子と会えたことに歓喜したよ。

 妻子にしてみれば、いつものように

 普通に早朝に出て行って深夜に帰ってきたってだけなんだが。


 数日経って落ち着いたころ、

 俺はあの森で撮った動画や写真を見返していた。

 遺書のような動画を、消す前に一回だけ見てみようと思ったんだ。

 そうしたらな、

 森の木々に、ポスターが貼ってあった。

 そこら中だ。

 森を歩いていたときはこんなものはなかったはずなのに、

 画像にははっきりとポスターが写っている。

 恐る恐る拡大してみると、そこには

 『昭和×年○月×日 ××で行方不明 ○田○男(齢32)』

 みたいに、地名と写真の主の名前、

 その人物のものと思われる年齢が書いてあった。

 しかも、無数にあるポスターすべて違う写真と名前だ。

 俺は我が目を疑ったよ。

 慶長○年というポスターを見つけて驚いたら、

 康安なんてものまであった。

 当時は写真なんてないだろうに、写真付きのポスターで。

 そこらじゅうの木々に、おびただしい数だ。


 俺の目は知らず、親父の名前を探してた。

 俺の撮ったあらゆる写真と動画を拡大して確認した。

 そうしたら見つけたよ。

 俺の親父の名、写真、日付、間違いない。

 ただ、行方不明になった場所が違うんだ。

 親父は○○山に行ったはずなのに、××峠で行方不明となってた。

 方向がまるっきり違うんだ。


 画像は見れば見るほど気味が悪く、

 一枚残らず削除した。

 あのポスターに書かれていたことは真実なんだろうか。

 もし真実なら、親父はなんで行先の嘘をついたのかなあ。


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― 新着の感想 ―
特殊な怪異が支配する異界に入ってしまったんかな? 親父のウソは意味深やね。リアル事情的に。
山同士が異界で繋がっていて、元の山と違う山に迷い込んで、入った場所と違うから出口が分からずそのまま・・・かな。 修学旅行じゃないけど1日他県の山に行く学校行事で 友達合わせて3人で同じように迷った身…
遠くのポスターとか見えないだろうに、全部びっしり写ってるのも怖い。
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