芸術鑑賞
興味のない芸術鑑賞。
でも、学校の行事だから行くしかない。
中は、色んな物が壁や天井に貼り付けてあった。
体験型と聞いていたから、こういう事なのだろうと思って気にもしなかった。
座席に着いて、公演を待つ。
とても、長くてつまらない待ち時間だった。
クラスメイトや先輩達が凄いと盛り上がってたり、
映えスポットがあると、歩き回ってるのを何が楽しいのだろうと、そっと見ていた。
ーーー
しばらくして、公演が始まった。
正直つまらなくて、寝てしまっていた。
急に、大きな音がなって目が覚めた。
どうやら、前半の公演が終わったみたいだ。
眠気覚ましに、トイレに行こうと外に出た。
人がいっぱいおり、辞めて帰ることにした。
中を見つめる。気にしてなかったが、人がいっぱい居る。
こんな、つまらない公演に、人が集まる理由が理解出来なかった。
ボーっと人を見ていた。
皆、楽しそうに話し合っている。
それが、普通なのだろうか。
自分には、理解出来なかった。
ーーー
しばらくして、後半の公演が始まった。
後半では、また別の面白さがあって、そっちは少し楽しかった。
でも、退屈で仕方が無かった。
しばらくして、急に一匹の猫がこっちに来た。
体験型なのだから、そうなのは分かっていた。
でも、純粋に楽しそうにしている演者を見て、
一気に悲しさを覚えた。
こんなつまらなそうにしている自分にすら、笑顔で演じている。
そんな、演者達の姿に楽しめない自分と、それでも純粋に楽しそうにしている演者達がかっこいいと。そう、思った。
ーーーー
終盤に入った。
一気に猫達がこっちに来て、手を差し出してきた。
自分は、その手にそっと触れた。
涙が溢れた。
悲しい理由なんて、無い。
ただ、純粋に彼の手が温かくて、生きている猫達なのだと実感してしまったから。
こんなんじゃ、つまらないと文句を言えないじゃ無いかと、
思ってしまった。
でも、最後の終わった時の拍手は出来なかった。
する意味も出来る理由も無かったから。
でも、もし拍手をしなかった理由を聞かれるなら、
こう返したい。
「拍手を忘れてしまうほどに、素晴らしかったんだ……」
と、そう返したい。