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0627 横に、誰に居て欲しいんだろう…


「二人とも魅力的で、綺麗で、でもどうして俺なんだろう…」


俺。湯田悠人は胸の内をチームメイトである東雲拓に打ち明けた。


つい昨日、自分は二人の女の子からアプローチを駆けられた。


一人は一桁年齢からの幼馴染である朝香。

もう一人はこの一年同じチームとして共に助け合ってきた仲間の夕奈。


二人とも他の人達より頭一つ抜けた美人であり、朝香は明るく活気に溢れたコミュニケーションとチームアップの達人。夕奈は綿密なスケジューリング能力を持ち皆を導くカリスマリーダー。


夕奈がチームを引っ張り、朝香が後ろから押し僕を含めた12人のチームは1年間プロジェクトを進める事が出来た。


二人とも方向性こそ違うが凄い人間である事には変わりなく、チームの中で大した役割の無い僕がどうしてアプローチを駆けられているのか疑問でしかない。


「最初に聞いとくけど悠人は二人からアプローチされたこと自体は嬉しいんだよね」

「そりゃもちろん」

「じゃ、二人が嫌いとかは?」

「そんな訳あるかよ。

でも、なんで俺なんだよ…。

俺なんて唯のプログラマーな訳だし」

「いや、悠人の仕事量と技術は頭一つ抜けてると思うけど」

「確かに仕事の面だけで言うなら僕もそれなりにやったよ。

それで次のプロジェクトも一緒にいて欲しいとか、何かあれば頼らせてほしいって言うなら納得できる。

でもさ、恋人ってそういう事じゃないじゃん」


窓を見ようとしたら反射した光が自分の姿を映し出す。

ガリガリに痩せ皮膚はボロボロ。

最低限の身嗜みこそ整えているが髪は中途半端に長く眉間に皺をよせ悩む姿は気色悪い。


「悠人って自己肯定感低いよね」

「いや、自己肯定じゃなくて正当な評価だよ。

仕事はともかく俺がモテるのは訳わからん」

「あのさ、悠人。

僕は君がモテる理由何となく分かるけど」

「…はぁ!?」


今この友人が何と言ったのか分からず声を上げてしまった。


「え?なんて??」

「いや、君がモテる理由が分かるって言ったんだよ」

「…じゃぁ言ってみてくれよ」


思わず聞き返せば彼は掌を上に向けやれやれというように首を振る。


「やだ」

「は!?」

「そんな事よりも悠人。

君は二人と付き合いたいのかい?」

「そりゃあんな美人と付き合えたら最高だと思うよ。

でも俺はあいつらと付き合えるようなカッコいい人間じゃない」

「じゃあ考えを変えよう。

君彼女は欲しいかい?」

「そりゃ…俺だって男だし」

「なら自分の横に誰がいて欲しいかい?」

「横に?」


誰に居て欲しいんだろう。


そりゃ自分の人生を共にする人だ。

可愛く、強く、綺麗な人。


「君がどんな人を考えているかは分からないけど君の隣にいて欲しい人は君よりきれいな人なんだろう?

その人に君自信が吊り合うかい?」


吊り合う訳が無い。


だって自分はブスで、ドンくさくてどうしようもない男だ。


「今吊り合う訳が無いって思っただろう」

「…まぁ」

「それは君自身がブスだからじゃなくて君が一度も人に好かれる努力をしてこなかったから卑屈になってるんだよ。

電子基盤を触り続けている人にプログラミングをしろって言っているくらいには「人生」って言う土台の「恋」って分野に経験が無いだけなんだ」

「…なるほど。

でもそれなら恋って分野に触れてきてないならそんなことしない方が良いんじゃないか?」

「君。今回のプロジェクトでハード触ったことないって言いながらハードウェアの改造にも手を出していたじゃないか」

「…それは参考書があったから」

「君。ファッション誌って知ってる?

君が読んだことないだけで恋愛にも指南書や技術書みたいなものがあるんだよ」


あまりにも綺麗な理屈詰めに開いた口が塞がらない。


「…なるほど。

つまり俺も恋愛していないだけで臆病になっていると」

「そう言う事。

所で君のそう言う潔の良い所が君の好かれる要因の一つだよ」



今回のお題を見た時今現在の自分の現状重なりました。

事の始まりは1年半ほど前なのですが、とある糞野郎のせいで病み「正社員」である事が気持ち悪くなり会社を辞めました。

「アルバイト」になった後、色々自分を探していました。

色んな人に会い、いろんな本を読み、色んなイベントに行き、色んなセミナーを受けた結果自分の悩みや考え方がいかに小さく虚しい問題だったか思い知りました。


横に誰にいて欲しいのか、自分は何がしたいのか、自分がどうなりたいのか。

その回答に素直になるのは難しいですが一度素直になるととっても心が軽くなります。

―――と言う経験から今回は「自分がどうしたいのか」を知るまでのお話にしてみました。

皆に共感してもらえたら嬉しいなと思います。


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