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0530 自分で選んだ道
「選ばずに後悔するよりも選んで後悔した方が良い」という誰が言ったのか分からない格言を皆一度は聞いたことがあるだろう。
僕の実体験を交えてこれについて一つ物申したい。
何事にも例外はある。
山で遭難した時とか。
自分で選んで、山を単身川沿いに下り始めたが断崖絶壁にぶち当たり夜になってしまった。
川の流れる音。切り立った崖の先から見えると山の景色。空を跳んでいる飛行機の航空灯の光。
鼻をくすぐる草の匂い、お腹の底から湧き上がる空腹感、体を刺す寒さ。
「はぁ…死にたい」
呟きは虚しく虚空へ霧散する。
その場に腰を下ろせば驚くほど冷たい土の温度。
土の上に寝ればそのまま死ねる気がして慌てて近くの気の根の上に体を置いた。
固く、ゴツゴツした木の根は固く、寝るには絶対向かないが土の上よりはマシかもしれない。
少しでも体温を高めるべく体をめるめて両方の腕でしっかり抱え、夜をじっと過ごして待とうと決意した。