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0511 言葉にならない
「さぁ、お食べ」
「ーーー」
言葉にならなかった。
「どうしたんだい?
久々のたんぱく質だよ」
「これを食べろって?」
「それ以外何があるの?」
平然と言うが目の前に盛り付けられた料理に言葉が出なくなった。
野菜炒めの様な、食べ物の中に入っている確実に入っちゃいけない黒い脚。
「好き嫌いは良くないよ」
「嫌。無理。
これ何?」
「マダガスカルゴ●ブリのフライの南蛮漬け」
クソじゃねぇか。
もう理由とかいらない。
私が席を立とうとすれば彼女が私の手を掴んで止めた。
「大丈夫。
食べれば美味しいから」
こいつとは縁を切ろう。
そう思った瞬間だった。