0529 照れる君
ひょんな事に私の部屋に見ず知らずのショタが泊まる事になった。
名前はカヅキ君。13歳、中学1年生。
ちなみに家出少年とかではなく保護者の同意は得てるのでやましいことは無い。
だが仕事を頑張りすぎてここ最近年下と話などしてこなかった渡しにとって自分のプライベート空間にやってきたショタほど面白いものはない。
「ーーーと言うわけで宿代だと思って君の最近の話を聞かせておくれよ、カヅキ君」
「話ってどんな?」
「恋バナとか?」
「無いですよ」
「じゃあ最近どんな授業したかでもいいや。
なんか面白い話聞かせてよ」
テーブルの上にコーラとポテチを並べ私達は話し始めた。
小一時間ほど本当にくだらない話をしたがそこで彼が少し眠そうにしているのを感じてその場をお開きにした。
社会人になると学生ではなくなる。
現在学生である彼らの話を聞くのは自分に足りない何かをもらえているような気持ちになるのだろうか。
布団に送り出して掃除をしている間にボンヤリとそんな事を考えた。
彼を寝室に送り出し三十分するかしないか。私も準備を済ませて寝室に向かった。
来客用の布団に寝ているカヅキくんの顔が月明かりに照らされる。
私はいい年齢で、同級生にはもう結婚し子を産んだ子もいる。
この年齢の子供はまだまだ先になるだろうがもしかしたらそういう未来もあったりーーー「あの」
まだ起きていたことに驚きながら私は言う。
「あら、さっきまで眠そうだったのにまだ寝てないんだ」
「なんか目が冴えちゃって」
「そう。
なら子守唄でも歌ってあげようか」
「からかわないで下さいよ。
ちょっとトイレに行ってきます」
照れたのかカヅキ君は立ち上がりトイレへと向かった。
彼が部屋からいなくなると同時に外から少しだけ肌寒い風が流れてきた。
なんてことのない自分の寝室がちょっとだけ広く感じる。
「子守唄じゃなくて添い寝の方がよかったかな」