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0528 眠たそうな顔
電車の中。
私の前に立っている少年に目が止まった。
成長期に入る直前だろう小柄な男の子。
彼はねむたいのかスマホ片手に白目を剝いている。
コクリ、コクリ、カクッっと船をこぎ、落ちそうになり再び目を開けスマホに集中。しかし再びトロンと顔がだらしなくなり再びコクリコクリ。
まぁ、夜11時に回るし中学生くらいなら眠くても仕方ない時間だろう。
―――と、それは置いといて彼が少しに心配になった。
この電車、終電である。
通勤時間帯が学生たちの通学時間と重なるので色んな制服を毎朝見ているが、彼の制服をこの電車で見かけたことが無い。
と言うか、次が終電駅なのだ。
「ちょい、僕」
彼は話かけられて驚いたように目をぱちくり。
「んはい」
「君、降りる駅どこ?」
「え…?」
「次の駅終電なんだよね」
彼が電車の案内と手のスマホと私を交互に確認しワナワナと震える。
「ここどこですか!」
「栃木だけど。停車駅乗り過ごしちゃった?」
彼は力なく頷いた。