0521 夢に会いに来て
子供の頃、夢について熱く語った友達がいた。
だが年月が過ぎ、疎遠になり、25歳を迎えたその時クラスの同窓会にてそいつと再会した。
そいつは綺麗なスーツを着こなし、手に高そうな時計を付けている。
話によれば彼は起業して店長になり年収1億が現実になりつつあるという。
対して俺は年収300万に届くか否か。
よれたTシャツに佩きつぶしたスニーカーの頼りない男だ。
俺はそんな彼に思わず聞いてしまった。
どうしたらそんな風になれるのかと。
聞いても仕方ない。自分には無理だと思いながらも自分と彼の変化の差を知らずにはいられなかった。
「夢を決めて本気で頑張れば出来るようになるよ。
例えばだけど君の夢はあるかい?」
「夢?」
「やりたい事でも何でも良いよ。
どんなふうになりたいとか何をしたいとか、何が欲しいとか」
「俺は…車が欲しいかな」
「いいね。仮に1000万円としようか。
買おうと思えば買えるんじゃない?」
「いや、無理だろ。
そんなの買ったらスッからかんになるわ」
「まぁそうだよね。
だから実際にやることは「生活を続けたまま1000万円」貯めるって事だね。
君、月いくら貯められる?」
「…は?」
「いくら貯金が出来るかって質問だよ」
「2万円くらいかな…」
「それなら500カ月くらいで買えるわけだ」
「500カ月って…40年くらいか?
んな長い時間かけたら意味ないだろ」
「まぁそうだね。
でも毎月倍の額貯金出来たら半分になるだろ」
「…20年。
でもその時に手に入れても意味が無い」
「だろうね。
でも夢は会いに行くモノなんだよ。
ちょっとした考え方になるけど今の生活ギリギリに切り詰めたらどのくらい貯金できる?」
「えっと…10万くらいか?
理想値だけど」
「良いね。
なら同じように理想値で考えて欲しいんだけど仕事を増やしたらどうかな?
周5の仕事を週7にしたら」
「そしたら後数万は稼げるか?」
「そうそう。15万円月に貯められれば恐らく5年かな。
でも実際にはそれだけ働いていたら給料が上がるだろうしもっと早くなるよ。
でももし給料以外で収入が増やせるならどうかな?」
「給料以外?」
「うん。
例えば商売を始めたり株式をしたりする。
そうすればもっと早くなるんじゃないかい?」
「…だがそれは理想だろ」
俺が言うと彼は少しだけ笑った。
「理想だよ。
でも考え方一つで夢は君が思っているよりもずっと近くなるんだよ。
夢はあきらめちゃいけない。夢は動かないから自分から会いに行くしかないんだよ」