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2.5
壁などはない、果てしなく続く白い世界。
薄茶色の髪に、秋らしい黄色のワンピースを着た、少女とも女性ともとれる人物が立っている。左の腰あたりが透けていて、足元のスニーカーの紐は千切れ、片方は裸足である。
「……こんにちは」
「またあんたかよ。そろそろ教えてくれよ。なあ……いつまでこんなことを続ければいいんだ」
少しだけ怒りを乗せた声を出すと、彼女は申し訳なさそうに「もう少しです」と、小声で呟いた。
「もう少しってなんだよ。君は神様か何かなのか?」
「……神様がいればこんなこと……いや、神様はいるね……」
今にも泣きそうな顔で呟く彼女に、言葉を発することを躊躇ってしまう。
「……どういうこと?」
「ごめんなさい……お願い……お願いします」
その言葉だけは残され、彼女の存在はいつの間にか認識できなくなっていた。
わからない。でもとにかくやらなければ。
いつも通り、俺が抱え込めばいい。抱え込めば何とかなるんだろう。
そう思い、白い世界に溶け込んでゆく。
こんな夢を見るのは、俺にとって珍しいものではなかった。