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お試し期間1年間

「何、言ってるの?! これからがデートの本番でしょう」いつものみなれた顔で、さらっと言う。




「デ、デートって」自分の顔が、少しほてってくるのがわかる。




「仕事終わりに会っているんだよ。しかも、お互いにいろんなメール交わしてきて」




「…」言ってることはわかる。でも、仕事の上司だったなんて…。あっそうですかとすぐに切り替えられるはずがない。




「僕のことは、多少ショックかもしれないけど。そのう、どう思う?」店で、他のスタッフと雑談する時と違うテンションで聞かれても。




「本人を目のまえにして言いにくいですが店長が来た頃、私はダメなスタッフでクビ寸前のところを救ってくれました。説教するでもなく私の得意な仕事をさせてもらったり、今思えば私のだめな部分も鍛えてくれて本当に感謝してます。そのせいか今は…それなりに成長してきたと思います。ハンバーガーはずっと好きだけど、仕事にやりがいをもてるようになったのは全部店長のおかげなんです」いっきに言葉を吐き出す。




「わっ、わかった。面談じゃないんだから。ちょっと力抜いて」




「は、はい」




「じゃあ、つうてん様のことはどう思っていたの? 今日会うまで。いいづらいかもしれないけど、率直な言葉が聞きたいんだ」




「つうてん様は自分のブログから友達申請をしてきたこともあって、同じバーガー店員という共通点があってうれしかった」先ほどの顔とはうって変わって、笑顔があふれている。




「まいったな。まったく、同一人物なのに…」




「すみません…」




「じゃあさ。こうしない!! 1年間お試し彼氏ってことでつきあってみない?もともとは同じ人なんだから」




「はあ。でも、店長ってかなりもててますよ。私で…いいんですか」




「君が、いいの!! 今まで店長になっていろんな支店を改革してきて、仕事のことしか考えていなかった…そろそろ、彼女でもって思っていた頃に君と出会ったんだ。正確には、メールを通してだけどね」




「はあ、そんなにいってくださるんだったら…。1年間のお試し期間ということで宜しくお願い致します」顔を真っ赤にして答える。私自身、ハンバーガー以外に興味を持った男の人は初めてだった。




「はい、じゃあ成立ね。これからホテルでも行く?」




「えっ、えーいや、あのそれは、流石にその急すぎて」慌てて、断る言葉を探す。




「いやあ。ジョーダンだよ」そろそろ、出ようかということで丁重に青菜さんにお礼をいって店を後にする。




店長の姿勢のいい後ろ姿を見ながら。


仕事のやりがいや恋人としての出会い、そして同僚との別れ。人生で大事なことがこの人によって巡ってきた。私の運命の人なのかも…。

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