表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/16

店長もダメな店員だった?!

運ばれてきた、ハンバーガーはとてもおいしそうだ。


地産地消、そんなことができるんだ!!。


どこかの工場で大量生産して冷凍で送られてくる。そんなコストダウンを図ったやり方に逆らうような。


近隣の農家や肉屋も魚屋も協力して、この店はできている。そして自然災害などの時に、その流れが止まった時には従来の仕入れにすぐに戻して復旧ができ次第で、また地域との繋がりが再び戻る仕組みだそうだ。




ソースも手作り感が満載である。これを、他の支店と変わらない価格で提供しているが採算がとれるのだあろうか。




「贅沢な味だろう」店長は、ハンバーガーをほおばりながら言う。




「規格外で、市場に出せれないものを使っているらしい。味は変わらないし、生産者としても助かるだろう」私の疑問を察知したのかそう説明する。




「俺がつうてん様だったのは、意外だった?」話題が変わり、ちょっといたずらっぽい目になる。




「はい、全然気がつきませんでした。今まで、いろんなことを聴いてもらっていたので穴があったら入りたいって感じ…」




「後でどっかに穴ほってあげるから。食後の運動がてら」笑いを誘う。




「実は俺もさ。何年か前は、ダメな店員だったんだ」




「えっ!」店長の口からは、今では想像がつかない言葉が出た。






「自慢だけど。いい大学を出ててね、だから何かにつけ傲慢だったんだ。マニュアルもほとんど全部覚えて、どうだお前ら凄いだろうって感じの食えないやつだった。しかも、周りに煙たがられているなんて思いもしなかったから」




「…」




「その当時同期に入った人がさっきの彼女」




「青菜さんね」




「そう。彼女が、俺より先に昇給したんだ。そのことが当時の俺はショックで…許せなくて。勢いよく店長に文句を言いにいった。その時の新人店長が、今の俺の上司なんだけど」




◇◇◇




「わかった。いいたいことはそれだけか。明日から、1週間君は椎名君と組んでもらう。彼女の一挙手一投足、みのがさないように。彼女にも伝えておくから、わからないことはすぐに彼女に聞いてくれ。1週間経ったら、その時にまた面接で聞いてやる」と、店長は俺の意見は何も取り合ってくれずそんなことを言い放った。




正直、腹がたった。自分の優秀さに皆が気がつかないだけでなく、見て見ぬ振りをしている!! しかも、いたって平凡な彼女を支持しているなんて。


だがポジティブ思考な俺は、1週間彼女について俺が彼女よりどんなに優秀か証明すればいいんだと思いなおす。




そして、1日目。


彼女は、普通に業務をこなしていた。そして、俺も彼女の周りをついてまわっている。一応、仕事はこなしているが。店内の清掃は、ごみ箱のゴミの回収や周りのゴミなどや不快感を感じるものの掃除など。彼女はテキパキとこなしている。




そして、その間や他の仕事の合間にも何回かは必ず店内をゆっくりと見回る。


「何やっているんだ?! マニュアルにはないことを」俺が注意しようとした時。




「お客様、このハンバーガー食べやすくお切りしましょうか?」彼女は、ある家族連れのテーブル客に声をかける」




そこには、ハンバーガーを食べにくそうにしている幼い子供がいる。


「あらあ悪いわね。でも、助かるわお願いしようかしら」そして、4等分にわけられたハンバーガーが子供の前に戻るとパクパクと嬉しそうに食べ始める。




そう。彼女はマニュアルには載っていない、いわゆる痒い所に手が届く行動を次々にしていった。




時には頻繁にトイレが汚れている時があり、しかも彼女の休みの日に限って。その謎も、ある日解けた。




ある老夫婦が帰ると、彼女が掃除道具を持って出て来た。トイレ掃除は1日3回行う。2回目の掃除は1時間前に終わったばかりだ。なのに…。


「旦那さんの方がね。食事制限がある病気にもかかわらずハンバーガーが好きで週3日は来るんだけど。下痢で、ほとんど食べたものはだしちゃうの。しかも、間に合わないのかあちこちに飛び散ってしまって」と、気の毒そうに話す。




俺は彼女と組んだ1週間が終わる頃には、自分の今までの態度が恥ずかしくなった。




「他人にどうだ、俺はすごいだろう」と自慢げな俺と対照的に黙々とお客さんのために動く彼女。


そして自然と皆が賛同して彼女の動きが店の皆の動きに変わってきた頃には、市内でワースト3のお店が徐々にお客が入るようになり売り上げも上ってきていたんだ。




懐かしい過去を思いだしながら話す俺に、目の前の凛子は相槌をうったり時折、返事を返したりして目を輝かせて聴いていた。




「昔から、すごい努力家だったんですねぇ。青菜さん」2個目のハンバーガーを食べ終わりながら、食後のコーヒーを飲む。




「でも、傲慢な店長も見てみたかったなあ」




「まあ、あの時期があったから変われたんだけどな。はあー。食った、食った。腹いっぱいになったな」店長も食後のコーヒーを飲みながら満足気である。


このコーヒーも喫茶店のオーナーこだわりの品だ。




「本当に、おいしかった。私、お土産に買っていきます。試してみたいバーガーやソースもあるし、今日は貴重な体験ありがとうございました」




「何、言ってるの?!」店長の顔全体が、クェスチョンの表情になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ