成長 2nenngo
凛子は今日のシフトが終わり着替えて店を出る途中、スタッフの皆に挨拶をしていく。
「お先きに失礼しまーす。お疲れ様でした」
「お疲れ様ー」気が付いたスタッフは返してくれる。
その後姿をみながら、アシストの水木 玲奈は近くにいる店長に話しかける。
「凛子ちゃんの成長はすばらしいですね。2年前の彼女ときたら、いつ首になるかって皆の話題だったのに店長が来てからというもの少しずつ自信をもってきたというか、前アシストの佳代子さんとのトラブル後も彼女は辞めずに頑張ってきたし…」
「まあ、誰しも持って生まれた個性というか得意分野はあるからね」
「でもあの頃は私も花村さんがいなければと何回も思っていたんで、今思うと私の指導もどうだったんだろうって…」
「まあ、僕だって最初からうまくやれたわけでもないし、今だって試行錯誤を繰り返してるんだ」
「えっ、店長がですかあ?」玲奈の目は一回り大きくなる。
「でも、今の凛子ちゃんの勢いじゃ私も追いつかれそうでウカウカしていられないなあ」続けざまに、本心?をさらけ出す。
「えー、そんなにすごい⁈」なーんて、店長はのんびりと返す。
「すごいですよ。もう誰も彼女をバカにする人はいないですからね。それと彼氏でも出来たのかしら? いつも、ジーパンに化粧っ気のない恰好なのに、今日、初めてスカート姿をみたわ。化粧もしてたようだし」
「さあ。どうなんだろうね。気にしてなかったけど」と、ざっくり受け流す。
「それより店長は、彼女はいるんですか? 今や店の女性の人気の的ですよ」
「うっ。まあね。それなりにね…。さあ仕事仕事。今日は、俺も中番になっているからあと、1時間で帰るからね」あっ、あぶねえ。そういうのつい乗っかってうっかり話すと、あっという間に広まるからな。