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空白

作者: 松本育枝
掲載日:2022/09/27

散文詩のような500文字掌編小説。

鉛筆を置く。

答案用紙を見直す。

途中で面倒になる。

残り十二分。

僕は教室の窓から外を見る。

白い雲が水たまりみたいに空に浮かんでいる。

じっと見ていると形が変わる。

小さい雲に消えろと命じる。

しばらくすると消える。

僕が消したのだろうか。

わからない。

雲は形を変えながら流れていく。



教室に視線を戻す。

右斜め前にいる女生徒は誰だろう。

茶色いリボンで髪を結んでいる。

僕は名前を忘れている。

窓の隙間から風が流れ込む。

リボンがかすかに揺れる。



時計を見る。

秒針が動いている。

なめらかに。

チクタクと一歩ずつ刻むタイプの秒針ではない。

流れるように動くタイプだ。

でもこのタイプは苦手だ。

一秒と二秒の境目がわからない。

わかるのはただ時が流れていることだけ。

残り三分。



目を閉じる。

腹が空いていることに気づく。

今朝食べたものはどこにいったのだろう。

なにを食べたのか忘れている。



爪を見る。

この爪は僕が食べた何でできているのだろう。

なぜ伸び続けるのだろう。



腹がぐぅと鳴る。

腹に力を入れる。

チャイムが鳴る。

「腹の音、聞こえたぞ」後ろの奴が言う。

僕はこいつの名前も忘れている。



なにもかもが流れ去っていく。

それなのに。

僕はなぜ生き続けるのだろう。


それでも明日も生きていく…

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