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私の“片想いが両想いになりますように。”

作者: 七瀬







私は、片想いをしている男性ひとがいる。

彼とは、仕事場が一緒で私の頼れる先輩だ。

初めは少し、調子ノリで虫嫌いで、明るいだけの

この先輩は、頼りない先輩ひとだと私は思っていた。



・・・でも、私が仕事で失敗した時。

この先輩が、全力で私を庇ってくれる!



『市東のせいじゃないんです! 俺がちゃんと市東に仕事を教えてい

なかったのと、何もかも市東に俺が頼り過ぎたせいなんです! 

本当に申し訳ございませんでした。』

『・・・せ、先輩、』

『取り合えず、二人で謝ろう。』

『ハイ!』

【本当に、申し訳ございませんでした。】

『・・・うん、加野君にそこまで言われたら、許さない訳にはいかないな』

『ありがとうございます、大永社長!』

『次からは、気をつけてくれよ!』

『ハイ! 大変申し訳ございませんでした。』

『もういい! もういい! じゃあ、また引き続きよろしくな、加野君!』

『はい!』






・・・ここから、私は加野先輩を本気で好きになっていった。

でも、加野先輩は好きな女性ひととかいるのかな?

結婚はしていないと、加野先輩から直接、それだけは聞けた。

恋愛の事になると? 私は先輩に何一つ聞けない女だ。

プライベートの事は、なんだか聞きづらい。

冗談で私が先輩に、【先輩、モテないでしょ!】と訊くと?

加野先輩が私にこう言った。【お前が思うほど俺はモテるんだぞ!】

その言葉を聞いた私は、“ハッと”なった。

やっぱりモテるんだ、と。

じゃあ、好きな女性ひとの一人や二人いるかもしれない。

それは、嫌だなと思いながらもそれも聞けない。

私は、勇気がなさすぎる。

フラれるのが怖いからだ。

私が先輩に、【好き】という言葉を言えば? いまの関係が壊れて

しまうかもしれない。

その恐怖の方が、何倍も怖い!

心が押しつぶされそうな気持ちになる。

上手くいかなかったら? そう考えただけで、先輩に私の気持ちす

らバレるのが怖い!





それに、先輩の口から私とプライベートの話をしてこないそし。

彼女が居る事がバレるのが嫌なのかな?

私に、話すのがめんどくさいとか?

二人で居ても、そういう話にならないのが問題なのかもしれない。

キッカケがあれば、私はいつだって! 先輩に恋愛の話を訊きたいのに。

先輩に訊く、キッカケがつかめない。





 *



・・・私の、先輩への【片想い】がこのままどうなるんだろうと

不安になってる時。

私の同僚の女の子が、私と加野先輩が二人きりの時に入ってきて

話を先輩にふってくれた。



『加野先輩って? 今好きな女性ひとや付き合ってる女性ひと

っているんですか?』

『えぇ!?』

『私もそれが聞きたいです!』

『・・・な、なんだよ、市東まで!』

『どうなんですか?』

『・・・あぁ、付き合ってる女性ひとは今のところいないな~

好きな女性ひとは、気になってる女の子はいるけど、』

『どんな女性ひとなんですか?』

『今日の市東、変だぞ!』

『わたしも、訊きたいです。』

『まあ、可愛らしい女性ひとだよ』

『へーえ、杏も、好きな男性ひとが職場にいるんですよ!』

『・・・えぇ!?』

『そうなのか、市東!』

『・・・あぁ、ははい。』

『なんだよ、早く俺にも教えてくれれば良かったのに!』

『えぇ!?』

『じゃあーわたし、先に行くね!』

『うん。』




 

なんだか、嬉しいような聞かなかった方が良かったような...。

複雑な気持ちになった。

確かに、加野先輩に付き合ってる女性ひとがいなくてホッとした。

でも? 気になってる女性ひとはいる。

それに、私にも職場に好きな男性ひとがいると聞いて。

先輩が、俺にもっと早く教えてくれればいいのにと言った言葉。

何か? 引っかかる。

私が好きなのは、加野先輩なのにな。

他の男性ひとでもいいの?

ヤキモチとか妬かないのかな?

その日は、そんな事を朝方まで考えていて一睡もできなかった。






 *




・・・でも、次の日。

先輩から私に、大切な話があるからと言ってきた。

まさかね? 【私に告白とか?】

それとも、他に気になってる彼女を紹介するの?

なにしろ、不安でいっぱいで先輩の話を聞くために待ち合わせ

場所に向かった。




そこには、先輩ともう一人女性ひとがいた。



『センパーイ!』

『おう! ここだよ、市東!』

『先輩、隣の女性ひとは?』

『俺の気になってる女性ひとだよ。』

『えぇ!?』

『お久しぶりです。』

『何度か? 私と会った事があるんですか?』

『勿論! ワタシもふたりと同じ職場ですから。』

『・・・まさかなんですけど!? 掃除のおばさん?』

『はい! よく分かりましたね。』

『・・・・・・』





まさかね!? こんな事があるんだと思い知らされる。

私は、想像もしてなかった。

まさか!? 掃除のおばさんが私の大好きな先輩の気になる人!?

歳だって! 先輩よりも二回りも上だろうし。

先輩が熟女が好きだなんて思ってもみなかった。

私の、“片想いが両想いになりますように”という願いは?

無残に打ち砕かれてしまった。

先輩が、“熟女好き”なんて! 聞いてないよー!!!





最後までお読みいただきありがとうございます。

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