本編 第六話 いきなり期末試験。&モテ期の予兆
お世話になります。
つ、ついにヒロインらしき人物が登場です。(≧▽≦)
それにしても少し重いヒロインが最初に来てしまった(-_-;)
まぁいっか。。
そしていよいよ今日から中学に復学である。
余裕をもって前日まで休みをもらっていたので体調は十分整っている。
記憶と【アカシック・レコード】による情報を元に準備万端である。
久しぶりに袖を通す学ランに違和感が半端ない雄二。
そりゃそうだ!中学の制服なんて実に四十数年ぶりなのだっ!!
(ま・まあ慣れるしかねぇ。。。(;・∀・))
というわけで気合を入れて登校する雄二なのであった。
8時20分始業なので8時ちょっとには学校に着くように家を出る。
上履きに履き替え、自分のクラスのある校舎の2階へ。
(えっと、確か10組だったよなぁ。)
雄二の通う○○○中学は当時は市内でも文武両道に優れた割と有名な中学だった。
(な・・なんでか、、緊張してきたわ。あかん、、落ち着けぇ俺!)
深呼吸して引き戸をスライドさせる。
≪がらがらっ≫
中へ入ると同時に、視線が集中する。
「やっ♪みんな久しぶりぃ!元気やったぁ?」と声をかける。すると、
「「「「おおっ~~!稲村ぁ~~~!!」」」」と、怒涛の如く反応するクラスメイト達
【常識改変】が効いているのか定かではないが、物凄い歓迎ぶりに雄二自身、少々引いてしまう。
中には涙ぐむ女子生徒もチラホラ。騒然とする中、一人の男子が「ほらっ!皆っ!いくぞ?せぇ~~~のぉ!!」
「「「「「「「「「「おかえりぃ~~~!!」」」」」」」」」」
一斉に大きな声で叫んだあと、今度は大きな拍手がされる。
それに対し、雄二も大きな声で「皆っ!ありがとうっ!!やっと帰ってこれたわ!」と、応じる。
「しかし、明日から期末やぞぉ?なんちゅうタイミングやっ!」と誰かがそんな事を喋ったところでSHRになり、担任の酒巻先生が教室に入ってきたので全員、自分の席に着く。何故か雄二の席は廊下側から4列目の一番後ろだった。一学年12クラスで一クラス40名である。
朝の挨拶の後、先生に言われて、クラスメイトの前で改めて今日から復帰するという報告と心配をかけたお詫びと温かく迎えてくれたお礼を述べる。再び拍手される。
一通り落ち着き、連絡事項を伝えると、SHRが終了する。
とたんに又、雄二を囲んで人垣ができるが、今度は女子の数が圧倒的に多いようだ。
隣の席の上谷さんが「ほんとによかったねー♪」と言うと、うんうん頷きながら松原さんが「倒れたって聞いた時、本当に心配したよー」と告げる。すかさず岡田さんが「私も心配し過ぎて何度泣いたことか」などと嘯く。すると誰かが「そー言えばさー、他のクラスの子も何人か稲村君のこと、何度も聞きに来てたよね?」と言い出し、「そうそう特に11組の尾崎さんだっけ?泣きそうな顔で何回も聞きに来てたよねぇ」と付け加えてくる。
こんな風に休み時間になる度にわらわらと雄二の許に集まって来てはおしゃべりする。そんな光景が以降、当たり前のように日常として繰り返されるようになって行くのであった。
授業そのものに関しては全然問題なく、冒頭で先生から挨拶され、それに返事をする。そんな感じであっという間に放課後になる。
明日から期末試験という事で、部活はなく、クラスメイト達は軽く挨拶を交わしながら家路につくのであった。
雄二も帰ろうと教室をあとにして廊下を進んでいると、ふいに後ろから「雄ちゃん!」と呼ばれ、振り返る。
そこには先程、女子達の話に出ていた尾崎さん、"尾崎圭子"が立っていた。
「ん?尾崎さん 久しぶりぃ。どしたん?」と問いかけると、
俯き加減になりながら小さい声で「す、少し話があるの。。。聞いてくれないかなぁ?」と、言ってきた。顔を赤く染めながら。
念のため、『第五の権能』の中の【アナライズ】で試しに分析・鑑定してみる。
すると、
【個体名】尾崎圭子
【年 齢】14歳
【種 族】人間
【職 業】学生(中学2年生)、処女
【現在地】日本
【現 状】極度の緊張状態
【体 格】身長:150㎝ 体重:42㎏
B:80 W:57 H:83
【体 力】20
【筋 力】18
【腕 力】17
【瞬発力】18
【知 力】68
【攻撃力】10
【防御力】12
【幸運度】45
【称 号】なし
【備 考】長年、想い焦がれていた相手にやっと再会でき、今から告白しようと
勇気を出してその相手、稲村雄二に声をかけたはいいが、本人を前に
して緊張のあまりパニックになりかけている。
(えっとぉー…落ち着け、俺っ!。。。これってつまり…今から告られるわけぇ~??ちゅかなにげに3サイズまで見えちゃってるんですけどぉ~?)
周囲を確認して、人がまばらになっていることにとりあえず安堵する。
さしあたって、学校から出る事を考え、圭子に提案する。
「うん。わかった。でもここじゃあなんだから、ひとまず学校、出よ?」そう言いながら、下校を促す。
圭子が「わかった。」と答えながら一緒に歩きだす。
下駄箱で土足に履き替えようと下駄箱を開けると「パサパサッ・・・」と何やら可愛らしい封筒がいくつか落ちる。圭子からは見えていないようなので、とっさにカバンに放り込み、何もなかった風に装って、さっさと土足を履く。
一緒に校舎を出たところで、圭子に「ついてきて?」とひと言。対して黙って頷く圭子。
向かった所は雄二の通学路の途中…というか中学と道路を隔てた場所にあるこじんまりとした神社。そんなに高くない石段を登ると境内が見えてくる。普段から人影が殆んどない静けさが漂っている。
そこに来るまでに雄二は圭子の事を記憶から呼び起こさせていた。
(確か小学校2年か3年の時、同じクラスやったなぁ。。ああ、そういや中学になってからも1年生の時、同じクラスやったわ。俺からすれば数十年ぶりやけど、本人からすれば数か月ぶりになるんやもんなぁ)
タイムリープ前の小中学校時の記憶が鮮明によみがえる。
昔から頭が良く、しっかり者だったという印象が雄二の頭に浮かぶ。
髪型はショートカット、赤茶色の縁取りの眼鏡をかけているが、今見ても目元は涼しげで綺麗な目をしている。知的な美人になるだろうなぁ、という想像ができるほどには整った綺麗な顔立ちである。
正に才色兼備を地で行っている子だった。
おまけに性格も良く、当時の雄二に対しても何の偏見も無く、気さくに話しかけてくれたり、優しく接してくれていた。
なので雄二にとっては数少ない淡い想いを抱いた一人だった。
そんな子が今、雄二に自分の胸の内を伝えてくれようとしているのだっ!
(それなりの心構えで接するべきやろうなぁ。)
やがて雄二は境内にある本殿みたいな建物の横側の見えにくい位置にあるコンクリートに腰を下ろす。
圭子はその横にある出っ張ったコンクリートに同じく座る。
「寒ない?」と雄二が聞くと「ううん、大丈夫だよ」と返ってくる。
そのあと、少しの沈黙のあと、漸く圭子が口を開いた。
「もう体は大丈夫なの?…突然、、倒れて意識不明になったって聞いてびっくりして・・・本当に…心配したんだよぉ。。。」最後の方は涙声で絞り出すように吐露すると同時に顔を雄二の胸にうずめる。
(ええ~!?なんかいきなり何してくれはりますのん?)と驚きながらも右手を背中にそっと置き、左手で頭をなでながら「ごめん、、心配かけて。。もう大丈夫やから。」と答える。
そのままの状態で幾ばくか経って、今の状態に気が付いた圭子は慌てて距離を取り、ひと呼吸置いてついに思いの丈を口にする。
「あ、あのね…驚くかもだけど、聞いてくれる?・・・・私、、雄ちゃんの事が…好き。。。」
それを聞いて雄二は黙ってコクンと頷く。
「・・・多分小学校の時、一緒のクラスになった時からかなぁ。。それで去年またおんなじクラスになってからどんどん好きになっちゃってて…でも雄ちゃん、モテるからなかなか言い出せなくって・・・それでもやっぱり諦められなくて…2年になってクラス、別々になっちゃったけど…もっと好きになってて…今度こそ気持ちを伝えようとしたら、雄ちゃん、突然意識を失って学校に来なくなっちゃって…それでもやっと今日、久々に元気そうな顔が見られたら居ても立っても居られなくなっちゃって・・・」
真っ赤になりながら一生懸命その想いを伝えてくる圭子。
(かあいぃぃぃ~~~っ♡♡♡ やのーてっ!うーむ、【常識改変】が効きすぎてるんかぁ?【マインドコントロール】は使ってないはずだよなぁ。。。どーするよ?これ)
(確かにこの子。美人やし。当時も良えなぁとは思っとったし。彼女とやったら・・・ふむふむ。。。)
などと思いながらも言葉では、
「そっかぁ。 うん、わかった。ありがとな。こんな俺を好きになってくれて。でもよー考えたら明日からお互い期末試験やんかぁ?試験が終わったら必ず返事をするからさ、それまではテストに集中せーへん?」などと模範解答を告げる雄二なのであった。
それに対し、圭子は「そう…だよね。うん!わかったー♪」と少し微笑んで返事をしてくれた。
それから二人は試験予想などを少し話し合った後、お互い帰路についた。
その夜、軽く試験の出題範囲を流し読みして確認後、寝る前に帰りの下駄箱に入っていたお手紙達を眺めていた。
差出人の名前を見て、唖然とする。
全部で6通貰ったわけだが、その内の4通はまあ特段騒ぐほどではなかったのだが、残りの2通。
それが問題であった。1通は3年生で前生徒会長である古沢先輩なのだ。高校受験でそれどころではないはずなんだが?それにこの先輩、あまりいい噂を聞かない。要するに男を見下し手玉に取っては楽しんでいると言われているらしい。。
そしてもう1通。なんと差出人は隣の席の上谷さん、"上谷裕美子"。確かこの子、他のクラスに彼氏がいたはずである。
(おいおい…どーゆうつもりなんやぁ?・・・復帰早々修羅場とか面倒事は勘弁してくれよなぁ~!)とため息交じりに嘆く雄二であった。
さておき、(今は期末試験に集中すっかなぁ。。)そう思い至った雄二はめんどくさい問題は先送りすると決め込むと気分転換する為、最近お気に入りの曲を聴き入るのであった。
(そうやなっ!こんな時は問答無用のハードロック、『ディープパー〇ル』の“BU◦N(邦題:紫○炎”を聴いてスカッとするのが一番やわ!)
雄二はとにかく音楽を聴くのが大好きだった。特に中学に入ってからは洋楽を好んで聴きまくった。
(せっかくやり直しの人生を歩めるようになった訳やし、昔の俺では叶えられんかった楽器演奏にチャレンジするのもええかもなぁ。。。今なら普通に出来るやろうしなっ♫)
強烈なビートに心躍らせながら雄二はやりたい事をドンドンやって行こうと考えるのだった。
そして迎えた二学期末試験。日程は以下の通りに執り行われた。
試験1日目:英語、保健体育、社会
試験2日目:音楽、数学、国語
試験3日目:理科、美術、技術家庭
雄二にしてみれば、体感的には実に数十年ぶりの試験なのであったが、そこは持ち前の記憶力とチートな『権能』を有効活用させてもらう。本人はこれっぽっちもズルをしているという自覚も何もなく、当然の権利と言わんばかりである。まあ実際、雄二がいなければ間違いなく近い将来、地球も存在していなかった訳であるから。
てなわけで、何の問題もなく、順調に日程はこなされ、最終日の最後の教科である技術家庭の試験が終わりを告げ、残すは帰りのSHRのみになったのである。
すると、隣の席に座っている上谷さんが話しかけてきた。
「ねぇ、ねぇ!手紙読んでくれたぁ?」
(さて、どお対処しようか?)と少し考え、
「あんたさぁ、クラスは違うけど 彼氏いたんじゃねぇの?」と逆に問う。
「う、うん…いると言えばいるんだけどねぇ。。。」
(うん。言葉を濁して曖昧やなぁ。)そう考え、本音でバッサリ。
「そこんとこ、はっきりさせてからやなぁ。。。まあどーでもええけどなw」
ちょうど、担任が入って来てSHRが始まったのでその後はこの話題に触れる事無く、単純に帰りの時間を待つ事にした。
試験が終わったので部活が解禁になった為、思い思いに友達と談笑しながらそれぞれに散っていった。
(しっかし、彼氏がいてるのに他の男に色目を使うなんてなぁ・・・)
さっきのやり取りを思い起こし、そんな事を批判的に思う雄二ではあるのだが、ごく近い将来、自分自身が二股どころではないとんでもない一大ハーレムを築いてしまい、思い切りその考えがブーメランとして返って来ようとは。この時はまだ知る由もなかったのである。
閑話休題。確か今日は、圭子の告白に対する返事をする事になっていたはずである。
しかし具体的にいつ?どこで?という事は特に決めていなかった。なのでどうしたものか?と思いつつも既に下駄箱まで来てしまっていた。何気なしに下駄箱を開けると一片のメモ紙が靴の中に入っていた。
そこには
~旧校舎の3階、一番西の教室で待っています。
圭子~
と短く書いてあった。
次回は初デートかな?
どんどんリア充になっていく主人公なんか爆発すればいいのに…