本編 第五十八話 ソレカラドシタ??
お世話になります。
この物語は四十数年前の日本が基本的舞台ですが、今とあまり変わっていないものも多々あるようですね。
家に帰ると、メルとルネ、そしてアリーがいきなり抱き着いてきた。
「えっ?なんで?・・・」
「義務です♡♡♡ユージ様ぁ♪」と宣うメル。
ルネとアリーもうんうんと頷いている。
負けじと秀美もしがみついてきた。いったい何を張り合っているのだろう?
(訳わからん・・)
このくだりを見ていた父親の功が歯ぎしりしながら、
「くぉのっ!ハーレム野郎めっ!!滅びやがれっ!!!」
とても実の息子に対して言うセリフではない。
なので即座にしっぺ返しを食らう。
「お父ちゃん?お父ちゃんの車とか新しいゴルフフルセット…雄のお金から出とるんやけど?全部没収してええのぉ?」
妻である京子にバッサリ切り伏せられる功なのであった。
そうなのだ!このクソ親父はあろうことか、車だけでは飽き足らず、新品のゴルフフルセット一式を強請ってきやがったのだ!
最初は渋った京子だったが雄二が「父の日やし、ええんちゃう?」と、許したばっかりに図に乗ってきやがったのだ。
ちなみに母の日には天然真珠のネックレスをプレゼントしている。
京子にバッサリ切られた功はいつものorzのポーズ…最近常態化している帰来がある。
何故か既に馴染んでいるアリーを含めて夕食を摂った後、雄二は自室へ戻り寛ぐ。
しかし、ただ寛いでいるわけではない。
今回の事後処理に取り掛かろうとしていたのだ。
まあくん、秀美の担任である三枝先生のお子さんが、最初から五体満足で正常に生まれ、脳性麻痺や小児がんなどを患っていない事にする為、この周辺一帯の行政及び医療関係機関全てに【常識改変】を施し、病院、役所などの関連するデータもひとつ残らず書き換えた。念のため、隣接する行政区間も。
(これで、まあくんは俺みたいな最悪な人生は歩まんで済むやろ)
だが、雄二はこれだけじゃあ気が済まない。
そもそもの要因たる人物にはそれ相応の報いをキッチリと受けてもらう。
【アカシック・レコード】と【サーチ】で対象の現在位置を確認する。
どうやらここから直線距離で5km程南東にあるパチンコ屋にいるみたいだ。
雄二は詳細を探るために【クレヤボヤンス】と【アナライズ】の合わせ技を使う。
その男、名前を侭亮三というらしいのだが。珍しい苗字だ。
大学時代に三枝先生と知り合ったらしいのだが、就職して結婚後、暫くは真面目だったらしい。
しかし、先生がまあくんを身ごもった頃からギャンブルに手を出し始めて、挙句は会社の金まで使い込み、解雇されてからも定職に就かず。
おまけに酒をあおっては身重である先生に暴力を奮うクズぶり。
自分が原因の一端であるにも関わらず、生まれて来た"まあくん"を見て、一度も抱き上げる事すらせず、それどころか全てを先生のせいにし、勝手に離婚届を押し付けて出て行ってしまったという事みたいだ。
この時代は特に多いようだ。女性を平気で蔑ろにするクズ男が。
(さて…どぉ落とし前をつけてもらうかなぁ?)
本音を言えば、すぐにでも抹殺してやりたいのだが、こんな男でもまあくんの父親なのだ。安直にはいかない。
というわけで遠隔操作による【マインド・コントロール】を行使する。
誘導したのは職安。その中にある青年海外協力隊の募集受付窓口。
せめて少しでも社会の役に立つ事をさせようという狙いだ。
行き先をアフリカ、ルワンダ辺りにしといた。この効力は時限式にした。
つまり、これから少なくとも3年は真面目に協力隊隊員として働いてもらう。
もし万が一何かあればという事で保険にも加入させる。
受取人は元妻で。
後は知ったこっちゃない‼
それよりもだ。
雄二は自分の過去の境遇も踏まえて色々考察する。
この星の管理者は既に5千年近く不在のままで12神達が適当に見ている程度らしく、特に人間については不干渉、無関心になっているらしい。
{もっとも『ゼウス』から任命され地域毎を見守る複数の下級の神やその使徒らはそのまま居座っているようだが。}
つまりは雄二やまあくんのように不遇に生まれる子供はあくまでも人間側の運、環境、境遇から生ずることなので基本、神々は関知しないというスタンスらしい。
結局、人間は神々の忠告を聞かず、勝手に増長し驕り、昂ぶり、争いを好み、時には悪魔と手を結び、やりたい放題やりだした為、管理が放棄されたという。
つまり、今後も運が悪ければ雄二やまあくんのように理不尽に苛まされて生まれてくる子供もいるということだ。
猿から人間に実験的に進化させたのは神だというのに随分と無責任だと思う反面、現状の人間社会を鑑みると致し方ないのかもしれないと思い至る。
(理想、絵空事、綺麗事やと言われそうやけど、せめて生まれてくる時だけはみんな平等にならんもんかなぁ?…生まれた後はそりゃあ色々環境によって振り分けがあってもある程度は仕方ないけど。)
雄二が『権能』を用いて不遇に生まれてくる子供を救えば済む話なのだが、、、
果たしてそれで全て解決するのだろうか?そこからまた新たな問題が起こりうるのが人間の常である。
ましてや、雄二は博愛主義者でもないし、偽りのヒューマニズムなんてクソくらえだ。
いくら神々を軽く凌駕する力を持っていようが所詮は一個人、ただの人間が本質なのだ。
繰り返すが、自分や自分にとって大切だと思う者達はどんなことがあっても護る。しかし他は基本知ったこっちゃない…基本は。
雄二が一番嫌いなのは人間。一番愛するのも人間。そして雄二自身も人間?のつもりらしい。
要するに自分に関わってこなければ基本スルー。あとは雄二の気分次第。
それでも雄二は少しでも自分や自分の知り合いに関りがある人達が困っていたなら、手を差し伸べるのは厭わないつもりだ。
全てを救えないのだ。いや、救う気が無い。
全てを救うという事は全てに責任を持つという事を意味する。つまり‟管理者=神になる"という事。
雄二はゆくゆくは全宇宙を統べる存在にならなければならない。
しかし、今はまだただの人間でいたいのだ。。。既に行ないは人間を明らかに逸脱しているのだが。
せめて自分が一つの星を創り、そこに移り住むとしたら、そこで生まれる子供達は生まれる時だけでも平等にしようと思う雄二なのだ。
それはさておき・・・翌日の日曜日はカノジョらとともにのんびり過ごした。
【異空間共有部屋】に全員集まったのだが、この人数になるとさすがに少し狭く感じたので大幅に拡張した。
新しく正式に雄二と結ばれた良江そしてアリーの歓迎会を行なったのだ。
正確にはまだ秀美とルネとは結ばれていない。
秀美はまだあくまでも妹だし、ましてや未だ小学生なのだ。捕まりたくないのだっ!
ルネはまだまだ修行が足りないそうで自分を戒めている為、まかせている。
それでも雄二と永遠を生きてゆく事は既に決まっている。なのでカノジョ枠なのだ。
いったい何人になるのやら?{まったく!}
アリーが女神であり、詩織、圭子、メル、そして良江も既に神を凌駕する存在。
故に話は他の女神とか天使の事になっているようだ。
雄二が次はどの女神を堕とすのか?とか雄二好みの天使はいるのか?とか。
本人を置いてけぼりにして大いに盛り上がっているようだった。
雄二は心の中でボヤくのだった。
(キミら仲良くなるの、はえーなっ!おいっ!…一般的な天使には性別ねーしっ!)
そういえば、今日が初めての顔合わせであるはずなのに、アリーと詩織、圭子はエラい意気がぴったりだ。
圭子と良江は久々の再会を、そしてお互いめでたく雄二と結ばれた事をむちゃくちゃ喜んでいた。
今回も秀美のリクエストで雄二が料理を振る舞う羽目になってしまった。
「恒例化しとらんかぁ?」雄二が疑問を投げると秀美が、
「気のせいだよぉ~♪お兄ちゃん☆彡♡♡」満面の笑顔で軽くいなされた。
ちなみにリクエストされたのは『パエリア』と『ミルフィーユ』だった。
週が変わって月曜日。今日で6月が終わり、明日から7月。まだまだ雨の日が多い。
そして今週木曜日からみんな大好き、期末テスト!
期末テストは全科目なので9科目である。主要5科目の他に音楽、美術、技術家庭、保健体育が加わるのだ。
荒河先生は「やっとテストが作れる」と言って喜んでいた。何がそんなに嬉しいのだろう?気になるところだが、聞かない方が良いかもしれない。
幾人かの女子が「勉強を教えて欲しい」と言ってきたのだが、面倒な事になるのが透けて見えたので丁重にお断りする。だって、下心見え見えなのだーっ!
ああ!そうそう、こないだ異世界にご招待したアパズレ3人娘は無事こちらの世界にご帰還なされたようだった。雄二としては特に興味が無かったのでその後もスルーしていたのだが。
伝わって来た話によると半裸の状態で発見され、意識が朦朧としてうわ言を言っていたとかで、3人とも病院に入院しているらしい。ご苦労様でした。。。
その日、帰宅すると秀美から報告があった。
秀美の担任、三枝先生はというと、秀美の話によれば、教師を続けるそうでそのまま、秀美のクラスの担任のままだそうだ。
まあくんもとても元気だそうで、何度も何度も「お兄さんによろしくね」と言われたそうな。何よりである。
少し早送り(謎)で>>>>気が付いたら期末テストが終わっていた(謎笑)
7月第2週、いつものようにテストが返却され、いつものように雄二は全科目満点でダントツ不動の首位っ!
ちなみに今回はゆきっつぁが前回同様6位、北川さんが10位でベスト10入りが1人減って3人になった。
前回までベスト10に入っていた澤村さんは12位に後退していた。
コバやんは20位。ひらちゅーは48位。さとぴは50位だった。
今回、最も注目を浴びたのはやはり良江だった。前回38位、今回は更に順位を上げて19位!
そういやぁ、今週から席が変わった。
雄二はやっと一番前の特等席から解放され、安住の地である窓側一番後ろをゲットした。
(決して"力"なんて使ってないんだからねっ!)
隣は佐藤さんという大人しく地味で目立たない眼鏡っ子だった。
前の席には山本さんというこれまた大人しい眼鏡っ子。
中々お目にかかれない布陣だ。
二人とも少しオドオドしていて自分からは話しかける事が出来ないようだった。
またまた早送り(謎)>>>>で、あっという間に7月第3週。つまり今週の土曜日は1学期の終業式であり、いよいよ待ちに待った夏休みなのである!そして本日、月曜日にこの地域の梅雨明けが発表された。
そうそう…そういえば、めでたく先週の土曜日に自宅の増改築そしてそれに隣接する形で家業の新しい作業所が完成し、日曜日にレイアウト変更や物の移動を行なった。
作業所の方は平屋建てだが、今まで使用してきた自宅内の作業スペースの2.5倍広くなっていた。
一方、自宅の方も全面的に増改築した為、元々あった床面積の1.5倍大きくなった。
「この際やから」という雄二の提案で台所、浴室、洗面所等も新しくリフォームし、家具、家電、照明等も全て新品に買い替えた。
ダイニングも応接間もかなり広くなった。
2階は完全に雄二達のスペースになった。ちょっとした居間、そしてキッチン、シャワールームが設置され、個室が既存の雄二と秀美の部屋も合わせると全部で9部屋。
いわゆる2世帯住宅そのものだ。
「下宿屋でも行けそうやなw」と言うと、母親の京子から、
「誰のせいやっ!!」強烈なツッコミが返って来た。
あれこれ追加、増設、新規購入などをした為、当初予算の3倍近く費用が嵩んだが、いつもニコニコ現金払いで済ませた。
税金対策も雄二が裏でチョイチョイ!ついでにアリーの国籍等の問題もチョイチョイチョイ!良い子は絶対マネしないでネッ!{棒読み}
と言う訳でアリーも正式に一緒に住む事になった。メル、ルネ、秀美も嬉しそうだった。
こうして新装された我が家で迎える週初めの月曜日。
かなり広くなった食卓で朝ごはんを食べていると、母・京子が、
「雄?昨日も言うたけど、子供だけはまだ作ったらあかんでぇ?お前のことやから大丈夫やと思うけどな。それと、ちゃんと平等にせんとだしかんでぇ?」
『前・世界』の母親は雄二のそっち方面に関する事については異常なまでに厳しかった。潔癖症のようにまでなっていたというのに、今の母親はその面影が微塵もない。
(この変わり様がつまりご都合主義なんやろうなぁ。つうか、俺仕様?)
などと思いながら京子の言葉に頷きを返す。
「それと、今年の夏はお父ちゃんと九州に帰るんやけど。お前はどうする?って、ああ!お前受験やったな?」
「そうそう。受験もあるし、大人数で九州に行くのはキツいやろ?俺、留守番しとくわ」
「それがええかもな。秀美は…「絶対連れてくっ!」」
ここで父親、功の参戦である。
「ええぇぇ~~!?やだぁっ!!」秀美が猛抗議するが、
「雄二にばっかりべったりやんかっ!たまにはお父ちゃんにも甘えてくれっ!!頼むっ!この通りやっ!なっ?秀美!」
ガキのように駄々をこね、挙句は小学生相手に拝み倒す我が父に憐みの視線を向けながら、
「はぁーーーっ!秀美?今回は付いて行ってやれ!」
「ええぇぇー!お兄ちゃんまでそんな事言うのぉ?」
「しゃーないやん。。この哀れなお父ちゃん見てみ?」
「うっ!それを言われると…」
「なっ?その代わり、帰ってきたらお前の言う事、何でも聞いたるわ」
「ほんとぉ?ほんとに何でも聞いてくれるぅ?」
「ああ。お兄ちゃんにできる事やったら何でも聞いたるっ!」
「ぅぅ…わかったよぉ!約束だからねっ!お兄ちゃん♡」
というわけで秀美の九州行きが決まったのだが、何故かルネも付いて行くことになった。
ルネも少なからず興味があったみたいだし、普段から頑張って家事手伝いをしてくれているルネにご褒美として連れて行ってはどうか?という京子と秀美が提案をしてきたのを雄二とメルも快諾して決定したのだ。
更にここに来てようやく、ルーシェがこちらへ来られるようになるみたいだ。
エドワード国王が国内外も落ち着いてきて、大丈夫だろうという事で許したそうである。
もっとも、ルーシェ本人が涙ながらにおねだりしてきたのが大きいだろうが。
秀美もやっと自分より年下の妹分が来るという事で大喜びであった。
こうして少しずつ、夏休みの予定が埋まっていく中、学校へ向かう雄二であった。
学校に着き、雄二が席に座ると、いつものメンバーがいつものように集まってくる。
席替えがあってもこれは変わらなかった。
澤村さん、早矢仕さん、安藤さん、北川さん、そして良江。
ゆきっつぁ、コバやん、ひらちゅー、さとぴ
このメンツがもう定型化してるようだった。
最近はゆきっつぁと北川さんがなかなかいいムードである。
どうやら北川さんは、早々に雄二を諦めて「次、行ってみよーっ!」という事らしい。
まあ、当のゆきっつぁも満更でもなさそうであるのだが。
なんか、さとぴと安藤さんも仲良さそうに話している。
青春真っ盛りである。
「そう言えば、最近物騒な事件が多いよなぁ」とコバやん。
「だよねぇ~…革マル派の爆破事件とか内ゲバとか・・・」続いて澤村さん。
「あとさぁ、暴力団同士の抗争も頻発しとるしなぁ…」更にひらちゅー。
「暴走族なんかも多いよねぇ…夜中、時々凄い騒音出してるしね…」早矢仕さんも同調する。
そうなのだ!最近、何故か物騒な事件が後を絶たない。いや集中し過ぎている。
雄二が懸念していた通り、異界からの悪魔『ヴィリュ』一味の一部が日本へ流れてきて活発に動き始めたようだった。
既に雄二は連中の動きを把握していた。しかし、雄二の住んでいる地域にはさほど影響は出ていなかった為、基本放置していた。
だがしかし、いよいよこの地域にも少しずつ影響が及んできたようだ。
良江からふと、【テレパシー】が入る。
[動くんでしょ?あんまり危ない事はしないでね?]
(ああ。。まかせろっ!)
夏休み前に大掃除を決意する雄二だった。
次回はお掃除になりますw




