本編 第四十八話 「将来何になるのぉ?↗」「こーむいーん!↗」
お世話になります。いつもありがとうございます。
この話のタイトルはとある地方のローカルCMですw
判らない人はググってみてください♪
週明け月曜日。今週は三者面談が行われる為、午前中で授業が終了する。
雄二の番は出席番号順と言う事もあり、初日である本日、14時からである。給食も無いので本来なら帰宅して昼食を摂ってから再び、学校に来るところなのだが、一旦帰ってまた出てくるのが面倒くさい雄二は購買部のパンで昼食を済ませるのだった。
(ふむ、、このハムカツパン…なかなかイケるな)
昼食後、自分の番までにはまだ1時間以上空いている雄二はとりあえず、学校内を回る事にした。
今日から三者面談なのは3年生のみだが、1、2年生の生徒は家庭訪問になってるらしい。
よって、昼からはスポーツ少年団に所属している生徒以外はまばらである。
雄二はゆきっつぁの所属している野球少年団を見に行く為、グラウンドに出て来た。
「カクゥーンっ!」
「パシィーン!」
「ザザザザッ!」
野球独特の効果音が鳴り響いている。
しばらくバックネットの隅から練習風景を眺めていると、
「おっ!大将っ!どーした?こんなとこ来るなんて珍しいやん!」
ユニフォーム姿のゆきっつぁが大きな声で叫んだものだから、周囲からの注目が一気に集まる。
「ん?ああ、今日…面談なんやけどな、まだ時間があるからちょっくら見学にな。」
笑いながらそう返す雄二にニヤリとしながら近づく影一つ。
「おうっ!稲村っ!暇ならちょこっと付き合えや♪」
この野球少年団顧問であり、1年時の担任だった八崎先生だ。現在、雄二らの国語担当教諭でもある。
「えっ?いやいや、俺…部外者なんで」
その場から逃れる為、後ずさりしようとするが、いつの間にか数人の野球少年団員が雄二の後ろに回り込み、両肩をホールドしていた。
(・・・最近、こんなんばっかやぁ~!!;;;)
そして雄二は今、バッターボックスに立たされている。いちおうヘルメットをかぶってはいる。そして手にはバット。さすがに学ランは脱いでカッターシャツ姿。
「うちのエースの球を味わいやがれっ!コマシ野郎っ!!」
不敵な笑みを浮かべて雄二に向かってそう叫ぶ八崎先生。
とんだとばっちりである。やっかみである。ひがみである。
八崎先生の叫びに呼応して周りの野球少年達もヤジってくる。
どうやら周りはある意味、敵がほとんどらしい…。
マウンドにいるエースとやらはさすがにそう呼ばれるだけあって、上背があってガタイも良い。
何球か投球練習で投げ込まれてくる球を見れば球速もけっこうあり、重そうである。
(120無いくらいかな?)
準備が整ったらしく、アンパイア役のゆきっつぁが声を上げる。
「バタラップ!」
雄二は迎えるべくバットを2回ほど素振りをしてから構えながらこっそり【プレコグニション】を行使する。
(初球は脅しでビーンボールまがいのインコース高め・・・か)
大きく振りかぶって投球モーションに入る相手投手。
ボールが放たれる瞬間、雄二は一歩下がり、難なく球を見送る。
予想外に早く球を見極められた相手は唖然とする。見ている八崎先生達も然り。
気を取り直して相手は2球目を投じる為、モーションを起こす。
(ど真ん中高めのストレートね。これがホントの返り討ちじゃぁぁっ!)
初球が少し癇に障った雄二は軽ぅ~くフルスイングする。
「ガックゥーン!」と、小気味いい音を残し、打球はグラウンド左、学校の敷地を囲っている柵を超えて道路へ。幸い通行中の車は無く大事には至らなかった。
打たれた相手は突っ立ったまま固まっている。
八崎先生らも口を大きく開けて、目も飛び出るかのようになっている。
唯一こうなる事を予想していたゆきっつぁは冷静な口調で、
「ナイスバッティーンっ!さすがっ!大将やなっ♪容赦ねぇっ!!」
その後も我に返った相手投手が何度か再戦を挑んできて、変化球も織り交ぜてくるが、その尽くを全て場外に運んでいった。
その為、『_| ̄|○』←このポーズのまま、しばらく動かなくなったわが校のエース君。
だったら投げるのはどうだ?と、言わんばかりに今度は雄二をマウンドまで無理やり引っ張り上げ、無理やりボールとグローブを渡してくる八崎先生。顔が怖いです(怯)
このチームの中軸バッターが。しまいには八崎先生自らバッターボックスに立って、雄二に対戦を要求した。
そろそろ教室に戻りたい雄二はヤレヤレとばかりにねじ伏せた。ストレート一本で。
誰一人、雄二の球をまともに捉えることが出来なかった。
「ま、まさかこんなことがっ!!…杉山が言ってた事はてっきり大袈裟な言い草だと・・・」
そう言いながら愕然とする矢崎先生を尻目に、
「じゃあ、そろそろ面談の時間なんで・・・」
一声かけて上着を手に校舎へ歩き出す雄二。
思いのほか、人が集まって来てたようで騒然となっていた。
教室に入る前に手洗い場で顔と手を洗っていると、
「お疲れ様で~す♪主様ぁ♡相変わらずのご活躍で何よりですぅ♪」
と言って、タオルを差し出す女神が一柱…。
「・・・なんでアンタがここにおるん?」
努めて冷静に話す雄二。
「だってぇ~主様ったら全然あちらに来て下さらないしぃ~♡」
「俺は普通の人間としてだな・・・」
「あー、そー言うのは結構なんで。あちらからずっと主様だけを覗いていたんですけどぉ、とても普通の人間とは思えませんよー?」
思わぬツッコミを食らって言い返せない雄二。
「大丈夫ですよぉ♪私は主様にお逢いしたくて来ただけなんでぇ~♡今後、しばらくは人間として主様のお傍にいさせて頂きたいと思います。今日はとりあえずご挨拶をしに参りましたぁ♪」
「・・・・・」
「また改めてご挨拶に伺いますねぇ♪今日のところはこれで失礼しまぁす♡♡」
と、言うと雄二に素早く近寄り、目にも止まらぬ電光石火でその唇を奪い、忽然と消えた。
「私の生まれて初めての口づけですぅ♡♡♡」そう残しながら。
一泊於いて、冷静に戻った雄二は渡されたタオルで濡れた手や顔を拭うと更に【状態改変】で全身の汚れ、汗などを綺麗にしながらすぐさま【テレパシー】で神々の頂点である『ゼウス』に声をかける。
(ゼウスっ!ゼウスっ!)
〈どうされました?主様〉
(今しがたアルテミスがこっちに来たんやけど?)
〈やはりそっちに行きましたか・・・〉
(えっ?どういう事?)
〈実は…以前から。。。というより主様のおかげで我々が甦った時から、自らも甦らせて頂いたアルテミスが主様に執着しだしまして、注意をしたのですが、聞く耳を持たず、しまいには「絶対私も主様のお嫁さんんになるっ!」なんて事を言いだしまして、気が付いた時には神界から飛び出しておりまして・・・〉
(うぇっ!俺…もう嫁はたんとおるから間に合ってるんですけどぉ?)
〈存じております。ですが、今更女神の一柱や二柱、追加で娶っても問題ないかと愚考いたします。主様におかれましてはまだまだこの程度ではないと思われますので。〉
(稀代の女好きのアンタがそのセリフかいなっ!!)
と、ツッコむのだが、
〈めっそうもございませんっ!!自分など、とてもとても主様の足元にも及びませぬっ!さしずめ、アルテミスがこちらからの先陣とし…うぉっほんっ!!そ、それでは失礼いたしますっ!!;;;〉
(・・・・・・・・・・・えっ・・・)
心なしか後ろ姿に哀愁を漂わせながら、雄二は自分の教室がある校舎n内にトボトボと入っていった。
廊下に辿り着くと既に父親である功が来ていた。
「雄二っ!お前どこいっとったんや?」
「時間があったんで、ちとあっちこっち。」
「落ち着きがないやっちゃなぁ…ったく!」
(アンタに言われとーないわっ!)
などと考えているうちに、どうやら順番が回ってきたようだ。
「失礼します。」
と言いながら、中に入り、指定された席に着く稲村親子。
「えっと…稲村君は成績は相変わらず凄いですねぇ…どこの高校だろうと問題ないです。交友関係も非常に良好でして…むしろ良好過ぎる程ですねぇ、稲村君の場合は。」
そう言って荒河先生は雄二の成績、交友関係、授業態度などについて父親に説明してゆく。
「志望校は○高と・・・県内では最もレベルが高いところで、偏差値も64ですが、稲村君なら何の問題もなく受かると思います。・・・ただ・・・」
志望校についての話になり、荒河先生が一度呼吸を入れて、
「稲村君の場合、もっと上の難関校でも十分受かると思うので少々勿体無いように感じるわけですよねぇ。。。学校側としては。」
そう言いながら、やれ関西にある超難関校である○高や、東京にある開○とか鹿児島にあるラ・○ールを受けてみてはどうかと薦めてくる。
「家から通えるところが良いです。」
と、雄二が言うのだが、なかなか諦めきれないようである。
(ただ学校の名をあげる為に薦めとるだけやんっ!)
【アナライズ】で本音がバレバレである為、しつこく考え直すように言ってくる担任に少々呆れながら、雄二は心の中で毒づく。
今まで特に意見をせずに聞いていた父親の功がここで、
「先生がそう言ってくださり、雄二、息子を高く評価して頂けるのは非常にありがたいのですが、最終的には本人が決める事です。」
ここにきて功が父親としての存在感を遺憾なく発揮する。
「雄二が明らかに人の道から外れた誤った道を歩んでいるのならともかく、先生のお話を聞く限り、さほど問題を起こしているわけでもなく、本人の選択も特に間違ってはいないように思えますが?」
そう問われ、荒河先生はようやく黙り込む。
(おおっ!オヤジぃ、やる時にはやるじゃんっ!!少し見直したわw)
「ええ機会やし、雄二?お前…将来何するんや?言うてみ?」
矛先が雄二に向いたので少々ため息がでるが、少し考えて雄二は、
「まだ具体的には見えんわ…何がしたいのか?何ができるのか?まだよーわからんというのが正直なとこやな。・・・ただ、みんながなるべく悩みや憂いがなく笑顔で暮らせる…そないな社会になる事の手助けができる何かをしたいと思ーてる。」
と、はっきり答える。
「エライ抽象的やな?」
「自分でも確かにそう思うわ。まずは自分や周囲にいてくれる自分にとって大切な人の幸せの為に何ができるかを考えとる。いきなり世の為、人の為とか、綺麗事は言いたくない。そこからやな!そこから徐々に広げていけばええんちゃうの?みんな満遍無く幸せにするなんてどだい無理な事。俺はそんな清廉潔白な聖人君主やないから。」
ここまで語った雄二を見て、父親も担任も目を丸くして驚く。
「稲村君・・・君ほんとに中学生?達観しすぎやない?」
と、半分呆れて半分感心するように返答する。
(はっはっはっは!!精神年齢はアンタらよりおっさんやでなっ!ww)
雄二は以前、詩織、圭子、メル、ルネ、秀美に今後の事を相談した。
そして細かい所はまだまだだが、大筋の方針、方向性はある程度決めている。
この日本、世界、地球は将来どのようになっていくのか?…既に見てきているし、無理やり自分で変えるつもりなど毛頭ない。
相変わらず繰り返される人種、宗教、性別の違いからの差別、諍い、紛争、戦争。
そこからまたループされる貧困、飢餓、災害、犯罪、疫病。
国益、私欲を最優先に考える事しかできない各国のトップ。
隣がどうなっていようが無関心で自分の事しか考えない個人。
それらを既に『前・世界』として見て、聞いて、経験してきている雄二だからこそ、
(行く末が知れとるわなぁ…このままでは)
こんなとこ、いたくねぇ…となれば、自分で創ってしまえばよくね?である。
無論この考え自体、独善的で自分勝手な事は重々承知の上であるし、間違っているのかも知れない。
しかし知ったこっちゃないのである。
自分や自分の大切な人達の幸せをまずは考え、それを成し遂げる。
全てはそこからだと雄二は考えるのである。究極のエゴイズムだと言われてしまえばそれまでなのだが。
自分が犠牲になり、自分が不幸になる。その上で人を助けたり、幸せを与えて果たしてそれで本当に成立するのか?
そんなの偽善である。張りぼてのヒューマニズムなのだ。人道主義だぁ?笑わせるなっ!
矛盾していると言われるかもだが、自分や自分の大切な人達を護り、その幸せが確定してこそ、初めて他人の事が考えられるようになるのである。
雄二が『権能』を使って強引に正していけば、あるいは多少はまともに成り得るだろう。
しかし所詮は人間なのだ。
最初から悪意のある人間はいるのだ。悪魔に魅入られなくても元来、悪の人間も必ずいるのだ。
孔孟思想では性善説が説かれているが、それは少し違うと思う。
だからこそ、雄二はこの星=地球をいずれは捨てるつもりでいる。
既にこの【天の川銀河】から遥か遠くの宇宙空間に太陽系を模した配列、質量、成分で最小限宇宙を作り上げている。
恒星も完全に太陽と同じものであり、その周りを回る惑星も全く一緒。内側から数えて3番目に位置する惑星も大きさ、周期、質量、並びに大気、陸地、海洋の各構成物質等も全て地球と同じ。
相違点は地形と地質が雄二仕様である事。
それはさておき。
はっきり言って、雄二には進学なんてどうでもいい事なのだが、今すぐ地球を去る訳にもいかないし、色々段取りがあるのだ。
よって、とりあえずは高校に進学するのである。
(今のところはまだただの人間として過ごそう)
既に色々やらかしている雄二のどこがただの人間なのか?甚だ疑問ではあるが。。。
自分の意思を父親と担任に伝えた雄二は他に話す事は特に浮かばないため、早々に面談を切り上げる事にした。
父親も特に尋ねる事もないので同じ考えの様である。
「ではこれで失礼します。」と挨拶して親子そろって教室を後にした。
帰りの車の中で雄二は父親にお礼を言う。
「お父ちゃん、ありがとうな…あない言うてくれて。嬉しかったわ」
「何を今更言うとん?親は子供の事を優先するのは当たり前やんけ!」
笑い飛ばすように言う功の姿が少しだけ誇らしく見えた雄二であった。
その夜、母親も入り、今日行われた三者面談の報告会が行われた。
母親の京子も功と同じく、進路については雄二の好きなようにさせるという考え方であった。
「雄やったら大丈夫や思うけどな、お嫁さんはちゃんとみんな幸せにせんとあかんよ?」
「はいっ!」
「くれぐれもお父ちゃんみたいになったら、だしかんで?」
「わかった!」
「ほんまやで?お父ちゃんと同じ事したら許さんで?」
ここにきて話題が自分の事になり始めてると気づいた功はトイレへと緊急避難するのだった。
翌日も引き続き、三者面談が行われるのだが、既に終わっている雄二は特にすることもないので、メル、ルネの相手をしてやったり、良江と放課後を過ごしたり、秀美の相手をしたりで時間をつぶした。
メルは相変わらず、パフェにハマっているようで近くの喫茶店に行きたがった。
よほど、パフェが気に入ったらしい。
ルネはあれからすっかりキャラが変わってしまい、しおらしく可愛い美少女になって、雄二にも甘えてくるようになった。
相変わらず、秀美とアニメを観てはキャーキャー騒いでいるようだが。
良江は他のみんなと比べるとまだまだ控えめで遠慮がちである。
雄二と二人きりで過ごしている時でも、どこか遠慮している。
「だってぇ…まだ自分が雄二君のカノジョになれたなんて信じられなくって。」
どうやらまだ自信が持ててないようだ。確かに雄二と付き合うようになって2週間しか経ってないのだから仕方ないかもしれないが。
こういう控えめな所が良江の良い所なのだが。
妹の秀美は逆に積極的である。まだ小学生だというのに、隙あらばすぐにキスをしたがるし。
(足して2で割ればちょうどええんちゃうかなぁ…。)
ふと、そう感じる雄二であった。
次回は修学旅行編を書こうかとw




