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俺ってばぁ、何か知らんけど神超えちゃったみたいなんだけど?えっ?好き勝手しちゃっていいのぉ?  作者: 未だ厨二病な翁(じいじ)
第一章 過去への帰還 ~中学時代~
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本編 第三十七話 魔界って・・・。矛盾と呻吟

お世話になります。いつもお読み頂き誠に有難うございます。


今回は前半が魔界についての設定説明的なもの。

後半はこの物語のバックボーンになっている思考を表現してみました。

非常にコアで分かりにくく、拙い文章ではありますが、ご了承ください。

いきなり飛び込んで来たヴァンパイア族の女王、カーミラだったのだが、雄二の面前まで近づいてくるなり、土下座をしてきた。

「ももも・申し訳ありませんでしたぁぁぁ~~っ!!」

それを見ていたエリザベートは訳が解らず、事の経緯を娘に問いただすのだった。

カーミラは正直に、全てを話した。

興味本位で渡ったはいいが、同行してきた者達とはぐれてしまった事。あっちこっち放浪しているうちに雄二と遭遇した事。そして知らなかったとは言え、雄二を攻撃してしまった事。こちらの攻撃が全く通用せず、戦意を喪失したところで、それまでの成り行きを吐露したところ、いつの間にかココに帰っていた事。・・・を。

それを聞いたエリザベートは娘がしでかした愚行に顔面蒼白になり、ブルブル震えだす。とは言っても元々顔が青いのであまり変化がわからないのだが。

(しかし、こうして見るとやっぱよく似とるなぁ…この二人。母娘っちゅうより、姉妹やんっ!しかもどー見ても十代にしか思えんわぁ!)

そしてエリザベートは席を立ち、娘の横で同じように土下座をしながら、

「む、娘がとんでもないご無礼を働いてしまい…誠に申し訳ありませんでした。親である私の責任でございます。ですが、ですが、どうか娘の命だけは・・・私はどうなってもかまいません。。。娘だけは・・・」

泣きながら娘の命乞いをするエリザベート。そこにはヴァンパイア族を統べていたという威厳の欠片もなく、ただただ、娘を想う母親の姿だけがあった。

「エリザベートさん、それとカーミラさん、二人とも椅子に座ってくれ!」

二人の腕をとって、半ば強引にソファーに座らせる。

「カーミラさんは俺の正体がわからんかった訳やし、俺も別に気にしとらんからそんな深刻に悩まんでええよ♪」と言う言葉を添えて。

まだまだ恐縮しきりの二人だったので、話題を変えるべく雄二は問いかけた。

「話は変わるんやけど、俺、この魔界ってところ、初めて来たんやけどどういう処か教えてくれへん?神界とか冥界は行った事あるねんけどなw」

そんな事、【アカシック・レコード】に問い合わせれば簡単に知識を得られるのだが、場の空気を変えるという意味においてもここは無理にでも話題を振る必要性を考慮する雄二なのであった。

どうにか平常心を取り戻した母娘は顔を見合わせ、後ろに控えていたローブ姿のおっさんの一人に目配せをした。するとそのおっさんが前に出てきて、

「失礼いたします。魔界については僭越ながら宰相である某、アルから説明させて頂きます。」

「あっそぉ?…んじゃあ、よろしくっ!」

「コホンッ…では。まずは・・・魔界とは読んで字のごとく、魔の世界。つまり、魔族、魔物が支配する世界なのです。・・・」

こうして始まったアル宰相による、魔界講座を要約すると以下のとおりである。

・ここは地球に付帯した魔界である。生命体が存在する星には概ね魔界などの異界層が存在する。

・生命体が存在する星にはそれぞれ表面世界(地球で言えば人間が存在する人間が目視可能な世界)と裏世界(通常は人間には見えない世界)がある。

・この裏世界もいくつかの階層に分断されており、その中の一つがこの魔界である。裏世界には他にも天界、冥界(霊界もしくはアストラル界、日本では確か『幽世』だったか)、地獄界がある。

・このうち天界と冥界についてはその星毎にある支所的なもののほか、各星間集合体毎、この辺で言えば【天の川銀河】にそれらを統括する本部的な意味合いのものもある。

・地球に付帯したこの魔界は悪魔王であるサタン(ルシファー)がいちおう頂点ではあるのだが、実際は種族の長が各々の地域を自治している。

・ヴァンパイア族はこの辺りの地域を支配しており、その長が現女王カーミラである。

・ヴァンパイア以外にも悪魔族や人狼族、オーガ族など同族で固まってそれぞれの地域を支配している魔族がいる。

・しかし多くの魔族、魔物は非自治区(どこの領土にも属さない地域)で好き放題に生きている。日本でいうところの妖怪、怪異、物の怪などの類もここに分布している。

・悪魔族やヴァンパイア族の中にも束縛を嫌い、非自治区で暮らしている者も多い。

・たまに表世界に出る者もあり、それらの多くは悪魔と共に表世界に渡っている。

・悪魔族のみが異界転移できる。

・表世界でたまに見られる異形の者達は悪魔と共にちょうど渡って来た者かそのまま魔界に帰らず、もしくは帰れず表世界に居ついてしまった者達であろう。

・ちなみに異世界で見られる獣人、ドラゴン、エルフ、ドワーフ、魔物達はその世界の創造主により、最初からそこに創られた者達だろう。

・当初、地球の裏世界には魔界は存在していなかったのだが、元々熾天使であったルシファーが仲間と共に神々に反旗を翻し断罪され、堕天しサタンになった時に自分の理想の世界を構築する為、魔界を創りあげた。

・悪魔達の中には有史以来、未だに神々の創造物たる表世界の者にちょっかいを出す者が少なくない。しかし悪魔全てが人間を弄ぶわけではない。

・表世界の者にはほとんど裏世界を垣間見る事は不可能であるが、ごく稀に感応力が強い者に異形の者が視認できる。いわゆる霊能者などである。

・表世界の住民の中でも悪に染まった者達は表世界での生涯を終えた後、冥界での『振り分け』により、通常の輪廻から外され、魔界、或いは地獄界に転生させられる者もいる。

・例えば地球の人間は生まれた時は善でも悪でもなく、無であるのだが、それぞれ個人で持っているDNAの中の情報(前世の情報、心の強弱等)により、千差万別で様々な生涯を送る。故に人間は寿命がせいぜい長くても100年前後に設定されている。

・逆に裏世界の者達は基本、種の数が少ない代わりにかなり長寿である。

(ふむふむ…なるほどなぁ。。。そーいえば俺が行ったことがある神界や冥界は確か【天の川銀河】を統括するとこやったなぁ…せやからゼウスとかハーデスがおったんやろなぁ。)

〔補足説明をさせて頂きます。神がなぜ魔界を放置しているのか?についてですが、神が人間を創った際、知恵を与え、考える力を与えた事により、却ってその心が弱くなりやすくなった。これの戒めの意味合いで魔界を野放しにしているようです。故に心が弱い人間は悪魔に魅入られてしまい、悪事を働いてしまうわけです。それと神界にぶら下がる形で天使界が存在し、地球限定で地球にある冥界の支所みたいな所にはいわゆる仏界が存在しています。〕

【アカシック・レコード】が補足してくれた。

(ふむ、思っとったより複雑やな。)

「丁寧な説明してくれてありがとさん♪アル宰相」

「恐縮です。」

「うん。色々わかったしな。。。んで、今んとこは何も問題ないん?」

今度はエリザベートとカーミラの方を見て尋ねる。

「はい、この領地もその周辺も特に問題は起きてません。」

「ただ、悪魔どもが大量に主様がいらっしゃる所へ・・・」

「まあ、向こうは俺の存在を知らん下っ端ばっかみたいやし…こっちでなんとかするわ。マステマとも既に話はついとるしな・・・ヴィリュ達はこっちで処分してもええ事になっとる。」

「っ!!!・・・そ、そうですか・・・」

「ん?・・・」

「あっ!…いえ…マステマと話がついてる事にちょっとびっくりしまして・・・」

「ん?・・・まあな。ああ、それと地球に来てるマモンとは従属契約してるしw」

「ええぇ~~!!マモンとですか・・・」

「うん。変な奴らに追っかけられとるのを助けたら、懐かれてしもたw」

「す、すごい・・・・」

アル宰相はじめ家臣達からは驚きと畏怖の表情が注がれ、女王母娘は唖然としている。

「それで・・・もう一つ聞いときたいんやけど?」

「は、はい。」

「悪魔に誑かされて人間界に渡っていた悪魔以外の魔族ってどんなんかわかる?」

「ええと、確か非自治区の者ばかりで…リッチが1名、セイレーンが1名、あとサテュロスが2名です。」

「そいつらは顔見知りなん?」

「いいえ…見知らぬ顔でした。」

「そっか、わかった!」

結構長居してしまったので、そろそろ帰ろうかと、その旨をカーミラ達に伝える。

するとエリザベートがウルウルした目で、

「あのー…主様、、、お願いがございます。」

(あー…これ、絶対面倒なやつやわ・・・)

そう思いながらも、とりあえず聞いてみる事にした。

「なんや?」

「はい・・・我々と…我々とも従属契約をして頂けないでしょうか?」

エリザベートがそう言いながらまた、頭を下げる。

「なんで?あんたらはここで自由に誰の束縛も受けず、暮らせばええやん?」

「いえ…そのー…主様と(えにし)を保っておきたいと言いますか。。。主様のご加護の下へ入らせて頂ければ、この()も安心と言いますか・・・」

「ああ、そういう事?・・・俺は別にかまへんけど…ええのん?」

「はい、本音を言わせて頂けるのであれば、このバカ娘を主様のお傍に置いて頂きたい処なのですが、カーミラはまだ半人前とは言え、ヴァンパイア族を統べる女王の身でございます。」

カーミラ本人は何故か身体をクネクネモジモジしてらっしゃる(呆気)

「ふむ・・・」

「ぜひ…お願い致します…主様」

(うっ!エリザベートさんっ!カーミラさんそっくりなお顔でそないウルウルせんでっ!!)

「ぅ…わかったっ!わかったからっ!!」

女性にはどうしても弱い根っからのフェミニストな雄二であった。

「こちらとしても味方になってくれるんやったらそれはそれでありがたいし。」

と言うわけで、手早く従属契約を済ませる。

対象はエリザベート、カーミラ、アルとそこにいたローブ姿のおっさん数名。

その後も色々面倒な事になりそうな気配だったので、雄二は、

「このあと、用事があるから」と、言い放って雄二はその場から一気に転移する。



時刻は既に午後4時を回っていた。雄二は自宅近くの公園にいた。

(あ゛~~っ!昼飯食い損ねたぁ~~)

仕方ないので【異空間収納】に保存しておいたエン○ルパイを頬張る。

(んまぁっ!エン○ルパイんまっ!)

手に付いたチョコを舐めながら再度、【センサー】でヴィリュ達の現在位置を確認する。

(やっぱヴィリュ本人と10名の悪魔はあそこに居座るつもりやな・・・)

どうやらヴィリュを含む11名は中東辺りに潜伏しているようだ。

中東、つまりアラブ。いわゆるイ○ラム圏。即ち、反欧米感情が根強い地域だ。

以前、ゼウスに尋ね、【アカシック・レコード】でも確認したのだが、"アッラーの神"なるものは存在しない。

聞いた話ではイス○ム教の開祖とされるムハン○ドはもっと平和的な教えを説いていたはずであり、別の神を語っていたらしい。

それを弟子達が過激に曲解してしまったそうである。それはつまりその時代からマステマやヴィリュのような悪魔が裏で暗躍していたという事を意味する。

そして今回である。恐らくヴィリュ達はイスラ○教過激派組織の幹部を利用して破壊活動=テロを頻発させて行くのだろう。

イ○ラム教に限らず、多くの宗教、思想とはそういうものである。

キリスト教におけるユダだったり、仏教における提婆達多だったり。

結局のところ、教える方の問題というより、教えられる方の捉え方、解釈の仕方で大きく変わるという事だ。これも神が人間に与えた試練なのかもしれない。要するに人間は大なり小なり、思い込み、妄信しやすく、独善的になりやすい生き物なのだ。そのくせ、すぐに神に縋りたがり、すぐ他人のせいにする。

いくら素晴らしい教えであっても捉え方によって全然異質なものになってしまう。

基本理念が「みんな平等に分かち合う」というものだったはずのマル○ス/エ○ゲルスの思想も然りである。

雄二はタイムリープしてきた人間(?)だ。

終わりの見えないイス○ム過激派によるテロ行為。またはイ○ラム教VSユダヤ人の紛争。東欧地域の共産圏崩壊。ロ○アの再共産主義化。中○の軍国主義的国粋主義共産主義による強引な世界支配計画の断行。それを後ろ盾にした北の蛮行。

日本だって例外ではない。学生運動から派生した革マ○派などの爆破テロ、ハイジャック・・・それが収まったかと思えばカルト教団による殺人・無差別テロ等、破壊活動の数々。

それに加え、日本に対する(西方に隣接する)周辺諸国の過剰なまでの反日感情。その根底に根強く残っているのは日本から受けた侮蔑、弾圧、支配。その愚行を行ったのは大日本帝国の軍部であり、当時の大日本帝国政府なのだ。

理不尽である。あまりにも理不尽だらけである。

これらを全てタイムリープする前に雄二は学校で史実として習ったり実際にリアルタイムな映像として見てきているのだ。

(人間が憂いのない平和な社会を作るのは不可能なんかなぁ・・・)

そういった事を考えると、どんよりとした気分のまま雄二は一旦、【センサー】を解除しながら呟いた。

「結局、人間って先程のヴァンパイアの騎士やかつて俺が葬った()()ドラゴンが言ってたように脆弱な羽虫・・・いやそれ以下なのかもなぁ・・・」

最大級の溜息をつきながら。

少し間を開け、トボトボ歩いて家路につきながら雄二は今後の事を考える。

(この星の人間は結局は唯物論的実存主義に向かい、その弊害で色んな歪みが生じ、にっちもさっちもいかんようになってまうんやろうなぁ・・・その先にあるのは穏やかな衰退、滅び。。。)

(ふむ…このままこの星におってもなぁ・・・)

雄二は自分が既に人間ではなくなり、寿命さえ無くなっている事を自覚している。

そして自分の大切な人達もまた、人間の枠を外れている事も。

しかし、可能な限り人間でありたいし、当面は今のまま暮らしていくつもりだ。

詩織、圭子、メル、良江そして秀美、ルーシェ・・・自分を慕ってくれる彼女達にもできるだけ普通の人間として生活してもらいたい。

だからこそ、自分と自分の愛する者達の"これから"について真剣に考えなくてはならないのである。

このまま地球で暮らしていても、辛い事、苦しい事、悲しい事、虚しい事の方が多くなるかもしれない。

かと言って、彼女達の人生を自分の都合で決めつけるのはもっとダメだ。

彼女らの幸せは彼女らのものなのだ。独りよがりではまた失敗してしまう。

でもみすみす彼女らが苦難を抱えて生きてゆく姿など見たくない。自分でどうにかできるのであれば、助けたいし、守りたい。でも・・・

"矛盾"である。

勿論、この地球だって雄二が『権能』を使って力技で強引に雄二の思うがままにしてしまえば良いだけの話なのだが。

しかしそれでは何か違うのだ。確かに既にある程度は雄二仕様のご都合主義な世界になっているのだが(特に雄二の住んでる地域近辺は)。

だから今までだって自分や自分の知り合いに直接関わりのない事象については極力放置し、自然律の流れのまま見過ごしてきたし、これからもそのつもりだ。それが"宇宙の意思"だと思うから。

せっかく(ゼウス)からもう一度人生をやり直すチャンスを貰ったのだ。

後悔は二度としたくない雄二なのだ。

そんな雄二だからこそ、悩んでしまうのである。

「・・・どーすっかなぁ?・・・・」と、独り言を口にしながら、再び深い溜息をつくのだった。

少しシリアス過ぎましたかね?

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