本編 第三話 俺氏、全宇宙を救っちゃう(ぇっ?)
お世話になります。(o*。_。)oペコッ
さてこの物語の中で最大のスケールの描写ですが・・・
ま・まあ、所詮は自己満足に過ぎないんで。(^_^;)
(なんかとんでもねぇことになってしもーたけど。・・・まぁやれることからやるしかねぇわな!。)
「そういえば、あれから神様出てこんけど、どうしたんかなぁ?」
ポツリと零した疑問にも【アカシック・レコード】はキチンと回答してくれる。
〔神々は全て消滅しました。〕
(・・・・はぁぁぁぁっ!??・・・)
〔貴方様が神力を吸収している最中、想定外に暴走して全ての神々の力を余すことなく吸い上げた為、一柱残らず神々は消滅しました。〕
(そ・それじゃあ、、、今、神様って・・・)
〔はい。この【天の川銀河】には現在、神と呼ばれるものは一柱も存在しておりません。それどころか神と同等なる存在さえも一切おりません。ただ神々に仕えていた使徒たる大天使クラスやそれに類する僕達は存在したままですのでまだ辛うじて秩序は保たれております。〕
(神々と同等なる存在?)
〔はい。他の派閥の神々。及び神々の対極である悪魔、死神、雷神、・・・などです。〕
(それって・・・つまり。。)
〔ご推察の通り、それらも全て貴方様に吸収されております。〕
更に追い打ちをかけるような事実が告げられる。
〔他にも【天の川銀河】以外の数多の天体からも神々に等しい者達の力が貴方様に余すところなく取り込まれております。故にあなた様は全宇宙の唯一絶対の存在であり、管理者です。と、同時に我々、【ネイティブ・コア】の管理者でもあらせられます。したがって今後は貴方様を"マスター"とお呼びします。改めまして宜しくお願い致しますね。マスター!〕
(おいおい・・・もう本当にお腹一杯なんですけどぉ~?)
もはや色々疲れ果てて意識が飛びかけるのを必死に堪える雄二であった。
それでもすべきことをまず、片付けようとなんとか気持ちを切り替えて作業手順を聞き出す事に注力する。
こなすべき手順は以下の通り。(【アカシック・レコード】は接続させたままにしておく。)
下準備として第六の権能でこの病室に【シールド】を張って、誰も侵入できないようにする。同時に念の為、第五の権能でこの病室を一時的に【認識阻害】を施しておく。
①第一の権能にて身体能力はMAXになっているので身体を慣れさせる。
②次に第七の権能で雄二自身に【多次元対応シールド】を施す。これにより、宇宙空間でも普通に動き回る事が出来る。
③同じく第七の権能、【ワープ(異時空間高速移動)】で地球大気圏外に移動する。
④地球全体を対象に第五の権能の中の【認識偽装】をセットする。
⑤同じく第七の権能で【天の川銀河】の外側に【ワープ】する。(位置座標は【アカシック・レコード】にて掌握しておく。)
⑥【天の川銀河】全域を対象範囲にして広範囲に【多次元対応シールド】を施す。
⑦再び【ワープ】で今度は【ネイティブ・コア】の中に入り込む。
⑧【アカシック・レコード】に直接触れてシンクロさせ、【マキシマム・ユニヴァース】全体をイメージングし、その縮小全体図を面前に表示させる。
⑨【マキシマム・ユニヴァース】全域を対象範囲として設定する。(【ネイティブ・コア】と【天の川銀河】は対象外に設定)
⑩第四の権能を行使して対象の【マキシマム・ユニヴァース】を全て消滅させる。(【アカシック・レコード】にて常時補助してもらいながら)
⑪第五の権能で対象が全て綺麗に消滅している事を確認する。
⑫【アカシック・レコード】にて件の『極暗黒大星雲』及び"負の意思"、"負の思念体"が発生する以前の最も安定した正常な状態の【マキシマム・ユニヴァース】全体像及び得られる情報を参考に、第三の権能を行使して全宇宙を余すことなく、再生、再構築&再配置させていく。無論、それぞれの天体に存在していた有機物、無機物及び生命体全ても含めて本来あるべき健全な状態の姿にする。
⑬最後に【アカシック・レコード】の記録と再構築させた全宇宙が一つの狂い無く、その構成要素、成分、数量、位置関係の全てが一致している事を確認する。更に極力消滅直前の情報を加味しつつ補正していく。
こうして色々フォローしてもらいながら手順をひたすらこなす。
慎重に。これ以上ないくらい真剣に。
宇宙全体を一旦消滅させるまで約15分。
宇宙全体を再生、再構築させるのに5時間。
これはあくまでも地球での経過時間。実際はこの10倍くらいはかかってしまった。
そこは権能のおかげで時間の経過スピードを操作する。
幸いタイムリミットの対象は地球時間だったみたいで、確認したところどうやらミッションクリアーできたみたいだ。
なんだかんだ言いながらもどうにかこうにか地球そして【天の川銀河】、さらに【マキシマム・ユニヴァース】たる全宇宙の滅亡危機(実際殆んど朽ち果てて瀕死の状態だった)を救う事が出来たみたいだ。正直、実感が無いし、本音を言えば「何が悲しゅうて宇宙の命運を背負わにゃならんの~?」とぶちまけたい気もする雄二であった。
しかしながらこれが全て"宇宙の意思"の導きであり、その"宇宙の意思"を引き継ぐ事を意味する事を知ってしまった雄二はめんどくさい事になってしまった現実を嘆いた。
(まあ、今は達成感に酔っておくことにすっかなぁ!とにかくよかったわぁ♪)
時間的には夜明け前近いだろう。そろそろ地球に戻らないと。
ミッションクリアーさせて病室に戻り、施した【認識阻害】やら【シールド】を全て解除させた。
もちろん戻る前に【天の川銀河】の【シールド】も解除しておいた。更には地球全体に施しておいた【シールド】及び【認識偽装】も解除した。
(とにかく疲れた。むっちゃ疲れた。。。どうにか全宇宙を救えたみたいやけど、こないな面倒な事はもう御免こうむりたいわぁ~!!)
全ての権能をリセットさせてベッドに倒れ込む。
雄二はそのまま一瞬で意識を手放した。
担当看護婦の声に起こされる。
かれこれ2時間くらいしか熟睡できなかった。まだだるさはあるが、仕方あるまい。
この日は朝から慌ただしかった。
4か月近くも意識不明だったわけだから色々精密検査を受けなければいけないらしい。
驚いた事にこの頃(西暦1974年)はMRIはおろかCTスキャンもまだ普及していなかった。
それでもレントゲンやら心電図やら血液検査やらで昼過ぎまで時間を要した。
やっと一息つけたのでとある実験を秘かに行なってみた。
対象範囲をこの病院のある所と自宅があるところ、隣り合った行政地区(県)2つの地域を中心に雄二の関連する地域にした。
第五の権能、【常識改変】を使って『稲村雄二』に対する認識を改変させたのだ。
雄二がタイムリープした際、無意識ではあるが軽く限定的に【常識改変】されてはいたのだが、そんな事など知る由もない雄二は改めて自分の都合の良いように【常識改変】の重ね書きを行なった事になる。
とある3人以外は家族だろうが、親戚、知人だろうが対象地域の人間一人残らずである。
〘稲村雄二という人間は十月十日の自然分娩で正常に生まれ、直近の4か月間意識不明になった以外は頗る健康に育ち、障がいも無く、スポーツ万能、頭脳明晰、性格も温厚…等々〙
という内容で。
自分に関連する書類、データ等も一切合切、改変した。
どうやら雄二が解除しない限り、永久に効力があるようである。
「そうやっ!宇宙を救ったんやから『ゼウス』が言うてた通り、これからは好き勝手思うがまま、やりたい放題させてもらうでっ!!」
と、呟いてわざわざ宣言したのである。
その後は家族が見舞いに来たので、先ほど施した常識改変が正常に働いている事を確認しながら談笑して時間を潰した。
途中、主治医との面談に家族も同席してもらった。
「検査結果にもよりますが、外観上は何も異常は見受けられませんので、3日くらい様子を見て問題なければ、お家に戻られても大丈夫ですよ。」
と、主治医に言われ、家族と大いに喜びを分かち合った。
夕方になり、家族が笑顔で帰宅していった。
夕食を終え、ダラダラしてるうちに、この日も消灯時間になった。
昨夜から今日の夜明け前までひと仕事をこなし、その後は検査やら面会やら主治医との面談やらで何かと忙しかったので、何分も経たないうちに深い眠りについた。
いったいどれくらい時間が経っただろう。
急にざわざわした雰囲気を感じ、ふと目を開ける。
すると誰かが呼んでる声が聞こえてくる。
(んん?、デジャヴ?)
そう思いながら体を起こす。
途端に周囲が光りだすと、同時に目の前が大きく広がる。明らかに病室の広さではない。
光が徐々に収まると今度は、たくさんの人影が現れる。全員、首を垂れている。
「えっ?」と声を漏らすと、最前列にいた羽衣のような衣装を身に纏い、背中には羽が生えた人?が僅かに頭を上げながら、
「お初にお目にかかります。漸く御逢いすることが出来ました。」
と、落ち着いた声で語りかけてきた。
「あんた誰やねん?」と雄二が問いかけると、再び落ち着いた声で
「これは失礼いたしました。わたくしは神の使徒、ミカエルと申します。どうか宜しくお願い致します。」
と、回答してきた。
雄二が「使徒?・・・ってことは天使か?」と、更に問いかけると、ミカエルは
「はい。わたくしを含め、ここに顕現している者達は全て天使にございます。」
そう返してきた。
「んで?。。。その天使様達が俺に何の用事やのん?」
雄二がそんな質問を投げると、ミカエルはいったん顔を上げて雄二の顔を真っすぐ見つめながら、
「此度の御礼と御願いに参りました。」と、言いつつ再び首を垂れた。
「御礼?」
「はい。。この度は宇宙の絶体絶命の危機を御救い下さり、誠に有難うございました。」
と、尚いっそう首を垂れる天使達一同。
雄二は思い出したように「あー、あれね。。うん・・まあ上手くいって良かったわっ!」と、照れ笑いで答えながら、全員に頭を上げてもらう。
そして雄二は天使達を見渡しながら「んで?お願いってなんや?もう、あんま面倒事は勘弁して欲しいんやけど?」そんな風に、けん制しながら尋ねるのであった。
それに対してミカエルはやや申し訳なさそうに
「じ・・実は我々の主である神々が・・・」と、語りだしたミカエル達の御願いなるものを要約すると以下の通りである。
・主神はおろか、上級神、下級神、果ては従属神など「神」と名の付くものの存在が全ていなくなってしまった。
・おまけに自分達の直属の上司である熾天使、主天使、権天使までもが消滅してしまった。
・よって我々使徒だけでは秩序を保つのが困難になり、宇宙が混迷してしまう。
・更に我々自体もまとまりがなくなり、役割を果たせなくなる。
・よって雄二に我々をまとめる主になって欲しい。
・つまりは宇宙を統率して欲しい。
(めんどくせ~~~!勘弁してくれよぉ~~;;;)と思いつつ、
「えっとぉ、少し考えさせてくれるかな?そうやな・・2日ほど時間をくれ。」
ミカエルにそう答えて結論を先送りする。
「畏まりました。それでは2日後にまた御目通り願います。」
ミカエル達はそんな返答をすると同時にその場から消え去り、一瞬光を放ち、元の病室に戻っていた。
再び、静寂なる闇に包まれた病室。
(あ~~っ!めんどくさっ!なんとか逃げんとなぁ・・・はぁーーっ)と、大きく深いため息をつきながらベッドに横たわり、目を閉じるのであった。
次に目を覚ましたのは夜勤で仕事をこなしている看護婦の挨拶によるものだった。
今日は11月27日、水曜日である。特に大きな予定もなく一日中、のほほんとしながら時間を潰す。
朝食は7時過ぎくらい。昼食は11時半くらい。今日は入浴の許可がもらえたので、午後2時からお風呂に入った。
ところで看護婦さんから聞いた話によると意識不明だった時はおしめをさせられ、体は全身、看護婦さんが拭いてくれていたらしい。(全部見られていたらしい…考えないようにしよう)と思い至った雄二である。
夕食は5時半に始まる。病院食は味が薄く、とてもじゃないが美味しくない。なのでお見舞いとしてもらった果物で補充しておいた。
6時過ぎに家族が面会に来てくれた。昨日は両親だけだったが今日は妹も一緒だ。
名前は『秀美』といい、小学校4年生。腹違いであるが、
(兄妹仲はこの頃は悪くなかったはずや…たぶん。)
笑うとエクボができてなかなかに可愛い。(ふむ、、、シスコンではない、断じて違う。)
母親が「学校には連絡したから退院したらもう一度確認してから復帰になるから」と伝えられ、そう言えばまだ中学生だった事に今更気が付く雄二。中身はじじいなんだが。。。
(復学の準備も色々しとかんとあかんなぁ。)
そう思いながら、家族との会話を楽しんでいたら、あっという間に面会時間が終わってしまったらしい。
妹は寂しそうに手を振って病室から出ていった。
(あれぇ、こんなに懐いてたっけ?)少々戸惑う。
そういや、両親も凄く柔らかく優しく接してくれていた。まぁ、4か月ぶりに意識が戻った息子に対してこれくらいは普通なのかもだが。
やがて消灯時間を迎え、病院内の電気が消える。
小一時間経過しただろうか。スーッと病室のドアが開き、誰かが入ってくる気配がする。
因みに雄二は入院して以来、ずっと個室だったらしい。
雄二はまだ眠れてなかったが、目を閉じて寝たふりをする。
「・・・稲村くん?・・・起きてるぅ?」
スケールが大きすぎてもはや言葉が出ません。
その割にはあっさり書いてしまった。。。
反省はするが、後悔はない。
次回からいよいよノー天気な日常が始まります。
あくまで非日常的な日常ですが。