本編 第二十九話 学校での日常風景
お世話になります。
ちょうど今、モナ王を食べながら書いておりましたw
ツヤッツヤな顔で帰って来たメルは即座に秀美とルネに連行されていった。
それはもう疾風が如くっ!!ナニをしてきたかは一目瞭然だったみたいだ。。。ヤレヤレ
雄二は逃げるように自室に一目散。
夕食後、雄二は母親に捕まり、正座をさせられ説教を食らう。
「雄っ!ちゃんと平等にせんとアカンやんかっ!!」
(えっ?てっきりえちぃ事してきたのを怒られるんじゃ?・・・へっ!?)
「アンタもお父ちゃんの息子やし、手が早いのもわかっとる!どうせお嫁さんにするんやし、そういう事もしとうなるやろ?それも理解できるっ!まぁ、お前はお父ちゃんと違ってどの子にも本気やろうし…浮気とかと違うんやろ?…でもなっ!雄二っ!ちゃんと皆、平等に責任持ったらんとアカンで?」
「それはわかっとるって!!お母ちゃん」
「とは言うても秀美はまだまだ子供やからそう言う事は確かにまだまだ早いわな…別の形で秀美もちゃんとしてやらんとだしかんで?」
「うぃっす!」
(俺の知ってる母親はもの凄い潔癖症だったはずなんやけどなぁ…隠していたエロ本も尽く没収されてたはずやし…これもご都合主義?【常識改変】なんかの影響か?調子狂うわぁ~)
モヤモヤしてきた雄二はその日の夜、詩織をCルームに呼び出し、詩織とイチャイチャ。
「もぉ~~♪ゆうくんったらぁ…どーしたのぉ?激しすぎぃ~♡♡♡♡」
全く懲りてないサルな雄二なのだ。この並外れた○力には唖然とするばかりである(呆)
「ああ!そうそう…メル専用部屋と圭子専用部屋、あと皆で使える共同部屋も創ったから。」
「そーだねぇ♪私だけ専用部屋があるのは不公平だもんねぇ…うんっ!さすが♪ゆうくん♡♡♡」
「んで、ここはしーちゃんと俺だけの部屋やから、こうして欲しいとかあれが欲しいとかあったら遠慮せず言うて?メルにもそうしたし。」
「そぉなんだぁ?…なんでも良いのぉ?」
というわけで、雄二は詩織のリクエストを全て聞き入れてメルのそれと同様のとんでもない仕様の異空間部屋へと改造していってしまうのであった。まったくとんでもないったらありゃしないっ!!
翌朝、いつものように朝食を摂り、いつものように学校へ向かう準備をする。
秀美が「早くあたしも大人になりたいなぁ~…そうすればお兄ちゃんと♡♡♡」と、自分の身体をかき抱くようにしていたのだが。
(いやいや、秀美さんよ?ランドセル姿でそれはちょっと・・・)
聞こえないふり、見えないふりを貫きつつ、いざ学校へ!
学校へ到着して自分の靴箱を開けると「バサバサッ!」毎度おなじみのお手紙攻撃である。
それらを鞄に収めて上履きに履き替える。
(・・・志水良子からも手紙が?…ちゅーか、もう退院したんかっ)
3学期の終業式の日、具合が悪くなったところに遭遇して、保健室に運んであげた女子生徒、志水良子からの手紙も混じっていた。
あの時、志水さんを【アナライズ】して慢性的な心臓疾患を見出し、その場で【状態改変】と【リペアー】によって完治させてしまったのだった。
とりあえずは…ということでこの件は一旦置いて、教室に急いだ。
雄二が教室に入ると、いっそう騒がしく、姦しくなる。いつもの事である。
3年生になったばかりであるので席順は出席番号順になっている。
雄二の席は一番廊下側の一番後ろの席である。雄二の前の席にいるのは家田学、何と昨年同じクラスだった上谷さんのカレシだったりする。
(修羅場は勘弁してくれよな?)
そう心の中で呟いていると隣の女子から話しかけられた。
「せっかく稲村君と隣になれたのに…これってほんと一時的なのよねぇ~。すぐ席替えしちゃうだろうし。。。」
奥平成美、決して美人ではないが、明るく、気さくで人懐っこい女子である。
「おんなじクラスなんやし、そこはあんまり気にせんでええんちゃう?」
「気にするよーっ!稲村君の隣なんて女子の間では激戦区なんだよ?」
「そない大層なもんちゃうやろ?」
そんな会話をしていると、担任である荒河先生が教室に入って来た。
「えっ…今日の予定はまずは各人自己紹介をしてもらう。それが済んだら学級委員とか各係を決めてもらう。それと午前中いっぱいで身体測定。午後からは課内クラブを決めてもらう。」
(ふむ…なかなかのハードスケジュールやなぁ)
「えっ…まず自己紹介からだな。この席順で行う。まずは阿久根君から。」
男子出席番号、1番の阿久根君から自己紹介が始まった。
(俺、5番目やんかっ!ウケ狙いでいくか?正攻法いくか?迷うわぁ~)
などと思ってる間に既に順番が回って来ていた。
雄二が席を立つとあちらこちらから黄色い声がかかる。
「稲村雄二です。洋楽好きで地味な目立たない極普通の一般的な男子です。よろしくお願いします。」
雄二が言い終わるや否や、
「どこがやっ?おのれのどこが地味やねんっ!!」
「何が普通なんだよぉ~~!?」
「誰が一般的男子やねんっ!普通の基準がわからんわ~っ!」
「ちきしょ~~っ!どんだけ目立ってるんやっちゅうにっ!」
「この女たらしがぁ~~~!!!」
「藁人形で呪ってやるぅ~」
「くそぉ~~っ!なんであいつばっかりっ!!」
軒並み男子からは強烈なツッコミを頂戴する。中には血涙を流し、やっかみ100%のものもちらほら。
一方女子生徒からは
「いやん♡意表を突かれたわぁ~♪♡♡」
「稲村くぅ~~ん♡」
「こういうすっとぼけた所もあるんだぁ~♪新発見だねっ!♡」
「きゃ~~♪お茶目さんねぇ~♡♡」
などと桃色気味な声が方々から飛んできていたが、概ね好感触だ。
「おっ!相変わらずモテるなぁ、稲村は。。。まあ稲村やからしゃーないかぁ!」
担任までもが謎の論理を展開している。
その後は滞りなく全員の自己紹介が終わった。
次はクラス委員決めである。
何もしなければ、恐らく雄二が任命されていただろうが、めんどくさがりな雄二は杉山君にその任を押し付けた。強引に。。。(謎
ちなみに女子のクラス委員は早矢仕さんになったようだ。
(うん。これはタイムリープ前と同じ結果やなw)
それから各係も順調に決められていき、雄二は見事に無職を勝ち取った。
お次は身体測定である。
杉山君と平尾君が一緒に回らないかと誘ってきたので同行することにした。
タイムリープして目覚めた頃はちょうど170㎝だった身長が2㎝伸びて172㎝になっていた。
(おっ!やったー♪2㎝伸びとるわ…以前の自分は170㎝どまりやったもんなー)
成長期真っ只中である雄二だ。恐らくもっと大きくなるであろう。
もっとも身長も自由自在だろうが、敢えて自然の成り行きに任せている。
それに自分のステータスを見れば良いだけの話なのだが、怖くて見ようとしない雄二。
今更だが、使用する時、いちいち起動していた半透明タブレットだが、完全に頭の中に組み込まれ、必要な時はいつでも目の前に表示でき、意識するだけで操作できるようにアップグレードされている。無論、他の人の目に触れる事は絶対にない。同時に手の甲にあった痣も今ではほとんど目立たない色になっていた。ご都合主義の賜物。
ちなみに、一緒に測定して回っている杉山君は167㎝。平尾君は165㎝だった。
「うっ!また王子に負けた…勝てるものが一つもねぇ~」
「俺も王子に全敗だし!勝てる気がしねぇわ」
「ちょい待とうか…その『王子』って誰の事やねん?」
「「お前以外おらんやろぉ~っ!!」」
「知らんがなっ!いつからそんなことに?」
「他にも『大将』とか『○○中学の皇帝』とか色々取り揃えております。」
と切り込んできたのはやり取りを見ていた小林君だった。
「すんませんでした!勘弁してくださいっ!」
そこにいた連中が爆笑する。
体重は55.5㎏であまり変わってなかった。視力検査は両目ともに2.0で収まるよう調整する。
握力も少しだけ強めの60くらいに留めておく。
このように身体能力は常識の範囲内に調整しとかないと、エライ事になるのだからここは雄二も頑張って抑え込む。
何だかんだで午前中の予定が終了したので教室に戻る。
まだ数人しか戻って来ていないようだ。
(ふむ、、今のうちに気になる1通だけ見とくか。)
今朝、靴箱から回収したいくつかの手紙のうち、志水さんからのものが気になったのでカバンの中からそれを見つけ、手で触れ、【アナライズ】する。開封しなくても内容がわかるのだ。
その手紙には
「突然このような手紙を送ってしまい、驚かれた事でしょう。ごめんなさい。
でもどうしてもお伺いしたいことがあるのです。可能でしたら今日、放課後。
旧校舎棟2階西端の教室でお待ちしてます。
志水 」
と、したためられていた。
(これ…行っといたほうがええやろなぁ。。)
そう思いながら給食までの時間をクラスメイト達とのダベリで潰すのであった。
そして久々の給食である。相変わらずな金属の食器。相変わらずな味付け。
あまり美味しくない味を噛みしめつつも、周りと談笑しながら楽しく食べる。
2年の頃は昼休みになれば、グラウンドで遊び回る男子が多かったが、やはり3年生ともなれば、そういう生徒も少なくなる。多くは教室や建屋内で思い思いに過ごしている。
そんな中、杉山氏が雄二に声をかける。
「おーいっ!モテ王っ!キャッチボールすんべ♪」
「・・・なんか悪意しか感じんのだが?」
「いやいやいや!とんでもないっ!親しみしかないっすよ?w」
「ほんまかいなっ?!」
などとやり取りしながら、二人連れ立って教室を出て行く。
ボールとグローブは杉山氏が用意してくれている。
余談だが、杉山氏は野球部(この頃は確か野球スポーツ少年団とか言われていた)のレギュラーだ。
校舎近くのところで始めた為、各教室から丸見えである。
「おっ!さすが何でもできるスーパーモテマンは違うねっ♪いい球投げるやんっ!!」
「いえいえ…あなた様ほどでは。。。流石わ、野球部レギュラー♪」
ふざけた事を言い合いながら、お互いのグローブに小気味いい音を立てながらボールを叩き込んでいた。
全校生徒が注目していると言っても過言ではない程、多くの生徒に見られながら行われる、この昼休みのキャッチボールだが、ひとつの風物詩としてその後も語り継がれるようになる。
「お前、今からでも野球部に来ん?」
「遠慮しとくわ…めんどくさいしw」
「もったいないなぁ~!!モテ王なら即レギュラー…いや即クリーンナップやで?!」
「せやから、その呼び方やめいっ!」
「えっ?なんで?事実やろ?神様仏様、稲村モテ神様♪ww」
「うぐっ・・・」
以降何度となく繰り返されるキャッチボールをしながらの漫才に周囲の者すべてがほっこりするのだった。
昼休みも終わり、本日の予定で残っているのは課内クラブの選択だけだ。
課内クラブとは通常の部活動とは違い、授業の一環として週一で行われるクラブ活動なのだ。
よって多くは非体育会系である。
「なぁなぁ?課内クラブ、何に入るぅ?」杉山氏が聞いてくる。
「うーーん…何がええかなぁ?」
「俺、園芸クラブにでも入ろっかなぁ?」
「俺は科学クラブやな」と、平尾氏が話に加わる。
「俺は読書にすっかな?」更に所氏も参加してくる。
ワイワイ話していると荒河先生が教室に入ってくる。
「よーしっ!席につけぇーっ!えっ…今から約1時間、チャイムが鳴るまでに課内クラブを選択して、そこで手続等するように。チャイムが鳴ったら教室に戻って本日最後のHRを行いますっ!わかったかぁ?」
「「「「「はーいっ!!」」」」」
「でわ・・・いったん解散っ!!」
荒河先生の号令がかかると、一斉に生徒が教室から飛び出していった。
「定員オーバーになると希望するクラブには入れんようになるから先に行くわ」
そう断りを入れて、杉山氏、平尾氏も駆けていく。
「さて…どこにすっかなぁ?」と、呟きながら雄二も歩き出す。
向かったのは第二音楽室。雄二が思い当たったのは軽音クラブ。
ここは楽器ができないと入れてもらえない為、そんなに混まないだろうという算段だ。
ガラガラっと扉を開くと、ここでも黄色い声。
人数的には男子生徒が5人、女子生徒が10人。やはりまだ余裕がありそうだ。
「よぉ~♪稲村ちゅ~~ん!ひさしぶりぃ~w」
笑って歓迎してくれたのは1年の時に同じクラスだった長屋氏。1年の頃から運動神経も良く、ひょうきんでクラスの人気者だった。
「稲村が来てくれればもう大丈夫じゃね?」
見知った男子がもう一人。ついこの間まで同じクラスだった松原氏、通称"ベン君"だ。
あとの3人は下級生で面識はなかった。
女子の中にも見知った顔を見つけた。
「わぁ~~っ!わぁ~~っ!同じクラスになれただけでもラッキーなのにクラブでも一緒とか♡これってもう運命だよねっ!だよねっ♪♡♡」
ややテンション高すぎな澤村さんがそこにいた。そしてその彼女と仲の良い宮内さんもいた。
宮内さんも3年生になって同じクラスになった女子だ。
残りの女子はやはり下級生なのだが、澤村さん同様テンションが爆上がりしていらっしゃった。
「やったぁ~♪稲村先輩とご一緒できるぅ~~!!」
「天は我を見捨てていなかったぁ~!!」
「よっし!一発逆転…襲い掛かればこっちのもんっ!!じゅるぅぅぅ~~」
(な、なんかアブナイ声が聞こえてくるんですけどぉ~?)
「稲村っ!よく来てくれた…軽音クラブへようこそ♪」
担当教師である酒巻先生が笑顔で歓迎してくれた。
雄二の後にも男子が1人、女子が4人入って来た。
結局男子が7人、女子が14人、合計21人だった。
「ところで稲村は何か楽器の演奏できるのかな?」
酒巻先生が尋ねてくる。
「はぁ…いちおう家にアコギと電気オルガンがありますんで多少は・・・」
雄二がそんな返事をすると、酒巻先生の目が「キラーン☆彡」
「おおーーっ!!」と周りが感嘆する中、酒巻先生が、
「じゃあ、試しに何かピアノで弾いてみてくれないか?」
と、リクエストされる。
音楽室にあるグランドピアノの前まで移動して、
雄二が「それじゃあ、適当に」と言いながらピアノを弾き始める。
おふざけで『猫ふんじゃった』を弾いた後、王道のバイブル必修曲である、ベートーベン作曲の"エリーゼのために"を軽く流す。受けが良かったので調子に乗って、一拍おいてからビ○ー・ジョエルの出世作『ピアノ・○ン』を見事に楽譜なしで完コピしてしまう。
一通り弾き終えると、そこにいた一同が固まってしまっていた。
「が、楽譜なしぃ~~~!!??」
「えっ?ええぇぇぇ~~~⁉」
「すげ・・・・・」
「天才がここにおったぁ~っ!!!」
そりゃもう大騒ぎっ!!
「ね、ねぇ?稲村君?♡ひょ、ひょっとして…レット・○ット・ビーなんかも弾けちゃったりするぅ?」
恐る恐る強請ってくる澤村さんに微笑みかけながら、これも完コピしてのける。
すると澤村さんはお顔真っ赤、両手を前で組んで恍惚としてらした。
相方である宮内さんがそんな蕩け切った澤村さんを見てポツリ。
「美里が…美里がぁぁぁ…」
それを引き継ぐように長屋氏が「オチたなっ!」
更に松原氏が「完璧になっ!」
他にも桃色なお顔をした下級生女子がここかしこに。
「せんぱぁ~~い♡♡♡」
「ちびっちゃったぁ~♡」
「下着、代えないとぉ~♡」
「もぉ~無理ぃ~♪抱いてぇ~♡」
一方男子生徒はというと、
「い、稲村先輩…恐るべしっ!!」
「こ、これがモテ王の実力っ!!」
などと全員が驚愕し、恐れ慄いていた。
酒巻先生でさえも、
「噂以上に異性を虜にしてるなぁ…私ももう少し若ければ・・・」
雄二が自重を怠ったばかりに、とんでもない事になってしまった軽音クラブなのであった。
これからもどんどん加速していきます。(なにがぁ?)w




