本編 第二話 いきなりとんでもねぇ初仕事
お世話になります。
おっと!いきなり最大のヤマバか!?
早く日常を書きたいです(-_-;)
しーんと静まった病室。暗闇の中、青白い光が怪しくそこだけを照らしている。
「しかし・・・いくら厨二病やからって、何も本当に中二から始めんでも。。」
親父ギャグのような独り言を愚痴りながら雄二は空中に投影されている画面表示を確認していく。
「ああ、さっきそういや看護婦さんに頼んで持ってきてもらった鏡で確認したら、やっぱり若返ってて本当に中学の頃に戻っていたなぁ。。しかも斜視も完治してるし、顔もひきつった感じはなかった。よくよく見れば、意外にも結構ええ男やん!。。。って、それはさておき・・・」
ステータスウィンドウに記述されている『条件クリアタイムリミット:地球時間であと20時間』。
さっきは『24時間』と表示されていたはずだ。つまりこれは"絶賛カウントダウン実行中"なのである。
恐らく、タイムリミットが過ぎれば全てがリセットされる。つまりそれは・・・。
せっかくまともな顔と身体を手に入れたのに、それがまた元の木阿弥になってしまう。
「くそがっ!あんな辛い思いなんかもうまっぴらやっ!!」
そんな強い思いからそこに書かれている『ミッション』をクリアする事を決意する。
そしてMENUから<ミッション説明>を選択してその内容を確認する。
そこには、
①突如発生した黒いミストがやがて『極暗黒大星雲』に成長を遂げ、【天の川銀河】以外の宇宙全体を覆いつくし、侵食してしまった。
②この『極暗黒大星雲』に覆われたら生命体、有機物、無機物 問わず、エネルギー等を吸収され、朽ち果ててしまう。
③それが今まさにこの【天の川銀河】に迫っている。
④しかし神々の力ではそれを止めることは100%不可能である。
⑤それをどうにか防いでこの銀河だけでも守って欲しい。
というもの。
「はははは・・・」乾いた笑いが漏れるのみ。
(神様達に不可能な事をやれってかぁ?・・できっこねぇ~わ!・・・)
(ナンセンスにも程があるよなぁ。。これ絶対アカンやつやわ・・)
無理ゲーにもほどがある。
(・・・・・・・・・・)
「でもなぁ・・・」
到底、自分には出来るはずがない。それは揺るぎようがない現実ではある。
しかし、だからと言って昔の自分には戻りたくない。
心の中で色々な想いがせめぎ合って、飽和状態になりかけたところで、ふとある事を思い出す。
「そういえば、『相応の力』をくれるって言ってたような・・」
「それにステータスには確か・・・」と、つぶやきながらもう一度ステータス画面を確認する。
【備 考】万の神々をはじめ、全ての上位管理者の力を吸収し、内包時において
その個体独自の魂の器により極限増幅された状態で現在に至る。
「うん、これを見る限り神様たちの力が俺の中で増幅されとる。。。」
「・・・ってことは、あの神様を超える力が今の俺に宿ってるって事?!」
「このリミッター解除方法やなぁ・・・問題は」
「それさえわかれば、ひょっとしてどうにかなる・・・か?」
何の根拠も脈絡もある訳でもないのだが、「何とかなるかも」という漠然たる思考に至った雄二は、次に確認すべき項目を選択して表示させるのであった。
<権 能 説 明>
権能とは神のみがその神力を消費する事により、行使できる能力の総称である。
魔法とは似て非なるものである。権能は魔法を凌駕し、魔法は権能を超えられない。
又、複数の権能を組み合わせて行使する事により、異なった効果を得る事も可能。
現在、本個体に備わっており、行使可能な権能は以下の通りである。
第一の権能 【フィジカル・ブースト】
第二の権能 【ジニアス・ブレイン】
第三の権能 【クリエイト&フォーム】
第四の権能 【デリート&デストロイ】
第五の権能 【スーパー・センス】
第六の権能 【スパシオ・テンポラル】
第七の権能 【ディメンジョン・コントロール】
という説明が記されていた。
「うわぁ・・なんかすごそうなのばっかやん!!」
「名前からしてなんとなく予想は出来るけど、一応一つ一つ見ていくか。。。」
それぞれ項目毎に詳細が書かれているようなので、一つ一つに目を通してみる。
第一の権能
【フィジカル・ブースト】
身体能力を任意で向上させる。筋力、瞬発力、基礎体力、視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚等全ての運動能力及び感覚機能を自在に制御できる。環境、状況に即応して最適に対処可能。又、道具、武具等あらゆる物の取り扱いも瞬時対応可能。
第二の権能
【ジニアス・ブレイン】
思考能力、計算能力、洞察力、判断力、推理力、記憶力、分析解析力等が任意で制御できる。脳細胞を活性化させ、物事を全て最適化し、最良解を導き出せる。又、【アカシック・レコード】に瞬時アクセスし、森羅万象全てを知りうる。尚、この権能を有する者のみ【アカシック・レコード】の管理権限も持つ。更にはマルチタスク(多元並列思考)も行使可能。
第三の権能
【クリエイト&フォーム】
たった一つでも原子核(構造)があれば、それを元に原子構造及び分子構造を増幅、改変、変革等を行う事により、ありとあらゆる物質を生成及び創造する事が出来る。現存しない全く新しい物質の生成も勿論可能である。極端な話、生物も生み出せる。更に確固たるイメージがあれば無形の物も生成できる。又は元になる物質から複製もしくは全く異なる物質に変換する事も修復する事、つまりリペアーまたはリストアーも可能。
第四の権能
【デリート&デストロイ】
有形、無形問わずあらゆるものを全て、もしくは一部を削除または無にかえす。完全に存在を消滅、抹消する。
第五の権能
【スーパー・センス】
超感応能力が使用可能。主にテレパシー(超感知)、テレキネシス(念動力)、プレコグニション(予知能力)、クレヤボヤンス(透視&千里眼)、サイコメトリー(残留思念感知)、アナライズ(走査&解析)、ディテクト・シチュエーション(状況察知&危険察知)、センサー(広域探索)、ステート・コンバージョン(状態改変)、マインド・コントロール(思考支配)、コモンセンス・モディフィ(常識改変)、認識偽装、認識阻害、アポート(引き寄せ)、エンチャント(対象になる人、物に能力付与)等が行使可能。
第六の権能
【スパシオ・テンポラル】
現空間内において時空間制御できる。テレポーテーション、異空間生成、異空間収納、対象物の時間操作、空間状態(気圧、重力、湿度、気温等)操作、シールド(結界)生成等が行使可能。
第七の権能
【ディメンジョン・コントロール】
異次元空間操作が行使できる。異次元空間もしくは異階層移動、異時空間高速移動、異時空間生成、コーリング(他時空からの召喚)、多次元対応シールド生成等が行使可能。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
「もうなんつーか…ひとつひとつがあまりにも凄すぎて言葉が出てこん。。。」
思考が暫くの間、フリーズしてやっとの思いで零れたボヤキがそんな言葉だった。
「『第一の権能』は主に身体と五感関係の力を制御する能力やな。後は多分どんな道具や武器でも達人並みに使いこなせるって感じやな。」
「『第二の権能』は頭脳が天才的になって記憶力もほぼ無限。おまけに何でも知る事が可能な【アカシック・レコード】へのアクセス権もあるんか!」
「『第三の権能』は万物を生成できる。おまけにコピーとか修復もできるって…これだけでもむっちゃすげーなっ!」
「『第四の権能』は逆に全てを消滅、抹消、消去できると。無形のもんまで消せるみたいやけど、無形のもんって何やろか?」
「『第五の権能』っていわゆる超能力?ESPもしくはシックスセンスみたいやなぁ。SF作品ではこれだけでも十分主人公やな。」
「『第六の権能』もSFに出てくる時空を制御する超能力やね。ファンタジーではお馴染みの【瞬間移動】とか【アイテムボックス】的なもんやろうなぁ。」
「んで、『第七の権能』はと…【ワープ】でむっちゃ遠い他の天体にも行けるんかな?つうか【コーリング】って召喚術?益々ファンタジー小説やんか!」
「そーいえば、特撮ヒーロー物で『七つの超能力』ってフレーズがあったよな?何か魔法とも別物みたいやし。」
などと、復唱するように一人病室でうんちくをかます雄二だったが、
気が付けば、タイムリミットが19時間になっている。
「おっと!能書きを垂れとる場合やないわな;;;」
まだ色々語り足りないと言う気持ちを無理やり切り替えて、次の作業に入る。
<設 定 変 更>
「たぶんここでリミッター解除できるんやないかな?」
そう呟きながら<設 定 変 更>を選択して立ち上げる。
<設 定 変 更>
権能のパワーレベルを各権能毎に微調整する。
尚、ここで設定された値は次回変更時まで常時維持されるが、
緊急時は強制解除も可能である。
{基準値は一般的な地球の成人男性の能力数値を1としてカウントされる}
第一の権能
1→2→3→4→5→10→20→30→50→100→200→500→1000→10000→100000→OFF
第二の権能
1→2→3→4→5→10→20→30→50→100→200→500→1000→10000→100000→OFF
第三の権能
1→2→3→4→5→10→20→30→50→100→200→500→1000→10000→100000→OFF
第四の権能
1→2→3→4→5→10→20→30→50→100→200→500→1000→10000→100000→OFF
第五の権能
1→2→3→4→5→10→20→30→50→100→200→500→1000→1000→1000000→OFF
第六の権能
1→2→3→4→5→10→20→30→50→100→200→500→1000→10000→100000→OFF
第七の権能
1→2→3→4→5→10→20→30→50→100→200→500→1000→10000→100000→OFF
(※OFF=リミッター解除)
【全権能リミッター解除】
【全権能設定値リセット】
「権能毎に設定できるんやな。フム、とりあえずは【全権能リミッター解除】にしといて・・・と。」
まずは『第二の権能』を試てみる事にした。
使い方は頭の中で何番目の権能の何を使うかを念じれば、すぐ行使できるようである。
『第二の権能』【アカシック・レコード】アクセスと念じてみる。
途端にシャーッと数秒耳鳴りみたいな音が聴こえて、続いて以下のようなアナウンスが流れた。
〔ただいまアクセス権確認中です。・・・・・・・・認証チェックしています。・・・・しばらくお待ちください。・・・・・・生体エネルギー照合の確認しています。〕
そこから更に待つこと1分。
やがて〔照合マッチしました。これより、マザーに接続します。・・・・・接続完了しました。〕
そして〔アカシック・レコードへようこそ!質問をどうぞ〕
と、尋ねてきたので、少し考えて、
(今、現在宇宙規模で起こっている『極暗黒大星雲』による浸食に関する詳細情報とそれに対する防御方法、もしくは最良の解決策の有無を知りたい)と、念じてみる。
〔少々お待ちください〕と答えてきたので、そのまま待機する。
再び1分くらい待っていると、次のような内容で回答してきた。
1)発生した原因は恐らく、他天体で起きたビッグバンの歪みではないかと推測される。
2)そこへ"宇宙の意思"に反目する負の思念体及び負のエネルギー、ダークマターが結合され、周囲のエネルギーを取り込むようになっていった。
3)やがてまさに‟負の意思‟に従うかの如く、どんどん周りを侵食して、成長するようになってしまった。
4)‟負の思念‟により守られていた為、気付かれる事無く、瞬く間に爆発的増殖拡大していき、ついには全宇宙の殆んどを飲み尽くしてしまった。
5)侵食された全ては尽く朽ち果てていってしまった。
6)【天の川銀河】以外は全て万遍なく侵食されており、既に【天の川銀河】のすぐ側まで迫っている。
7)幸いこの【ネイティブ・コア】だけは強力なシールド(結界)に保護されている為、侵食は免れている。
8)【天の川銀河】を同様の強力なシールドで施す事により、侵食は免れるが、それには永久的にシールドを施し続ける必要があり、決して最善策とは言えない。
9)最良の対策としては一旦【ネイティブ・コア】と【天の川銀河】以外の全宇宙(つまり極暗黒大星雲によって浸食された全宇宙)を丸ごと全て抹消して、アカシック・レコードの情報を元に一気に再構築する方法が挙げられる。
(ぐはっ!・・・・それって本当にできるんかよ?)
〔貴方様がお持ちの“神力”のおよそ半分を一気につぎ込めば、全宇宙のあるべき姿への再生までは可能です。しかもこの場合、そもそもの要因である‟負の思念‟及び負のエネルギーも全て一網打尽に抹消可能です。〕
(うわぁ~、どんだけの量持ってるんだよぉ!俺。)
〔半分使用したとしても3日ほどで全回復します〕
(・・・・・・・・・・)
(・・・・・・・・・・)
(俺、最強じゃん。。。)
(と、とりあえず…その最良な方法の手順を教えてくれ)
〔畏まりました。〕
こうして何の因果か、雄二は全宇宙を救うべく、動き出すのであった。
書いてるうちにツッコミ処満載だなぁとつくづく実感しましたが、ツッコんだら負けだと思い、耐えました。
何か色々、すみません。m(__)m